プログラミング教育は学校でも習い事でも問題点あり!子どもの将来につながる学び方とは
プログラミングが2020年度から小学校で必修となります。
急速なIT化などの背景から、プログラミング教育が必修化されることになりました。
ITの進化により、プログラマーだけでなく、他の職業でもテクノロジーをある程度使いこなすことが重要になってきています。
そのため、子どものころからプログラミングを学ぶ必要性が出てきたのです。
ただ、プログラミング教育必修化には、まだまだ課題もあります。
そこで、今回は、「プログラミング教育の問題点」と、それを踏まえて、「プログラミングをどう学べばいいのか」ついて解説します。
プログラミング教育必修化の背景と目的
プログラミング教育必修化の背景は、大きく2つあります。
・国際的な競争力の強化
・急速なIT化
社会は急速に変化しています。
「第4次産業革命」や「Society5.0」などとも言われていますが、AIやビックデータ、ロボット、IoTなどにより、多くの仕事がコンピュータに置き換えられると言われています。
一方で、データやテクノロジーを活用した革新的なサービスが次々と登場します。
経済産業省の調査では、2030年時点で59万人のIT人材が不足すると発表しています。
そのため、今後も続くであろうIT社会の変化・発展に寄与できるような人材が求められています。
また、プログラミングを行うだけがITではありません。
事務職や営業職、飲食店や小売業でも、どんどんIT化が進み、希望する職種に関わらず、最低限のスキルとしてIT技術が求められているのです。
そのため、社会の変遷とともに、教育で求められるものが変わってきています。
テストで高得点を採るような、答えのある問題を正確に早く解くスキルは重要ではなくなります。
代わりに、テクノロジーを駆使し、新たな価値を創造し、未知なる課題を解決するスキルが重要となります。
そして、そのためには、「小さい頃からプログラミングを学ぶことが必要だ」というのが、プログラミング必修化の背景です。
プログラミング教育の問題点|小学校の必修化の場合
教員の育成が十分ではない
2020年4月から始まる必修化ですが、1月時点のニュースで、【準備順調7県のみ】という衝撃のニュースが発表されました。
参照:「プログラミング教育、スタートに黄色信号 準備順調7県のみ」_産経新聞ニュース
プログラミング教育をする先生は、専門の教員ではなく、他の科目も教える小学校の先生たちです。
当然、プログラミング経験がない先生も多いので、必修化に向けた研修をするなどの準備が必要です。
にも関わらず、1月時点で「すべての学校で教員1人以上が研修などを実施済みの都道府県は、7県のみ」なのです。
文部科学省は、総務省・経産省との協同で、プログラミング授業の実施事例や教材の紹介するサイトを公開しています。
参照:小学校を中心としたプログラミング教育ポータル_文部科学省・総務省・経済産業省
また、各教委の担当者を対象としたプログラミング教育のセミナーも開催しています。
それでも、まだ準備が整っていない学校が多く、4月からの実施に心配の声が上がっています。
環境整備にバラツキがある
プログラミング教育は、必修化の前から、すでに取り組んでいる学校もあります。
一方で、過疎地の教員も生徒も少ない学校では、環境の整備が他の地域と同じように行われるのか疑問視する声もあります。
喫緊の課題は、全国的な環境整備だと思う。ある過疎地の学校では、児童生徒も大変少なく、先生の数も限られ、専門の先生がいないといった実態である。このような環境にいる生徒が、ICTの活用によって他の地域と同じ授業を受けられるようになると考えると、今後必要になってくると思う。
参照:中央教育審議会教育課程部会小学校部会(第6回)におけるプログラミング教育に関する主な意見_文部科学省公式サイト
その中で、2019年12月に政府が「小中学校でPCなどの端末を1人1台配置する」という新たな経済対策を閣議決定しました。
参照:FNN PRIME
これにより、PCやタブレットを1人1台使えるという環境は整うことになりそうですが、ソフトのアップデートやセキュリティ対策などに、継続的に予算がかかるなどの課題は残っています。
そのため、プログラミング教育の環境を整えるには、まだ時間がかかりそうです。
プログラミング教育の問題点|教室に通う場合
必修化に伴って、プログラミング教室の数もどんどん増加しています。
