三咲ゆま様の「可愛いだけでは生き残れない感想」（ネタバレあり）

有楠

乙女ゲームを作られている方から見て、この「乙女ゲームの皮をかぶったサバイバルゲーム」はどんなふうに見えるのかな……と思い、ご感想をうかがいました。
執筆くださったのは三咲ゆま様(https://twitter.com/yuma_love0413)です。

ネタバレ全開のため、かなり下の方にスクロールしないと見られません。
プレー済みの方のみご覧いただければ幸いです。
↓↓↓























































「可愛いだけでは生き残れない」の感想です！

ブラウザ版で遊ばせていただきました！
TRUEエンドに到達いたしましたので、そちらの内容に沿った感想を書かせていただきます。

まずははじめてみようとリアルタイムで感想を打ちました。オープニング部分プラスちょこっと。

電車の中から開始！ヒロインさんの周囲からの評価を聞き「恋愛しない乙女ゲーム」という事前情報に説得力が増しました。
隙が無く、大人っぽく頼もしいお方なのですね。そして電車内に突如現れた線の細い少女…。対照的な存在ですが、彼女ははたして…？
お姫様扱いされたいと願ったら即トリップ！！いいぞ、わかりやすくて！！そういう展開が見たいんだ！！と拳を握りました！！
眠る姫（立ち絵が美麗でカラーリングによるキャラクター性再現の巧みさに見惚れました）と、突如現れるイケメンに心臓打ち抜かれました。
格好よすぎじゃないですか…！！名前もまだ分からないけどこの人と恋愛したい！あ、恋愛できないんだった！！
「攻略対象がヤンデレしかいない」尖った乙女ゲーですが、ヤンデレ属性人気ですもんね。需要ありそう。
ただ、主人公となってヤンデレ達と対峙するのは相当骨が折れるだろうなと予想できます。その繰り返しで姫は眠ってしまったのでしょうね。
と思ってたら監禁殺害エンドの文字が飛び込んできました。病みすぎです攻略対象たちー！どんな殿方たちなのか気になってきたー！！！
レヴィエールさん、姫のことをずっと見守ってきた魔族というおいしすぎるポジション…彼だけは病まずにいてくれるのかな、と思ってたら…あなたもか！！

飛んだ先が水の中で足に重りがつけられている…自殺？他殺？ぞくぞくしつつ読み進めていきます
シルエットがもうイケメンな殿方が助けてくれた上にお姫様だっこ！キュンなポイントだらけです！！
渋い雰囲気のイケメンと正統派金髪イケメンに囲まれて目覚めるなんて最高の開幕…でもそうか、二人ともきっとヤンデレなのですね。いいじゃないですか燃えてきた！
金髪さんはなんと婚約者！！少し突き放すような物言いを感じますが、望んだ婚約なのでしょうか？気になります…！！
姫の遺書発見で一気に深刻になってしまう事態！！そして渋めのイケメンさんが兄だと発覚！！兄だから病むことはないですよねと信じたいけど…これはまさか…
ああー！！「死んでもお前を離しはしない」シスコンな上にヤンデレ入ってそうだー！！！一人一人にツッコミを入れていくのが楽しくてたまりません！
更にイケメンさんが二人！騎士と魔術師でしょうか？もうこの二人もヤンデレ確定しているので笑顔で見守ります。
「フレイムの紫水晶」美しい響きですね。ヒロインさんの容姿は確かに水晶のような透明感があります。
お姫様扱いに5分でバテてしまう主人公。無理も無いことです。画面越しに楽しむプレイヤーと実際に対面してやりとりする主人公では負担が違いすぎる。
姫のデフォルト名「シレルディ」名前もさらりとしたいい響きですね！覚えておかなきゃ！
デレクトールさんはやはり冷淡な態度をとっているのか…ツン入っててヤンデレでもあるなんて欲張りセットですね！！メインヒーローのようなので活躍が楽しみです！
ヴェルギウスさんは義兄で過保護でヤンデレ。一番体格が良さそうなので気になっています。ガッチリした男性に弱いです。
アーネストさん、皇太子！すさまじい身分で驚きました。騎士だとばかり思っていました…！確かに品のあるお顔立ちです。彼はどうヤンデレ化していくのか…。
ラオウィンさんも身分は高いのですね。謎の人物というポジションもまたオイシイ！！このゲームは基本的に身分の高い殿方との恋愛を描いたものなのですね！

