映画「カリガリ博士」 Das Cabinet des Dr. Caligari 公開 (1920年2月27日 ドイツ)

映画「カリガリ博士」Das Cabinet des Dr. Caligari  公開 (1920年2月27日 ドイツ)

いままで、このブログでも書いた人々がこの時点から数十年に渡る
ドイツの乱世の時代をそれぞれ異なるスタンスで生きていくのが、
見ていて複雑な心境になります。

🔍 Silent Movie GIFs Tweet.   カリガリ博士 (ヴェルナー・クラウス扮。左) と、博士が連れ歩く「居眠り人間」チェザーレ (コンラート・ファイト扮。右)   

この映画で、悪の言いなりになってしまうチェザーレを演じた
コンラート・ファイト Conrad Veidt  (1893-1943)  は、
ドイツを支配して行くナチスを非難し続け、


ナチスが政権を取った1933年にユダヤ系の女性と結婚、ドイツからイギリスへ移住し、
1934年にユダヤ人の苦境への連帯感を込めたイギリス映画「ユダヤ人ジュース」Jew Süss   に主演します。

一方、チェザーレを操るカリガリ博士を演じたヴェルナー・クラウス Werner Krauss (1884–1959) は
1940年、反ユダヤ的に改作されたドイツ映画「ユダヤ人ジュース」Jud Süß に出演します。
(下の映画のアイコン写真は主演のフェルディナンド・マリアン [1902-1946] で、終戦の翌年交通事故で死亡しましたが、自殺説もあります。)

戦後、ヴェルナー・クラウスは矯正プログラムへの参加を命じられ、ナチ政権下の映画は上映が禁止されます。戦後の出演作は僅かで、それも反対運動に遭いました。

これらの、ヴェルナー・クラウスとナチスの関係について、
数十年前の映画の本では普通に読めたのですが、
いま改めてネットで調べても、日本語の記事からは探し出せなかったことに驚きました。
英語の記事ではWikipediaにも載っています。



アメリカに移住したコンラート・ファイトは1942年のアメリカ映画「カサブランカ」で、ラスト近く反ナチ活動家の亡命機を止めようとしてハンフリー・ボガート扮する主人公リックに撃たれる、悪役のナチス将校シュトラッサー大佐を演じます。

🔍🎞Movieclips公式YoutubeChannel (認証マーク付き) 「カサブランカ」
静止画像の左はアメリカ人リック役のハンフリー・ボガート、右はナチス・ドイツに占領されたフランスの警察所長ルノー役のクロード・レインズ。ルノーは駆けつけた部下に捜査を命じ、そこにいるリックを見逃します。そしてナチス傀儡政権の首都の名を冠した「ヴィシー水」を見るや、ゴミ箱に放り込み蹴り飛ばす有名な場面 (1分7秒目) となります。(下欄に「カサブランカ」関連記事リンク有り)


🔍 Yorkshire Silent Film Festival Tweet. 
右上写真・映画「カサブランカ」左がシュトラッサー大佐役のコンラート・ファイト。(右はナチス・ドイツに占領されたフランスの警察所長ルノー役のクロード・レインズ。)   左写真・「カリガリ博士」のチェザーレ役、右下写真・映画「笑う男」(1928年) 主人公役のコンラート・ファイト。この役は「バットマン」のヒール・キャラクター、ジョーカーのモデルとなった。 


🔍 Conrad Veidt Tweet.   1934年イギリス版「ユダヤ人ジュース」のコンラート・ファイト

🔍 1933年に結婚した Ilona Prager との写真 (1939年)  



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(3月3日, 9月20日更新)





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