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音の無い世界(5の8)

穴田魔絵は、深剃りジョンソンが操縦している超ハイテクのオフィスビル型飛行船内で、超ハイテクの映写機で空間に映し出されたアリさんの様子を見て言った。
「もうすぐアリさんは私の講演会の会場に到着されます。私も一足先に会場に向かいますね。」


クルー(乗組員)の智子@は、スマホでGoogleマップを凝視しながら、会場を目指して歩いているアリさんの様子を見て言った。
「まだ、開演時刻までは充分に時間はありますが、アリさんは、ちゃんと開演時間に間に合うのでしょうか。
Googleマップのナビ(矢印)と明らかに違う方向に向かって歩いたりしています。」

穴田さんは言った。
「アリさんは、類いまれな方向音痴なのです。たぶん、開演時刻より十数分ぐらいは遅れて来ると思われます。」


穴田さんは、社長室の一角に置かれてある、レトロな雰囲気の、重厚な木製の大きな観音開きの三面鏡で、
全身をくまなく映して、女優のようにポーズを取ったり、チャーミングな黒目の大きな両瞳をクリクリさせて、ニコッと笑って見せたりして、ナチュラルメイクの化粧と講演会の衣装の最終チェックをした。
穴田さんは、身支度(みじたく)を終え、深剃りジョンソンに言った。
「外出準備完了です。私を講演会場の付近にテレポート(瞬間移動)させて下さい。」

深剃りジョンソンは、カタコトの日本語で応えた。
「ラジャー、了解です。マダム・プレジデント。」

深剃りジョンソンは、何かの儀式※のように厳か(おごそか)に、超ハイテクな、コンニャクのようなプヨプヨした質感の『渦巻く無機体』を、杖(つえ)のような突起した棒状の無機体のようなモノで、優しく撫で回すような動作をした後、その棒状の無機体のようなモノを、『渦巻く穴』に突っ込むような所作(しょさ)をした。

すると、穴田さんの身体は、神々しいほどの真っ白な光に包まれ、突然、空中に浮遊すると、フッと消えた。
(※テレポーテーションの様子は、言葉では全く形容がしがたいが、あえて表現すると、このような文章となります。)


智子@の脳内で、突然、穴田さんの声が木霊した(こだました)。
(((((智子さん、今、私は会場の近くに居ます。
これから先は、私との意思伝達は、マイクロ波音声パルス送信でして下さい。別に強く思わなくても、意思は伝わるので大丈夫です。
あっ、小腹が空かれましたか。三面鏡の引き出しに、以前、アマゾンで注文して頂いた『どんどん焼き・ソース味15袋入り』があります。)))))

智子@は、三面鏡の引き出しから、どんどん焼きを取り出して、【思おうと思わず思った。】
(((((これって、もしかして『テレパシー』とかいうものではないの?
うーむ、もしかして、日常的に私の思念を読まれているんじゃないのかしらん、、、)))))

穴田さんは一瞬、チャーミングな黒目の大きな瞳を泳がせて、脳内で、お茶を濁すようにして言った。
(((((智子@さんの思念にアクセスするのは、今回が初めてです。日常的になんてしていません。
ちなみに、こんなテレパシー技術なんて、さほど真新しいテクノロジー技術なんかではありません。少なくとも半世紀ぐらい前から、地球人類はこのようなテクノロジー技術を取得しています。
地球人類の最大派閥の秘密結社『イルミナティ』が、このような技術を独占して、一般大衆には、ひた隠しにしてきただけです。))))))


【※テレパシーの会話は、この読み物を読みやすくする都合上、ここから先は、ふつうの会話形式で進行させて頂きます。】

穴田さんは、講演会場から数百メートル離れた場所に、テレポーテーションで降り立っていた。ふつうに電車で来たかのように、見せるためである。

アリさんは焦り始めた。
開場時刻は迫っているのに、なかなか講演会場に辿り着けないからでいるからである。
缶コーヒー(人工甘味料)とコカ・コーラゼロ(Mサイズ)を飲んでいて、一度、用を足しているが、水分摂取量が過多気味で、背中に汗をジットリとかきはじめた。
講演会場にようやく、あと十数メートルという距離に近づけた時には、もう、汗ビッショリになってきた。


智子@は呆れて言った。
「アリさんったらもう、、、会場をすぐ目前にして、また違う筋(すじ)を曲がって行っちゃった。
アリさんは、ナビ(矢印)の方向に向かって歩くということすら出来ないのですか。
それとも、アリさんのGoogleマップは、なんか微妙に抜けているんじゃないですか。
地球の裏側の裏側まで歩くつもりですか。」


穴田さんは、すでに会場に入場していて、スタンバイ完了状態である。
穴田さんは、チャーミングな黒目の大きな瞳をぱちくりさせて、手鏡でナチュラルメイクの化粧ノリを最終チェックしながら言った。
「アリさんが講演開場の建物入り口に到着すると、緊急車両のけたたましいサイレンが鳴り響くはずです。到着したら、すぐ分かりますよ。」


アリさんはついに、講演が行われる会場の建物を発見した。
アリさんが慌てて、その建物の入り口に入ろうとしたタイミング(直後)で、突然、【消防車】※がけたたましいサイレンを流して、アリさんのすぐ目の前をゆっくりと走り去った。辺り一帯は騒然とした雰囲気に包まれた。


『ヴッーーーーーーーゥッカーーーーーーンカーーーーーンッカーーーーーンッヴッーーーーーーーーーーゥ
【消防車】が通りますぅ 進路を譲って下さいっ 【消防車】が通りますぅ 進路を譲って下さいっ』


智子@は納得して言った。
「【消防車】も、救急車と同じ、公僕の緊急車両ですから、消防活動だけが業務ではなく、『防犯パトロール』(集団ストーカー)の業務も兼ねているのでしょうね。」

穴田さんは言った。
「【消防車】は救急車の出動よりかは、はるかに少ないものの、アリさんにとって、こういう一大イベントの日や、電車などに乗って遠出した日などは、こうして、【消防車】の防犯パトロール(集団ストーカー)に遭遇することがわりとあります。」


アリさんは会場の入り口のフロアーに入ると、受付に向かった。開演時刻はすでに15分ぐらい過ぎている。
受付には穴田魔絵の妹の鬼頭魔蘭が居た。
ベネチアン・マスクを着けている、受付嬢の魔蘭は言った。
「お名前と、入場用のパスワードをお願い致します。」

アリさんは言った。
「あ、アリさんでしゅっ。ふぃっふぃフィデリオっ(パスワードの言葉)」

魔蘭はやんわりと会釈して言った。
「どうぞ、お入り下さい、アリさん。いつもありがとうございます。」

鬼頭魔蘭のイメージ


※重要:このシリーズの記事は、ほぼ全ての記事が現在進行形の【書きかけの状態の記事】であり、大幅な書き足しや文章の削除修正は大いにあります。

(幾つもの記事を並行して書いています。公開してありますが、ほとんど、メモ状態の記事さえもあり得ます。)

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