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86:一度でいいからと願ったことを

手元にある2枚のチケット。
そこに印字してある文字――『TOUR2022 FANKS intelligence Day8』――を見るたびに、1988年の自分に言ってやりたくなる。

「34年後やけど、TMのライブ行くんやで、隣におる友達と!」と。

■チケット確保!

チケットぴあでライブチケットを申し込んだのは、もう何年ぶりだろう。
最後に行ったライブはたぶんD'ERLANGERのライブで、それもかなり前のことだ。
ライブに行きたいと思うアーティストがいないわけではなかったと思うのだが、実際に行くことはしてこなかったということは、つまりはそういうこと。

TM NETWORKがツアーをやると聞いた時も、はじめは「ブルーレイ買えばいっか」と思っていた部分がある。
だが、あの1988年を共に過ごした友達が前のめりだったことで、私に火が付いた。

メンバーそれぞれのファンクラブに入っていない私たちには、ぴあの先行申し込みが頼みの綱。
私に至っては、「取れない可能性もあるから」という理由で、二次先行まで申し込んだ。

ドキドキしながら迎えた7/20、結果は二人とも当選。
(二次先行も当選した時は「もしかしてチケット余ってるのでは」と思ったが、リセールに出したら秒で売れた)

私たちは、13歳の頃に夢見た場所へのチケットを、文字通り獲得したのである。
7月から通勤時のBGMはTM一色だったが、目覚ましの音楽もTMに変更した。

ランダム再生のため、朝っぱらから爆音で「クリストファー」が流れた日は飛び起きた。好きすぎて。

■己が姿を直視する

参加権を獲得し、どすどす小躍りして喜びながらふと気づく。

私、あの頃の体型とは別人過ぎない…?

いや、40代後半になって、努力もしないで中学生の時の体型を維持できているわけはないのだが、それにしてもだ。
肉が重力に逆らえないのは、魂を重力に縛られた地球人である以上致し方ないにしても、このザマはどうだ。
控えめに言っても「こんがり豚」である。

こんな姿で、TMのメンバーと同じ空間で呼吸するのは無理死ぬ、申し訳なさ過ぎて二酸化炭素を吐き出せない。

そんなこんなで、超短期ダイエットの開始である。
40代の肉は手ごわい。

介護という仕事柄、運動量は以前の比ではない。
1日20km近くを電動自転車で移動しているので、下半身の筋肉はかなりついてきていた。
あとは食事制限だということで、「昼間は倒れない程度にバナナ1本か果物、夕飯はちゃんと食べる」というルールを設けた。
果糖はすぐにエネルギーになってくれるからね!
前職の影響で、昼間に物をあまり食べたいと思わなくなっていたのも良かったのかもしれない。

初めの一週間は、さほど効果が出なかった。
だが、毎日それを続けているうちに、じわじわと体重が減り始めたのである。
減り始めたと言っても、元の体重が体重なので、普通体型の人にとっては300gくらいのものだろうが、体重計が大台を割った時は快哉を叫びたいほどに嬉しかった。

とりあえず、ライブ3日前の現在、3キロ落とした。
あと2キロいけるか…? というところだが、無理して身体を壊すわけにもいかないので、そこは神のみぞ知る。

同時に、お肌のケアも始めた。
何せ私は真夏の太陽にこんがりと焼かれ、母が嘆くほどに日焼けしているのである。
自分でも「私、元は色白だったんだけどな…?」と首を傾げるほどだ。

残念ながら、こちらは紫外線に負け続けている。
でもまあ、毎日外でチャリを漕いでるから体重落ちたんだしね、と自分を慰めつつ、美白パックをしながら美白クリームを手足に塗るのだ。
寝落ちするほど疲れていても、だ。

■何よりも嬉しいこと

TMのライブに行けることが嬉しいのは当然として、何より嬉しいのは、同じ時期に同じ場所で、同じきっかけでTMを好きになった友達と一緒に行けることだ。

かつて共に憧れた「金色の夢」。
懐古趣味では決してないライブを見せてくれるであろう彼らと、かつて中学生だった私たちが向き合う時、どんな感情があふれてくるんだろう。

もう楽しみで仕方ないのだ。
私の知らない私に出会うのだろうから。







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