教室では、専門の講師がいて環境もかなり整備されているので、比較的質の高いレッスンを受けることができます。
ただ、プログラミング教室全体の問題点もいくつかあります。
プログラミングのテクニックに偏っている
プログラミング教育は、とても大切なものですが、いろいろな方とお話したり、保護者の方々と接していて、大きな問題も感じます。
それは、「プログラミングのテクニックを覚えることが重要」という風潮です。
プログラミング教室でも、プログラミングができるようになることを重視して体験等にいらっしゃる方が多いように感じます。
ただ、それは、ある程度やむを得ないことです。
プログラミング経験のある保護者の方は非常に少なく、プログラミングとはなんなのか、なぜ必要なのか、学ぶとどうなるのか分からないからです。
英語教育にすごく似ているように感じます。
文法や規則を覚えてテストで高得点を採ることが重要視された結果、中学・高校と6年間英語を学んでも、ろくに英語を喋れるようにならない。
プログラミングは、英語でいえば文法を学ぶようなもの。
大切だけど、それだけでは本末転倒です。
テクノロジーを使って価値創造できません。
それでは、なぜプログラミングだけでは、不十分なのか。
それは、プログラミングは、アプリやWEBサイトなどを作る工程のうち、指示にしたがって機械語にする工程でしかないからです。
プログラミングのスキルにフォーカスしすぎると、「プログラミングを使って面白いものを作ろう!」と思いついたり、「このゲームを作るのにどういうプログラミングを使えばいいんだろう?」と考える力が育たない可能性があります。
「言われたとおりにはプログラミングができます、指示してください」というマインドになる危険があります。
実際に他の教室で学ばれてきた子では、特に感じます。
将来、プログラマーになるにしても、「指示されたものを作る(プログラミングする)ことしかできない」人は、お金を稼げません。
AIに置き換えられます。
なにより、多くのお子さんは、プログラマーになるわけではありません。
他の職業を選ぶでしょう。
そのときに必要となるのは、「プログラミングができること」だけでなく、「プログラミングが企画や設計、デザインにどう関わるか」を知り、それらのスキルも広く身に付けておくことです。
プログラマーをめざすにしても、ただプログラミングをするだけでなく、企画や設計、デザインするスキルなども身に付けることが大切です。
講師はエンジニアが多い
プログラミング教室の講師の多くは、エンジニアでしょう。
僕も元々エンジニアです。
でも、プログラミング学習、特に小学生を教える際には、エンジニアである(=プログラミングスキルが高い)こと以上に、「教えるスキル」が高いことが重要です。
僕は、エンジニアよりも、子どもの可能性を伸ばすことに長けた人の方が向いていると考えています。
例えば、モンテッソーリ教育などを学んだ方や、小学校の先生です。
僕自身も、1年以上、インターンのような形で、探究学習のプロフェッショナルの先生と一緒に教えることで、講師としてのスキルを習得しました。
小学生が学ぶ範囲のプログラミングは、ほとんどの場合、そんなに難しくなく、専門知識がいりません。
それよりも、子どもがやる気を出すかどうか、子どもとコミュニケーション取れるかどうかの方が大切です。
テクノロジーに強く、使いこなせることが重要
急速なIT化にともなって、プログラマーだけでなく、その他の職業の人も「テクノロジーに強く・ある程度使いこなせること」がどんどん重要になってきています。
プログラミングはテクノロジーの中のほんの一部。
例えば、AIを作れなくても、AIを使った革新的なサービスを考えられたらワクワクしますし、社会の役に立ちますよね。
テクノロジーの中核は、コンピュータの情報処理能力(計算能力)です。
そして、必要なのは、コンピュータの特性を理解し、情報処理能力を問題解決に効果的に使う思考力です。
考慮すべきコンピュータの特性には、以下のようなものがあります。
・コンピュータの得意なこと・苦手なこと
・コンピュータのできること・できないこと
・障害のリスクや不具合での暴走の考慮
・効果的に計算をさせる方法
・必要なのは、正確な回答か、近似値か
・最適解の選択(計算の速さ、正確性、マシン価格などはトレードオフ)
このような特性を理解し、問題解決にどう活用するか思考する力が必要になってきているのです。
では、テクノロジーに強くなるための、子どもの頃に必要なプログラミング教育、とはどのようなものでしょうか?
