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官僚接待疑惑で蘇った私の記憶〜「官と民」〜談合とは


私は数10年商売の世界に身を置き、官公庁との付き合いもかなり多い方でした。付き合いと言っても接待は官庁に対しては皆無でしたが。談合や不正に関して、街頭インタビューで「今回の事件をどう思いますか?」と問われて「許せない」と答える人達に対して、私はこう言いたい。あなたは事務の仕事かもしれないけれど、あなたの会社は本当に談合をやっていないと思いますか!?と。解っていても誰もはっきり言わないこと。官公庁と付き合いのある会社、商店、規模は関係なく、恐らく9割の会社、商店は談合と言われるたぐいの行為を行っています。大企業のトップは自社が談合に参加しているかどうか、間違いなく知っています。ただ、部下も心得ていていざという時は部長クラスが自分の一存でやったと言う覚悟をもっていると思います。かつて西武流通グループで不祥事が起こった時がまさにその典型だったと思います。

談合には、悪い談合とやむを得ない談合があると認識しています。もちろん法律上はどちらも悪ですが。悪い談合というのは主に「定価の無い物」いわゆる建設などに代表されるものです。税金に対して企業が不当な利益を捻出する為に行う場合です。一方で定価がはっきりあるような小売りに関する物は、実は皆さんがいう競争原理は「いかにお客様(役所)に良い提案をするか。これを提案し何度も何度も交通費と時間をかけて入札まで持ち込んだのは誰か?」ここで競争原理が働いているのです。もしこれを無視して価格だけの競争をすれば、コストのかかっていない業者が落札する可能性が大きい」 ですからメーカーもそこをジャッチして営業努力をしていた会社に特別価格を出す。これが、やむを得ないと考えられている談合です。決して麻痺したわけではない、と心で思いながら悩みながら、この世界で生きて行く為に皆と同じ行動を取らざるをえない人も少なからずいるのです。

常識とは何でしょう。以前こんな事がありました。いまや政権の一角を担っている公明党ですが、その母体となる創価学会に対してはアレルギーのある人は極端です。共産党またしかりです。私の会社の元部下が極端な創価学会アレルギーでした。私は彼に質問しました。「親兄弟、親類や近所の人達がみな創価学会員だったら君はどうする?と。入る?入らない?」 彼の答えはこうでした。絶対に入らないと。それはその時の彼の周りの状況つまり常識的な答えですが、「もし生まれた時からまわりがみな学会員だったら、それが君の常識になるよ」と。

世間一般の常識と、お役所と取引をして行く中での「業界の常識」に隔離があるのです。ですから、世間一般の常識を実行しようとすると、自分勝手とか変人と視られてしまうのが現実です。私はいまはこの世界からは完全に離れていますが、かつて「自分の心の正義」を実行しようと思って行動した時がありました。自分が営業努力で☆指名入札(☆役所が入札に参加する業者を指名する方式)に持ち込んだ案件を、他の業者には何の連絡もお願いもしないでいたところ、ある業者から電話がかかってきて、いくらで出したら良いか教えてくれ!と言われました。私は、貴社が思う常識的な価格で良いんじゃないですか?といったところ、何かあったんですかと聞かれました。逆に別の案件を提案していた業者からは「協力してくれ!」という電話がありましたが、協力するとは言わず、常識的な価格で出しますと答えました。相手は怒り出し、まさか盗む気じゃないだろうな!という剣幕でした。

もう20年も前の話です。ただ、この場合でも担いでいるメーカーが違うとガチンコ勝負が大半でした。同じメーカーの代理店同士はスクラムをくみますが、このガチンコは業界によって違うでしょうが、今もあるのではないでしょうか。結果、不当な利益どころではない、大赤字の戦いになってしまうのが現実です。私は、何でもかんでも「我々の税金を使って」という言葉に違和感を感じます。企業は利益を出してこそ法人税が払える。地方の自治体が、血税だからと純正品ではない他社のリサイクル品を買う。確かに価格は安いが、その自治体の大きな収入源は、その純正品の工場だということを考えない役人もいました。あなたの町では純正品を率先して使うべきじゃないかと。

結論

第一線を退いた私だが、未だに答えが出ない。法律が守れる世の中にしたい!でも今の法律は完全ではない。かつて鹿島建設の社長が言った記事が新聞に載っていました。「せめて話し合いぐらいは認めて欲しい」と。

談合には、見方を変えれば前述の分け方とは違う区別があります。実際に話し合いを行うもの。それぞれに言い分がある場合は金額が少なくても存在します。もう一方で明らかに提案を行っていた業者がはっきりしている場合は話し合いではなく電話でお願いするというパターンです。

談合していないだろうな?という役所の担当者もいれば、耳元で、話はついた?と尋ねる人もいる。金額が大きければ談合はするなよという担当者が、同じ人が金額が少ない時、見積合わせで済む時に、他の業者2社の見積用意出来る?と言ってくる。まさに矛盾だらけの世の中です。

いま接待疑惑が叫ばれていますが、本当に清い役人の方だってたくさんいるのを見てきて知っています。元法務大臣が逮捕される。検察のナンバー2である東京高検検事長が、色々問題が起きているさなかに新聞記者と賭けマージャンをした事実を耳にした時に、当人だけではなくマスコミにも怒りが込み上げました。公務員だから賭けマージャンが悪いんじゃないだろう!次期検事総長になるかもしれない、罪を検挙する側のトップが賭けマージャンをしてこの程度の罰で済むのか!!!そこを突くマスコミは見当たりませんでした。最後の最後に遠い昔の事実をお話します。

ある仲の良い他業種の社長から、私の取引先で清掃業者はいないかと。ある警察署でその社長の会社の清掃が非常に職員に評判が良いため、どうしても続けたい。しかし規定上数社での入札を行わなければならないところを、なんとか理由をつけて見積もり合わせにしたとのこと。そこでその社長に警察の担当者が、他社の見積を用意して欲しいとお願いしてきたと。

皆さんはどう思いますか? 我々が法律に会わせて行くのか、法律を実態に合わせて行くのか。日本もまだまだですね。

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