見出し画像

音の無い世界(5の2)

穴田魔絵は、深剃りジョンソンが操縦している超ハイテクのオフィスビル型飛行船内で、超ハイテクの映写機で空間に映し出されたアリさんの様子を見て言った。
「アリさんは原付を転がし、地元の駅の駐輪場(バイク置き場)に到着しました。
ヘルメットを脱ぐタイミングで、航空機がアリさんの頭上を目掛けて飛来して来ますよ。」


『ゴオッーォォォォォォォゴオッーォォォォォー』



クルー(乗組員)の智子@は、穴田さんの予言どおり、アリさんの頭上を目掛けて飛来して来た航空機を見て言った。
「まるで、アリさんは『害獣か何かの獲物』で、狩りをしているが如く、航空機がアリさんの頭上を飛来して来ますね。そして、ツーンと脳髄に響くような、とても不快で、とても厭(いや)な飛行音(騒音)を撒き散らして去っていくのが特徴的ですね。」


☆穴田さんのAhoo!知恵袋☆
《航空機の飛行音は、昆虫の羽音や自動車の走行音に似た『ブウッゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥンー』という感じの音や、カミナリの音に似た『ゴロゴロゴロッォォォーゴロゴロゴロッォォォー』といった感じの音といった、さまざまなバリエーションがあります。
脳髄に響く最も不快な飛行音は、昆虫の羽音や自動車の走行音に似た飛行音で、屋外でも、窓を締め切った屋内に居ても、ほぼ同じ聞こえ方をします。
朝、アリさんの眠りを起こして来る飛行音は、そのタイプの飛行音です。
そこで、自動車の走行音を航空機の飛行音と勘違いしているのではないか?という素朴な疑問が生じるかもですが、フツウの聴覚の人※は、よほどのツンボでもない限り、航空機と自動車の騒音の区別が付かないことはありません。
航空機の飛行音と自動車の走行音の違いは、『脳髄に響く音』とアリさんは表現していますが、


【航空機の飛行音は、表現がむつかしいのですが、
脳の奥深くのほうに浸透して、脳の奥深くをツーンと揺さぶるというか、刺さるというか、脳そのものをジーンと微かに振動させるような感じの音なのです。
しかも、その振動(周波数)は、ただ、イライラするというか、ギリギリと歯ぎしりしたくなるというか、大変、不快なものです。】

アリさんが、そのような飛行音を精神を害する【音響兵器】だと表現しているのは、そのような事情からです。

自動車の走行音は、音の粒子が荒い、というべきか、言うなれば、耳の鼓膜という壁でガードが出来る音で、脳に浸透するような感覚はありません。》

(※この読み物では、分かりやすく、航空機の騒音は
『ゴオッーォォォォォォォゴオッーォォォォォー』という擬音で記載します。)
(※アリさんの聴覚は、健康診断での検査結果は異常無しです。)


穴田さんは言った。
「アリさんの外出時、どこか目的地に到着する度に、こうして航空機が、不快な騒音を撒き散らしながらアリさんの頭上を飛来して来ます。
特に警備態勢が幾重にも厳重な駅周辺では、航空機が飛来して来ない時はほぼありません。」

智子@は気の毒そうに言った。
「アリさんってほんと、犯罪経歴(前科)がゼロであるにも関わらず、心理的には『逃亡生活を送る指名手配犯』みたいな心情で日常を送られているのですね。

いや、何も悪いことはしていない『日陰者(ひかげもの)』というべきか。」

穴田さんは言った。
「アリさんが自身の身に起こっているさまざまな事象について、はっきりと、こういった五感でフツウに分かるレベルでの『物理的な異変』を感じるようになったのは、もう十数年も前からです。
なんだかよく分からない漠然とした異変を感じ始めたのは、もう、何十年も前からです。」

智子@は身辺に敏感になって言った。
「あっ、なんか【おぢさん】が現れました。
アリさんがヘルメットを脱いで身づくろいしているそばを、おぢさんがウロウロし始めましたね。ゴミを拾ったり、駐車されているバイクや自転車をわざとらしく点検し始めました。」

