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【メキシコ】ボランティア記その3–子供の労働問題

ARSです。
メキシコでボランティアしていた時の現地担当者が先日、交通事故で腕を骨折したのですが、また事故にあってさらに悪化したそうです。事故には本当に本当に気をつけましょう。

さて、私のボランティア記は第三弾となります。

今回は、メキシコに存在する社会問題を紹介しようと思います。メキシコといっても幅広いので、私が滞在したサンクリにある社会問題を紹介します。

子供の労働問題

メキシコには、首都のように高層ビルが立ち並び、まるで先進国のように経済発展を遂げた街もあります。

しかしそれとは裏腹に経済発展が全然進んでいない地域もあります。チアパス州はその1つで、サンクリには高層ビルなんか1棟もありません。経済はあまり発達していないこともあり、物価はとても低いのです。

チアパスには、排斥の歴史を持つ先住民が多く、極度の貧困の中で暮らしている人が非常に多いです。

親の稼ぎだけでは生活費を補えない家族がたくさんいるわけです。そのため、子供は家族のために働くことを強いられます。

サンクリでは、子供が物を売っている姿をとても良く見かけます。15歳くらいの人もいれば、なんと3,4歳の小さな子までもが物を売っています。

どう売るのかというと、道の脇に物を置いて通りがかる人に買ってもらうのを待ちます。例えば、ぬいぐるみやマフラーみたいな手作りの製品が多いです。

ですが、多くの子供たちは、色んなところ(主に中心街)を歩き回って買ってもらおうとします。ミサンガや小さなぬいぐるみを抱えて、レストランやカフェなどに入り、そこにいる客に手当たり次第「これ買って。◯◯ペソで売ってるよ。」という感じで皆に頼んでいきます。

時々、子供を可愛がってか、可哀想な状況に同情してか分かりませんが買ってくれる人もいます。しかし、おそらく9割以上の人は断ります。必要ないものなので。

私が懸念したのは、こうやって毎日たくさんの人に”NO”を言われていく子供は精神的にどう成長していくのか。大人からの無償の愛があってこそ幸せに育っていく小さな子供たちが、”NO”とひたすら言われ続けていく。何かしらの悪影響はあるはずです。

1度、道端で働いている子供たちに食べ物を無料提供する行事に参加しました。なんだかんだで子供だけでなく、大人にも配っていたのですが、とある子供が、もらった食事の90%を食べずに捨てていました。

私からすれば、衝撃です。無料提供している食べ物をほとんど食べずに捨ててしまうとは、と。普通に考えれば、感謝の気持ちも込めて全て食べるはずですよね。

現地の人にこの件を話してみました。どうやら、そういう子供たちは「感謝」というものを知らずに育っているのだそう。

「感謝」を知らない。つまり、人の暖かさを知らないのでは? 

私たちは衝撃とともに、恐怖を覚えました。

子供の時点で「感謝」を知らない子が、大人になった時にどんな行動を取りうるのか。想像すると、本当に恐ろしいです。

子供の労働問題は、子供の勉強時間を奪うという経済的な観点から解決の重要度が高いのはもちろんです。それに加えて、子供の精神に及ぼす影響も深刻です。

これを解決するために行動を起こしたり、団体を立ち上げる人もいますが、やはり市民からのボトムアップだけで解決できるような簡単な問題ではないのが現実です。政府からの援助がないと難しいわけです。

以上、子供の労働問題を紹介しました。日本には全くない問題(のはず)なのでリアルに想像するのは難しいと思いますが、メキシコだけでなく世界の至るところに偏在する問題です。

「子供は未来である。」

この言葉が私は好きです。子供が世界の未来を作っていくわけで、未来を生きるのは子供です。だからこそ、教育は重要ですね。