回顧録、AGC、そして卒業生から贈る言葉。

いつも当サークルのブログをご覧頂きありがとうございます。

同志社大学VOCALOID研究会Arpeggioの先々代会長を務めさせて頂いていたラズリーと申します。

ブログは2年以上間が空いていますね、本当にお久しぶりです。

実の所秋に1度完全に締切をブッチしていました。無理を言ってこのタイミングに入れてもらったのですが後輩の皆さんにはほんとうに申し訳ないなと思います。

因みに前回のブログはこちらから読めます。いやはや懐かしい。興味があれば読んでみてください。

さて、前回のブログを書いた際はまだ2回生だった私ですが、時が経つのは早いものでとうとう卒業と相成りました。

びっくりですね。この2年間、とても色々なことがありました。新型コロナウィルスの流行に合わせて社会が大きく動き、我々のサークルもその対応に追われたり、大学の授業がオンラインばかりになったりと正しく激動の2年間だったと言えるでしょう。

前置きが長くなりましたが、今回のブログではこの場をお借りして2年間の振り返りと、大学のサークル生活の総括として主催したArpeggio Graduation Celemony(略称AGC)について、そして最後のブログらしく卒業生からの贈る言葉とでも言うべきものを話していきたいと思います。どうぞお付き合いください。

これは、特別な物語ではなく、ただ1人の人間の2年の回顧録。

だが、特定の誰かにとっては輝ける思い出の一部。

その瞬間にきっと「青春」は存在するのだと思う。

・会長を務めた1年

とまあ、何となくカッコつけた感じのことを書いたのですが、ここから始まるのは本当に取り留めのない話です。

それこそこの2年間、語っても語り足りないほどに色んなことがありました。それを全部語るのなんて到底不可能、ですからある程度掻い摘んで話をします。

私は2019年の12月から2021年の2月までこのサークルの会長を務めていました。コロナウィルスの影響をダイレクトに受けた世代とも言えるでしょう。

そんな1年強の私の任期、順風満帆と言えるものではありませんでした。時勢柄もあってか4月以降はほぼほぼ対面活動が行えず、慣れないオンラインの活動を模索する日々。これまで対面でできていた会議が出来なくなった結果会議の時間が6時間を超えてしまうなんてこともあったりしました。メンバーと連絡がつかなくなってしまうことも。

他にも色んな大変なことがありましたが、ここで語るべきではないでしょう。

ですが、私は諦めたくはなかったのです。色んなことが出来ない年なりに出来ることはあるのではないかと暗中模索を続けました。

当初対面での企画を想定したArpeggioの10周年イベントはほぼ全てをオンラインに切りかえることになりましたが、結果的には「琵音マイタ」のデビュー、周年企画として定着することになる「Arpeggio投稿祭」のスタートなど、結果的には良い企画になったのではないかと思っています。

他の例を挙げると、その時に始まったMiku's Originへの特別協力は大きく形を変える事になりました。

ですが、VRライブ・ARライブ共にArpeggioとしてしっかりと役割を持って携わることが出来たのでは無いかと今になって振り返ると思います。

また、オンラインの新歓になった中で早めに対応を起こしたことが結果的に功を奏したのか、2020年度の新規入会メンバーは過去最高の記録を更新しました。

2月の時点で考案していた仮入会というシステムもタイミングよく綺麗にハマりましたね。多くのサークルがコロナ禍で苦労する中この結果を出せたのは当時の幹部を始めとしたメンバーが尽力してくれたおかげだと思っています。

そしてそんな中入会してくれた代が2月からメインの運営に回ってくれました。こんな時代にも負けず色んなことに精力的に取り組もうとしている世代です。

もちろん先人としては心配なところはありますが、パワフルで頼もしく、これからのArpeggioを引っ張ってくれると思っています。

正直コロナ禍の影響で私の代がメインの運営だった時代は多くの妥協をせざるを得なかったと思っています。

ですが、そこで諦めきることなく前を見て進み続けた結果、何か残すことは出来たんじゃないかなと。

あまりにもノスタルジックになりすぎている気もしますが、たまにはこれくらい過去の思い出に浸っても良いですよね。

もちろん、過去に囚われすぎなければ――ですがね。

・文芸班の設立とそこからの1年


2021年の2月で会長を退いたという話は先程もしたと思いますが、そこからの私は何をしていたのか。そんな話をします。

現在のArpeggioには文芸班という班が存在します。この班は昨年の1月に私が立ち上げた班です。元々の原案は同期のメンバーが作ったものだったのですが、結果的に私が発起人となって立ち上げる事になりました。