穴田さんは言った。
「おぢさんは駐輪場の管理人ですね。セコムか何かの防犯情報で、アリさんを不審者であるという認識をしており、アリさんを監視するために、アリさんのそばをウロウロし始めたのです。警備会社に情報を提供しているのは警察官僚(公僕)です。
まあ、全て、警察官僚(公僕)がしていることなのです。駐輪場のおぢさんは、ただ単純に警備会社の情報で動いているだけです。」

智子@は言った。
「なるほど、『集団ストーカー』を受けていると訴えている人の多くが、このようなシチュエーションを訴えているのですね。
毎日毎日、おぢさんが自分のそばにやって来て、ウロウロされる。しかも、おぢさんは、自分を不審者としてしか見ていません。確かに、いい気分は全くしませんね。」

アリさんは、長い手足をぎこちなく動かして、てくてくと歩き、駅構内に入った。
突然、【清掃おばさん】が現れた。
清掃おばさんは、構内の床を掃いたり、エスカレーターや階段の手すりを雑巾で拭いたり、ゴミ箱内のゴミ袋を取り出して回収したりする業務をしている。


穴田さんは言った。
「清掃おばさんは、じつは清掃だけが業務ではありません。極秘に不審者を監視する任務も担って(になって)いるのです。
ちなみに、清掃おばさんは、おばさんとは限りません。おぢさんであったり、若いお兄さんだったりしますが、ピチピチの若いお姉さんはほとんど居ません。」

智子@は言った。
「清掃と警備はセットなのですね。
先ほどの駐輪場の管理人のおぢさんと同じように、清掃おばさんがアリさんのそばをウロウロするのは、自明の理ということですね。」

穴田さんは言った。
「そうです。防犯カメラが設置されているような、あらゆる場所で、アリさんは決して一人で居ることは出来ません。
たえず、警備員を筆頭に、管理人であるとか、清掃おばさんであるとかが、アリさんのそばをウロウロ、ウロウロします。」

智子@は気の毒そうに言った。
「気が休まる暇がありませんね。」

アリさんは濃紺色の迷彩柄のショルダーバッグから長財布を取り出して、小銭を券売機にジャラジャラと投入し、切符を買って改札口を出た。
トイレで用を足しておこう、と男性トイレに入ろうとすると、トイレ入り口には【清掃中】の黄色い立て看板が置かれてある。
アリさんにはしょっちゅう、よくある日常の光景である。案の定、先ほどの清掃おばさんが便器をスポンジで磨き倒したり、モップで床を撫で回したりしている。
アリさんは清掃おばさんを尻目に、用を足した。

清掃中

穴田さんは言った。
「警備上の理由から、不審者には出来るだけトイレを使わせないようにするマニュアルがたぶんあるのです。
あと、『不審者がいるから注意』という、注意喚起の意味もあると思われます。

アリさんは駅構内だけではなく、あらゆる施設、ショッピングモールや、マク◯ナルド、挙げればキリがありませんが、コンビニですら『清掃中』に遭遇する頻度が異様に高いのです。

以前、道端でアリさんはどうしてもオシッコがしたくなって、あるコンビニに入ってトイレを借りようとしたのですが、トイレの入り口をガードするかのように、外国人アルバイトが延々と清掃をしていて、結局、借りることは出来ませんでした。」

智子@は言った。
「トイレの利用がしずらくなるという【日常生活に制限】が生じていますね。ただですら頻尿気味のアリさんにとっては、呪わしいことですね。
これは一種の【人権侵害】として論じてもいいような事象なのではないでしょうか。」




※重要:このシリーズの記事は、ほぼ全ての記事が現在進行形の【書きかけの状態の記事】であり、大幅な書き足しや文章の削除修正は大いにあります。
(幾つもの記事を並行して書いています。公開してありますが、ほとんど、メモ状態の記事さえもあり得ます。)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?