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【僕たちのディベート甲子園2018】優勝するためのスケジュールとは~出水中優勝までの軌跡~

ディベート甲子園で優勝するには

ディベート甲子園で優勝するにはどうすれば良いのか。ディベート甲子園に関わっている人なら、だれもが気になるテーマです。そのヒントを得るために一番簡単な方法は優勝校がどんな練習をしていたのかを聞く事でしょう。もちろん、各学校ごとに置かれている状況は違うので、そのまま適用はできませんが、優勝する学校と自分たちを比較する事で見えるものも多いと思います。

ただ、優勝校だって必死にやってきた事ですので、そんなに簡単には聞けないもの。しかし、今回Art of Argumentでは出水中の指導に関わっていらっしゃった九州支部の皆様からご了解を得て、出水中の論題発表から甲子園優勝までのスケジュールを公開いたします。優勝校はここまでやっているという事を見ていただきつつ、来年度に向けて参考にしていただければと思います。改めて、ディベート普及のためにと快くスケジュール公開に応じてくださった関係者の皆様に深く御礼申し上げます。

幅広い議論に触れる~論題発表から地区大会突破まで

練習試合の多さはもちろんですが、何より他地区の練習試合に多く参加している点が特徴的だと思われます。早い段階で関東大会、中四国大会にまで武者修行する事で、自分の地区だけで流行りだす「タコツボ化議論※」になることなく、幅広い議論に対応しようとしています。全国で出会うジャッジやライバルと早い段階で練習試合をすることは全国大会と支部大会の格差を埋める役割を果たしたと思われます。
※タコツボ化議論:筆者造語:自分の地区だけで流行っている議論に過剰適応する事で、一般の人が見たらよくわからない感じになってしまう現象。

ちなみに、支部コーチの後ろについている数字は立論のVerらしく、対戦相手をつとめる支部コーチ自身も、よい対戦相手になるべくディベーターとして訓練を積んでいる様子が見受けられます。

オンライン練習の活用~地区大会からディベート甲子園まで

地区予選を突破してからは夏休みに入ったのもあるせいか、猛烈な練習試合の数になっています。ここで特筆すべきはオンライン練習が多いことです。近年のネット環境の発達により、WEBテレビ等を活用する事が容易になってきています。テクノロジーを利用する事で、地域を超えて全国のライバルと対戦できるようになった事を最大限に活用している点が見受けられます。

支部内や近くに対戦できる学校が無いとしても、支部主導でオンライン対戦を開催することで、全国のライバルと対戦できるようになっているのはとても重要ですね。

試合をやりっぱなしにしない

今回スケジュールをお送りいただいた時にヒアリングしたのですが、練習試合をやりっぱなしにはしていないとの事でした。試合が終わった後に、必ず課題を明らかにして、それを解決するためにスピーチを練り直したりしたそうです。この辺は目的意識をもった練習試合の活用でもあり、以前ご紹介した下記の記事でもその効用をご紹介しておりましたが、その実際の事例ともいえそうですね。
【ディベート甲子園等の大会に出場する選手、指導者向け】調査型ディベートの準備方法~ディベートPDCAの勧め

まとめ
1.早い段階から幅広い議論に触れる
 ※自分の支部や特定の相手やジャッジだけでなく、様々な人の議論を知る
2.Webテレビなどのテクノロジー活用して、全国のライバルと対戦する
3.練習試合をやりっぱなしにしない
 ※試合で分かった課題を明らかにして解決方法を考える

なお、出水中さんは自分たちのみで勝手に行うのではなく、支部の方などの大人と連携しながら進めたようです。これはWEB上の世界には危ない事もありますので、プライバシーを守るという意味もありますが、そうしたネットワークを持った大人に仕切ってもらうことで、レベルの高い練習試合を組めると思います。例えば、支部の取組として、支部や地域を超えたオンライン練習試合を企画するというのも考えられるかもしれません。

優勝するための「魔法」はあるのか?

今回の出水中さんの快進撃は結論からいうと、すごく頑張ってプレパして、練習試合をしているというものでした。そりゃそうだろという感じかもしれませんが、結局のところ全国大会で優勝するための魔法はないのです。

もちろん、ディベート甲子園で優勝するには運も必要です。しかし、シェイクスピアの「天は自ら行動しない者に救いの手をさしのべない。」との言葉の通り、運もまた日々のたゆまぬ努力の中で生み出されていくものであるといえましょう。

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