主な活動としてはDTM班が作るオリジナル曲の作詞や会報誌などに小説やコラムを寄稿するなどです。私や一部の人間のみがこれまで個人で取り組んできた活動をせっかくだから班活動にしてしまえ、そんな感じで動き始めた班でした。

正直、この1年は失敗続きの1年だったと思います。初期は色んな企画を出すものの、メンバーの心を掴むことが出来ずに上手くいかない、そんなことを繰り返していました。人材不足に悩み、参加率をあげる施策も上手くいかず、次第に私は文芸班の活動に対する熱意を失っていきました。最後の方は何かをしないといけないと思いながらも上手くいかない現状に辟易してまともな活動がほとんどないということになってしまいました。

サークルの運営より、班を軌道に載せることの方が難しい、そんな事実をまざまざと突きつけられたと言っても良いでしょう。

一時は文芸班を1年で畳むことも考えていました。畳むのならば創設者の自分が在籍している間にやるべきだと感じていたからです。 ですが、そんな文芸班にも数少ないながらも活動しようという意志を持って参加してくれるメンバーがいました。私としては彼ら彼女らの熱意を絶やしたくはないと思ったのです。ですので、半ば無理を通すような形になりましたが、文芸班の継続を決断し次年度の幹部を選び、依頼しました。

そして文芸班は無事継続し、今ここに健在しています。 もしこれを読んでいる文芸班未所属の人で興味を持つ既存メンバー、新入生がいれば是非文芸班に参加して頂きたいと思います。僕の後を引き継いだ幹部達は色々なことを取り組もうとしてくれています。きっと今後文芸班はもっと良くなります。

ですので、どうか皆さん文芸班に力を貸してあげてください。これは創設者としての祈りのようなものです。

――末永く文芸班が続きますように。

さて、話は大きく変わりますが、文芸班の立ち上げと併せて私は2年間続けた三役を外れました。さすがに総会での発言回数も以前に比べて減少し(それでも4回生にしては多かったのですが。)、Arpeggioの運営に対してこれまでとは違う目線で見ることが出来るようになりました。そうして見ると、Arpeggioというサークルはあまりに特異なサークルであるということに気づきました。

かつてコトカレというサイトでArpeggioは取り上げてもらったことがあるのですが、その際の記事にも記されていた通り、Arpeggioというサークルの活動はあまりにも多岐にわたります。しかも「VOCALOID」という文化を軸としている以外は各班の活動範囲もバラバラ。実質的に複数の小規模サークルがひとつに纏まっているような状態なのです。正直成り立っているのが奇跡と言わんばかりなサークルです。運営側から1つの班の長になることでその奇跡の貴重さに初めて気づけました。そして、上でも書いたように班を束ねることの難しさを身をもって知り、自分の運営時代にいかに下の幹部に恵まれていたのかを本質的に理解出来たのです。

そんな取り組むことが別々な人間が「VOCALOID」という文化ひとつで繋がったこのサークルの奇跡を知った私が最後に企画したのが「AGC」です。

・AGCについて


さて、Arpeggio Graduation Ceremony、略してAGCとは何なのか。

このイベントはコロナ禍やメンバーの活動班的に俗に言う「追いコン」や「卒業ライブ」の開催が困難であると考えた私が代替案として提唱した「サークル卒業式」イベントになります。

このイベントは主に在校生に様々な演目を行ってもらい、卒業生は演者として出ずとも楽しむことが出来るというものです。今回はバンド、ダンス、DJ、映像投影、グッズ頒布などでトータル4時間の演目を行いました。

それにしても――自らの卒業イベントを自らで手がけるというのは何とも数奇なものです。ですが、やってみた感想として、これはとても良いものになったのではないかと思うことが出来ました。

私からすると、このイベントはあくまで卒業生に向けたものとして作っていたところが大きかったのですが、蓋を開けてみるとそれだけに留まらないイベントとして完成を見たのです。

バンド班はこれまで実現不可能ではとサークル内で言われていた、合成音声ボーカルによるライブを実現し、有志の企画も合計4つも集まり、私自身が想像していたものよりも遥かに在校生側が精力的に協力してくれました。

また、終わった後の全体の感想としても、送り出される側の卒業生が喜んでいるのはもちろんの事ながら送り出す側である在校生も演目の内容や自らのパフォーマンスの達成感があって、双方共に満足度が非常に高いものになったと私には感じられました。

私個人がずっと目指しているものの一つである、観客だけではなく、参加者も裏方も全員が楽しめるイベントというものに少しは近づけたのでは無いかと個人的には思えるほどの出来栄えでした。 このイベントでは私個人もDJとして立たせてもらい、ステージ側から観客席を眺める機会があったのですが、全体として楽しんでもらえている感じがあったのでこの感覚はおそらく間違いじゃないと思っています。

