血は何色か

A型は綺麗好きで几帳面。O型はおおらかな性格。AB型は天才肌。B型は個人主義。
それぞれの血液型にそんなイメージはないだろうか。

「君、何型?」
話題のひとつとして聞かれることも多い血液型。海外の人は答えられない人が大半らしい。日本人なら自分が何型か知らない人はほとんどいない。

私はいつもこの質問に抵抗感がある。血液型を答えるだけで自分がどういう人間か判断されてしまうからだ。
「何型に見える?」
という質問を返すことによって、相手が自分をどのように思っているか知ることもできるが。

私の母と祖母は、血液型によって性格が違うと信じている。私と話してる時に母は自分にはない発想を聞くと
「あんたは◇型だからね〜。」
その返事を聞くと、いつも私の胸に言い表せない感情が込み上げる。血液型は関係ないよ、と反論するのだが、
「◇型の人は皆すぐそう言うんだから。」
と呆れたように返してくるのだ。

悔しい、私は悔しいのだ。喉の奥が苦しくなり狼男のように月夜に吠え出したくなる。
「それは、私か?私を見ろ!!」

成功した時、失敗した時、自分の意見を言った時。
全てが血液型による性格による物だと言われればどうだろう。努力や自分自身ではなく、血液型のおかげだと言われれば?功績を別の物に取られてしまうのだ。私にはそれが恐ろしい。

「◇型の血液型の人とは相性が悪いから、嫌なんだよね。」
私の血液型を知らず、面と向かって言われたことがある。非常にショックだった。軽く笑って受け流せれば良かったのだが、私は不器用だった。その人との関係は油を差してないロボットのように、ぎこちなくなった。皮肉なことに、相性が悪くなったのだ。

血液型を話題にするのが「嫌だ」という訳では無い。きっと、私はレッテルを貼られるのが、嫌なのだ。
サイズの合わない服は窮屈で苦しい。型に嵌められるのもそれと同じだ。私はクッキーでは無い。

血液型はただの血の種類だ。それによって、性格が決まるわけでも、運命が決定するわけでもない。


「私を見ろ、それは私ではない。」
私の、血は何色だろうか。


おしまい

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