そして一周目は恐らくバッドエンドで終わりました…！！あーっ！！そんなーー！！！好感度を上げることに必死になって体力アップがおろそかでした…！！
二回目でなんとか回避。ロウガさん格好いい！！隠しキャラでもしっかりヤンデレなのでしょうね！もう殺さないでくださいよ…！
「自分以外のものになるならいっそ殺せ」依頼まさかの全員からー！！そんなオイシイ依頼そりゃ受けますよね。報酬すごくお高いんだろうな。
ラオウィンさん、なにもかも気づいていて好きに動いているのですね。標本になるEDがあるといいね！！プレイヤーは避けたいけど！！
「何をしてもなかったことにされるなら己の欲するままに生きたほうがいい」という言葉には重みを感じます。そういう世界だと知ってしまったら、確かに…。
二回目のバッドエンドを迎えました！！デレクトールさんに殺害されてしまった…！正直大丈夫だろうと思ってましたがそんな…！！
「運命をあきらめない」を選んで再びはじめると、死亡時の好感度や体力を保持した状態でプレイできるのがとてもありがたかったです！！
デレクトールさんめちゃくちゃイイ…「俺を愛さなかったことを後悔しろ」にやられました。好きだ…！！！両想いの単語を出した途端に赤面するの可愛い！！

以上がリアルタイムの感想です。途中からプレイにのめり込み、感想を書くことを忘れていました。その没入感はなかなか狙って作り出すことができないと思うので拍手喝采です！

プレイ時間2時間前後だったのですが、とても読み応えがあり、張られた伏線の回収も見事なため、後半に進むにつれクリックする手が止まりませんでした。
主人公がいい意味で「他人事」として一線引いた立場からキャラクター達と接し、ツッコんだり時には諭したり、笑いと感動をいい塩梅で届けてくれました。
他人事だからと言いつつ、主人公の発言には常にあたたかな血が通っており、病んだ思考のキャラクター達の偏った考えを溶かしてくれる。
これまでに送り込まれてきた人々にはない熱量と、もともとの面倒見の良さが新しいルートを生んだのだと思うと、お姉様格好よすぎです！
意志の強さで理不尽に抗おうという台詞も多くあり、そのどれもに心打たれました。萌えというより燃えを摂取できるゲームですね！！
ヤンデレが好きな方にはドストライクなのではとも思います。こじらせすぎている面々の心情吐露がたまらなくキュンでした…！もちろんときめく成分もある！
あるのですが、死と隣り合わせの緊迫感があるのがこちらの作品ですよね！壁ドンも顎クイも、次の瞬間に刺されそうで怖いという。そういう刷り込みをされました。
何度も死にましたが、これはバッドエンドとは違うものなのですね。途中で諦めるを選ばなかったのでどうなるのか分かりませんが、そうするとどうなるのかも気になります！
死んで学習し、パラメータを上げ、最悪の事態回避に挑むシナリオは手に汗握るものがありました！回避できたときの達成感と安堵は言葉にできません。
笑えるシーンもあるのですが、キャラクター達の設定が重いため、印象としてはシリアス寄りな作品かなと感じています。妄想すればするほど深い！！
ラストの怒涛の展開と複線回収に痺れました。シナリオの作りこみがしっかりしているため、一瞬沸いた疑問を間をおかずに解決してくれるストレスのなさが良かったです。
会話が面白い、主人公のツッコミや思考が面白いというのは、物語にスッとプレイヤーを没入させる大事な要素だと思います。本作はその点優れていると感じます。
現代人の主人公がファンタジー世界にトリップするというとっつきやすさMAXな導入に、早くもワクワクしていました。
性格上なかなか恋愛対象として見られない主人公が、モテモテの姫の中に入る。それだけでこの先の展開に期待が膨らみます。

