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ルヴァン鹿島第2戦の失点を考察

こんばんは、今回は鹿島アントラーズとのルヴァンカップPO第2戦の失点を見ていきたいと思います。

この失点はゴール前でエヴァラウドにヘディングでファンアラーノに繋がれてゴールを決められたものでした。立田が跳ね返せてればとか永井が止められていればとか局面で防げる可能性はあったかもしれませんが、それよりもエスパルスが自ら不利な状況を作り出してしまった事が問題になる失点でした。しかもそれは自分たちが有利な状況を作るはずのポイントが一転してピンチになるというとても面白い(不謹慎ですが)場面だったと思います。

失点の原因

では見ていきますが、まずその試合の大まかな流れを書いた前回の記事がこちらになります。

こちらを読んでからの方がこれから書くことが分かりやすくなるかと思います。(読まなくても大丈夫なようには書いてあります)

この試合エスパルスは第1戦と同じように、442でボールサイドに寄ってくるアントラーズのディフェンスに対してボールを持っている時は343の布陣にして、ボールと逆サイドのWBにロングボールを送って一気に攻め込む戦法をとっていました。特に中村慶太からエウシーニョへ何本かいいサイドチェンジが通っていました。

鹿島2①

前回も載せましたが、こういった形を狙っていました。この形は1戦目と同じく鹿島の守りに対して効果的ではありましたが、これが上手くいかない場面がありました。それは

失点①

前半12分のこのシーンです。このシーンの流れは、始めはエスパルス側から見て左サイドでボールを回していて、そこから右サイドのヴァウドにボールが渡ります。最初は左で回していたので、アントラーズは徐々に右にスライドしていく形で、全体がボールサイドに寄っている状態ではありませんでした。

ここでヴァウドからボールを受けた宮本はこの試合の狙いである逆サイドの西澤にロングボールを送ります。しかし先ほど言ったようにアントラーズがボールサイドに絞っておらず、SBが残っている状態なので西澤に届く前にカットされてしまいます。(第1戦を終えてエスパルスが何をしてくるかアントラーズも分かっているので、当然警戒していた部分もあります)

そしてサイドチェンジのボールがカットされた後どうなったかというと

失点②

エスパルスは自分たちが有利に攻撃する為に選手間が広くなっている状態ですので、このように大きなスペースができ、アントラーズの守備が前からきているのでこちらのCBとアントラーズのFWが一対一の状況になります。

失点シーンを見てみましょう。

失点⑤

先ほどとはサイドが逆になりますが、GKの永井が福森にボールを渡します。守備が始まったばかりで先程と同じようにアントラーズの守備の形はまだボールサイドに寄ってきていない状態です。

ここから目の前の選手が寄せてきたので福森は逆サイドのWBのエウシーニョにロングボールを送ります。しかしアントラーズのSBが対応できる位置にいるので

失点⑥

そのパスをカットされて12分の場面と全く同じことが起こります。その結果

失点⑦

立田がエヴァラウドとスペースがある中で1対1の競り合いの状況になり、広がっている為、ファンアラーノの動きについていけない状況になりました。

このように、エスパルスがアントラーズの守備に対して優位になる形を取っている状態が実は不利な状況になる事と表裏一体で、サイドチェンジのミスによりそれが起きてしまった事がこの失点の本質になります。

この失点を防ぎ方

ここからはこの時エスパルスはどうすれば良かったのかを考えます。よく「攻守は一体、攻撃の時も守備の事を考えた位置取りをするのが大事」とサッカーでは言われます。この失点シーンも攻撃の時のミスから相手にスペースを与えてカウンターを受けています。ではボールを持っている時に中央のスペースに誰かが入ってそこを埋めればいいのでしょうか?それも一つの方法かもしれませんが、おそらくこの場合は違います。

2つのシーンを見てみると、まだアントラーズの守備がボールに寄って狭くなっていな状態ですので

失点③

12分の場面では慶太が

失点⑧

失点の時には河井がそれぞれボールを受けられる位置にいます。これはエスパルスが自分たちの動く位置でアントラーズを広げている状況です(12分のは狭くなっているほうから広いほうにボールを回してアントラーズを広げています)。

この失点場面では河井に出せば(映像を見てもおそらく福森は無理なく出せる状態)、そこから片山か西澤に繋いで前にボールを前に運べたと思われます。

12分の方でも

失点④

慶太がボールを受けてからの展開が考えられます。

何よりここでボールを貰って、多少相手からのプレッシャーを受けてもパスを出せたり相手を躱せるのが慶太や河井なのですし、おそらく監督もこういった状況では無理にサイドチェンジをせずに繋いでいく事を求めていたはずです。

しかし逆サイドを使うという狙いが頭の中にあったであろう事から、相手の状況を見ずにサイドチェンジをした結果、失点に結びついてしまいました。同じような場面は前半もう1回あり、

失点⑨

ここは単純なサイドチェンジだったかもしれませんが、前半終了間際にディサロが相手が届く範囲にいながらも逆サイドの福森にロングボールを送っています。ここでは何とか福森がヘディングで片山に繋ごうとしますが、相手が寄せてきて余裕もなかったので無理な体勢になり、結局片山の前でカットされています。

ここでも

失点⑩

このように繋げるルートがあったので、サイドチェンジせずにパスを回すのが正解だったと思われます。

まとめ

見てきたように今回の失点はエスパルスの選手が有利な展開を得るにあたって、そこに意識がいってしまい状況判断を誤ったのが大きな原因です。「ゴールを奪う」という目的の為に手段としての「サイドチェンジでWBを使う」が、「サイドチェンジでWBを使う」こと自体が目的になってしまった感じです。

相手の長所を潰してこちらが有利な状況を作って攻めるのがロティーナ監督の今のところのエスパルスでのやり方ですが、このやり方は1つの事だけをやればいいというのではなく、選手が主体性をもった状況判断が求められます。

しかも相手がこちらのサイドチェンジを警戒するのも分かっているわけです。それはこちらが相手に警戒をしなければいけない状態を作らせてるという事です。つまり攻めの主導権を握っているわけで、エスパルスとしては相手がどのような状態にあるかを判断して短いパスを選択できる立場にいます。

それができる選手もいますが、まだまだチーム全体としてそこまではいってはいません。しかし開幕から見ていると、この部分は試合を重ねる毎にできていくと思われますので(そもそも監督とコーチが指導して何とかするはず。できない選手は使われなくなるし)、今後の伸び代として見ていけばいいんじゃないかと思います。

では今回はこの辺で、読んで頂きありがとうございました。

(天皇杯勝って良かった…いや、ホントに)


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