トロッコ列車に乗って里山を楽しもう!
はじめに
昨今は日本においても、コロナウイルスによる感染症が猛威をふるい、人々の日常生活に自粛行動を求められている。余暇の過ごし方も変化せざるおえないと言えるだろう。しかし、余暇に日常生活の場を離れどこかへとでかけたいとの思いはより強まっているのではないだろうか。
人々が余暇に求めるものとは
観光旅行に行こうとするときどのような理由で行こうと思うのだろうか。
個人的にも日常生活でのことを忘れ、ゆったりとした時間の中で心をリフレッシュさせたいと思う。具体的には、山や海や川や湖などが近くにあり、木々のざわめきや季節の情景など自然が豊かな場所、温泉に入る。その土地のおいしいものを食べる。などを楽しみたいと私は思っている。
旅行、日帰りの目的として共に「自然、景勝地訪問」が上位に上がっている。日常を離れ、「自然、景勝地訪問」が満たされ、都市部からも訪れやすい、千葉県市原市の南部地区も条件を満たしていると言えるだろう。本市住民にその魅力をたずねた調査がある。
上位には「養老渓谷」「小湊鉄道」「緑の多さ」など豊かな自然と風情ある景観を魅力と思っていることが分かった。ここ市原市南部地区には、人々が余暇に求めるものが多く存在している。
※市原市観光振興ビジョン2020データ
小湊鉄道トロッコ列車
私が1番に惹かれたのは、千葉県市原市を北部から南部へと走る小湊鉄道のトロッコ列車とその景色だった。四季折々の景色を見せてくれる里山の自然、沿線に植えられた菜の花、紫陽花、コスモスなどの花や養老川にかかる橋などなど日常を離れ、心をリフレッシュさせ、豊かな気持ちになれるであろう。
出典:市原市観光振興ビジョン2020データ
小湊鉄道は大正6年(1917年)創立の100年を超える歴史のある鉄道である。駅舎などの多くが大正時代に建てられ、長い年月を経て土地の風景の一部となり、魅力的である。「上総鶴舞」の駅は関東の駅百選にも選ばれ、ドラマやグラビアの撮影などにも使われる。小湊鉄道は「上総村上」「海土有木」「上総山田」「馬立」「上総牛久」「上総鶴舞」「高滝」「里見」「月崎」「養老」の10駅は国の有形文化財に登録されている。
トロッコ列車の終着地点でもある「養老渓谷」駅では駅前のアスファルトをはがし、土に戻し、草木が生い茂り、花や生き物など自然と共存して、どこか懐かしさを感じることが出来る風景へと「逆開発」をしようとする変化がおこなわれた。
里山の美しさ
小湊鉄道の沿線に広がる里山の美しい風景はその地域に暮らす人々の日々の営みや人間の手によって作られた建造物や田畑や植えられ手入れをされた木や草花などのそれらは自然と共生し、お互いの美しさをより魅力的なものとしている。
市原市では、里山の保全に地域住民をはじめたくさんの人たちの力によって守られている。市原市観光振興課による「花プロジェクト」は小湊鉄道沿線に地域活動団体や市民が菜の花を咲かせるため、種まきや草刈り、清掃、種取りなどの活動を行っている。いちはらアート×ミックス実行委員会(市原市芸術祭推進課)による房総山里芸術祭「いちはらアート×ミックス2020+」では里山や駅舎など沿線の建造物と現代アートを融合して地域の魅力を発信している。また、里山保全のための数多くの団体が活動を行っている。
絵本「小湊鉄道沿線の旅 出発進行! 里山トロッコ」:かこさとし
加古里子(かこさとし)さんは、「からすのパンやさん」「だるまちゃん」シリーズなど多くの人が知っている、人気絵本作家である。児童文化の研究者であり、工学博士、技術士(化学)でもある。本書では小湊鉄道のトロッコ列車について温かく優しいタッチのイラストの絵本で紹介されてる。トロッコとは/小湊鉄道の歴史/山里のトロッコの客車と機関車/駅(里見・飯給・月崎・上総大久保・養老渓谷)その地域の特色・文化・風土・名所・建造物・植物や生き物・言い伝え・歴史などについてイラスト付きで丁寧に分かりやすく、興味深い内容がたくさん盛り込まれた魅力的な絵本である。
小湊鉄道沿線の旅 出発進行! 里山トロッコ列車 かこさとし作/絵 発行/2016年 催成社
おわりに
このように、市原市南部地区が魅力にあふれているのは、その土地を大切に思うたくさんの人々の活動に支えられていることが分かった。大学の講義により千葉県市原市について学ぶ機会を得て、南部地区が魅力的であると感じた。本地域は観光客が求める旅の目的に多く選ばれた「自然景勝地訪問」のニーズにもピッタリとあっている。私を含め、より多くの人に訪れてもらいたいと思った。
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