どのキャラクターもしっかりと物語に絡み、存在感を放っていたのも印象的でした。好きなキャラクターばかりですが、中でもデレクさんがお気に入りです！
もっとも成長を感じられたキャラクターですよね。彼は開幕から「ヤンデレだな」と察知できるほどそのオーラが濃かったのですが、EDでは頼もしく爽やかな青年として存在していて。
幼い恋心にひびが入ったことで好意が憎悪に変わる。姫のこととなると常にピリピリしているから怒鳴る。そして泣かれるという悪循環…
姫が「お兄様」のことばかりを口にし、気にかけていることで心が砕かれたのですよね。しかし婚約済みなこともあり、姫とのかかわりは断ち切れない。
「王位を得る」ことより、姫から寄り添ってもらいたかったのですよね。逃げずに傍に来てきちんと対話したかった。それが叶ったことで閉ざされていた心が開いていった
余裕がなく冷淡に突き放す彼もいいキャラクターでしたが、やはり更生してからの紳士でまっすぐな彼とのギャップがたまらず、そこにやられました。
恋愛しないとはいえ、キャラクター達との信頼関係を築くゲームなので、私にはドストライクでした。恋愛もいいですが、そういった要素に弱いので。
アーネストさんは癖のあるキャラクターでしたね！ナンパでヤンデレってどう描かれるんだろう？とワクワクしていたら、執着心はむしろデレクさんへのもので。
女性の自殺未遂事件は、アーネストさんにとって生き方を変えるほどのものだったのですね。モテすぎるがゆえの苦悩。それは姫も味わってるからすごくわかります。
彼の女性不信がED後癒えていくといいのですが。幸せを願ってやみません。
デレクさんとアーネストさんがアスタリアさんと対峙するシーンは回想として語られましたが、それもよかったです！二人が共闘する展開も熱かったですし、
先王の遺体のことでアスタリアさんを説得する場面もすばらしかったです！！よかったーー！！！説得できて！！！
ラオウィンさんはマイペースで可愛いですね。ヤンデレというか、探究心好奇心が強い方なのかなと感じました。標本に対する気持ちの強さ、素敵。
あぶない不思議ちゃん枠かと思っていたら「標本」というワードそのものが物語に大きくかかわってきて、そこもうまい展開だなと思いました。
最終局面で大きな役割を得たラオウィンさんは初期の何倍も逞しく頼もしく見えました。知識と技術のある人ってステキです。
ロウガさんも格好良くて大好きです。ファーストキルがこの人によるものだったので初期はとにかく怖かったのですが、物語が進むほど頼れる相棒に。
腕っ節の強さと、この人は裏切らず守ってくれるだろうという安心感があり、登場するたびにほっと一息つけました。いい味出してます。
ヴェルギウスさんは、怪しい動きが時折見られるなーと思っていたら、まさかのラスボスだった！！！
先王たちからそんなにひどい扱いを受けていたなら普通に歪んで当然ですね。優しい姫が常に心配して寄り添っていてくれたから、そこを拠り所にしてしまった。
まさしく正統派ヤンデレといった感じですね。監禁には正直萌えてしまいました。二人の世界で一生飼われ続ける…えろいじゃないですか。最高です。
姫との思い出にすがり、先王を標本にしてまで計画を遂行しようとしたヴェルギウスさん。思いの強さは作中随一だった。
だからこそ忌まわしいラストの回避が難しかった。ヴェルギウスさんの気持ちも理解できるだけに、切ない展開でした。事件後、一部の記憶を失ってしまっているのは
幸いだと思っています。優しい思い出だけ持って再出発してほしいです。

そしてラスト！！現代に飛んできた皆ー！！！現代服似合ってて最高！！とはしゃいでたら何か一人だけおかしいぞ！！
ヴェルギウスさんの背景へのなじまなさに笑いました。そして姫が可愛い…！学生さんだ！何より「お姉様」呼びに萌えました…
デレクさんと姫の二人を個人的に応援しているので、平和な現代で仲を深めていってほしいなと思います。
最高に後味のいいEDでした！素敵な物語をありがとうございます！！心から楽しませていただきました！！

一言で言って、とってもおもしろかったです！！！
「恋愛しない乙女ゲーム」という触れ込みでしたので、主人公がイケメン達の求愛をつっぱね続けるお話かと思っていたら、それとはまた違う深いシナリオを見せていただきました。
皆最終的には主人公を好意的に見ていながら、それぞれの未来に踏み出そうとしている。頑なだった姫も解放された。最高のエンディングです。
このあと姫が誰かと結ばれることもありうるんじゃないかと思わせてくれる余韻がたまりません。
恋愛するだけが乙女ゲーじゃない、イケメン達の成長や葛藤も描いてこそ面白くなると思っているので、とても心に響きました。
一ヶ月を過ごすゲームですが、とてもサクサクと一日が進み、もうちょっとキャラクター達とやりとりしていたかったと思わせてくれるほど最後は皆に愛着がわいていました。
難題を出され、それを最終的に見事解決するという流れはやはり熱く、徐々に舞台を整えクライマックスを盛り上げる筆力に脱帽です。
文句なしに面白い作品でした。この作品に出会えたことがうれしいです！！