DJの話としてなんですが、私は今回初めてDJ卓を買ってDJをさせてもらいました。

正直経験もほとんどなかったのですが、後輩であるえんぺる君(現ダンス班班長)が懇切丁寧に教えてくれた上に当日はVJで盛り上げてくれたので何とか楽しくやり遂げることが出来ました。

セトリは以下に載せておきますのでご覧下さい。(製作者の敬称略とさせて頂きます)

ラズ

このセトリの話を少しだけさせてください。

コンセプトは旅立ち、卒業、感謝。

ボカロが半分以上というのがハウスルールでしたのでそこに沿ってなるべく多めのボカロ曲を入れた感じのセトリです。

最初の方はかなり繋ぎを意識していますが、後半はテーマメインです。

古めの曲、新しめの曲、どちらも入れました。歌詞の文脈とかその辺を意識しています。もちろん、作者の意図とは違うと思うのですが、その辺はご容赦を。

例を挙げるとワールドワイドワンダーの「キラキラ、光ってるはずなんだ」とかは私がArpeggioにも感じていることですし、春が来てぼくらの「新しいと同じ数これまでの大切が続くように、なんて」などは自分の今の心境、Arpeggioに対する私の名残惜しさなどを代弁して貰っています。群青讃歌なんて言うのは正しくタイトル通りで、私個人の文脈としてArpeggioで過ごした4年間を讃美して貰っています。

そして最後。Last Night,Good NightからGood Morning,Polar Nightに繋ぐやつはやりたい事でした。タイトルからして後者の曲は前者の曲を意識してるのではないかと(勝手に)思っているんですが、せっかくなので繋げたかったんですね。Arpeggioは「おやすみ」で終わるわけが無い。「明日の方へ」進むサークルなのだと。

そして、音源に関しては個人の私情でしたが、昨年末に急逝された神田沙也加さんの歌ってみたを使わせて頂きました。自分がGood Morning,Polar Nightと出会ったきっかけは彼女の歌ってみたを聞いた時だったからです。私は本来あまり歌ってみたを聴かないいわゆる「原曲厨」と呼ばれるタイプなのですが、そんな私が歌ってみたから惚れ込んだ珍しい楽曲です。彼女への哀悼の意を込めてこの楽曲で締めとさせて頂きました。聞いたことがない人はどうか彼女の歌ってみたを一度聞いてみてください。

以下にリンクを貼っておきます。

https://www.youtube.com/watch?v=mm1PRKf3_bU

という訳でAGCについての話も終わりに入りますが、総括すると最高の思い出でした。

卒業生、在校生ともに様々な形で全力を尽くし、満足のいく結果になったのではないかと思っています。

最高のイベントをありがとう、みんな。

お陰で最高の気分で卒業できます。

・卒業生から贈る言葉


まあ、蛇足になるかもしれないんですけどね。それでも思いが沢山あるので良ければ聞いてください。

私がArpeggioに入会した2018年4月から4年。Arpeggioは飛躍的に成長しました。

それは規模だけでなく、様々な面でもそうだと思っています。メンバーの創作もかつてに比べて多様化し、クオリティに関してもより高みを目指すようになったのではないかなと感じています。

それほどまでに大きくなったArpeggio、我々が大きくしたなんて言うのは烏滸がましくて言えませんが、我々の代もその発展の一助にはなれたのではないかと思います。

正直、上手くいかなかったこと、やりたかったけど出来なかったこと、無力さを感じる出来事など沢山の失敗がありました。満足にできたことなんて全体の半分もありません。

ですが、それでも。私はこのサークルで様々な事に取り組めて良かったなと思っています。

このサークルに居た4年間、本当に退屈することがなかったです。色んな苦労がありましたが、それ以上に喜びと満足がありました。

そんなArpeggioを旅立つのはとても寂しいですが、時代を終えた我々がいつまでも居座るのはきっと良くないことだと思うので、なるべく立つ鳥後を濁すことなく旅立とうと思います。(実の所、あと少しだけやることは残っているのですがそれはそれ)

これからのArpeggioは、今大学生である在校生達のものです。どうか未知の未来に恐れを抱かず、新しい出会いや体験を楽しんでください。

Arpeggioにはとても多くのポテンシャルと可能性があります。その可能性を生かせるのは君たちです。

どうか、Arpeggioをよろしくお願いします。

これからは君たちの時代です、しがらみや過去の慣習などに囚われずやりたいように(ただし問題は起こさないように)やってみて下さい。

先輩として陰ながら応援させていただきます。

最後に重ね重ねになりますが、これまで本当にありがとうございました。

皆さんの更なる飛躍を心から祈り、筆を置かせていただきます。

それでは。

2020年度会長 ラズリー/葉城雅樹

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?