次の章で詳しく解説します。
子どもの将来につながるプログラミング教育
テクノロジーに慣れ親しむ
デジタルデバイスに触れたりいじくっていると、センスが身に付きます。
オリンピックに出場するようなスポーツ選手は、小さいころからそのスポーツをやっている人が多いですよね。
また、音楽家も「3歳から始めた」なんて人もめずらしくないです。
それと同じで、パソコンやタブレットなどのデジタルデバイスに小さいころから触れていると、大人になってもテクノロジーに強くなりやすいです。
スーパーエンジニアは、小さい時にコンピュータや機械で遊びまくっていた人が多いと思います。
子どもは使いこなすの、早いですよね。感覚として、どんどん刷り込んでいきます。
コンピュータはどうやって動くのか、それを感覚的に掴むことで、何ができて何ができないのかなど、特性を感じやすくなります。
プログラミングはコンピュータを動かすものなので、この理解に役立ちます。
「コンピュータってこう動くんだ」「これは苦手なんだ」というような感覚を意識して学ぶことが大切です。
子供が創意工夫したくなる環境
コンピュータやプログラミングで何でもできるわけじゃないんです。
でも、うまく活用したら、すごくおもしろいことができます。
コンピュータとうまく付き合って、創意工夫するセンスを養いましょう。
例えば、あるプログラミング教材の基本的な使い方を子どもに教えると、その先は楽しそうに自分で工夫して進めていくことがあります。
子どもはすごくて、「そういう使い方、遊び方あるの?」って驚かされること、多いですよ。
興味を持って学ぶ環境
子どもは「おもしろい!」と思ったら、どんどん学んでいくことがあります。
テクノロジーの進化は凄まじく速いです。
テクノロジーに強い人は、「もっと学んでいろんなことがやりたい!」という気持ちが強く、学び続けています。
脇道に逸れてもいいので、子どもの興味にしたがって学ぶことで、学びたい気持ちを育みましょう。
プログラミング教育に向けて|自宅でできる対策法
プログラミングは、お子さんの発育に合わせて内容を変えていくべきです。
無理にやらせたり急ぎすぎると、プログラミングに苦手意識を持ち、嫌いになって逆効果です。
特に、子どもが大好きなゲームを作ろうとすると、算数の知識(比較や確率、座標など)が必要となります。
また、頭で考えたことをプログラミングで実現するのは抽象度の高い作業で、小学校低学年ではなかなか難しいです。
本格的なプログラミングは、イメージとしては、掛け算を(暗記でなく)理解できるくらいまでは発育を待ったほうがいいです。
年中〜小1向けの対策法
プログラミングの結果がすぐ目に見える、分かりやすい教材がいいです。
例えば、レゴBOOSTやキュベットなどがいいと思います。
また、LINEカメラで画像にエフェクトを入れたり、iPadのiMovieで動画を編集するのも、プログラミングのセンスを養えます。
このくらいの年齢では、プログラミング自体に興味は湧きません。
レゴBOOSTでも、思ったとおりに動かせる感動はなく、ひたすら速さを求めるなど、大人のイメージするプログラミングの学習にはなりません。
それでいいのです。
無理に学ばせずに、テクノロジーに慣れ、感性を磨きながら発育を待ちましょう。
小2〜小6向けの対策法
この時期の子どもたちも、1学年違うだけでまったく様子が異なります。
小2と小3では、難しいことに取り組む粘り強さがまったく異なりますし、小4くらいからは9歳・10歳の壁と言われるように人格が大きく変わる時期です。
もちろん、子どもそれぞれで発育の速度も全然違います。
家庭での学習教材としては、スクラッチなどのフリーのソフトで充分でしょう。
9歳・10歳までには体験した方がいい
9歳あるいは10歳くらいまでには、プログラミングを体験しておくことをおすすめします。
この頃から、自己肯定感、あるいは劣等感の影響が大きく出始めます。
そのため、失敗が怖くてはじめてのことにチャレンジするハードルが上がってきます。
参照:文部科学省 | 3.子どもの発達段階ごとの特徴と重視すべき課題
子どもと一緒に楽しもう!
特に、小3くらいまでのお子さんが、プログラミングに興味を持ち楽しむための方法があります。
それは、パパやママが一緒にやることです。
もちろん、やったことない人が多いでしょう。
うまくプログラミングできないことも多い。
でもそれがいいのです。
大人も一緒に学ぶ姿勢、失敗しても楽しむ姿勢、これが子どもの探究心に火をつけます。
教える、教えられるの関係で接するよりも、一緒に学ぶ仲間が大切です。
家庭で大変だったらプログラミング教室へ
「プログラミングをさせてあげたいけど、継続的に家庭で学ばせるのはむずかしそう」という方もたくさんいますよね。
小さい子に興味を持って学ばせるには、大人も一緒になってやることが大切ですが、なかなかその時間が取れない方も多いと思います。
そんな時は、プログラミング教室を体験してみてはいかがでしょうか。
探求型プログラミング教室【アルスクール】では、子どもの興味を大切に、その子に合わせてナビゲートしています。
また、レッスンでは、他の子の作品を見たり・ディスカッションしたりして、お互いに良い影響を与えながら学んでいます。
興味がある方は、ぜひ一度遊びに来てください。
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