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音の無い世界(5の9)

穴田魔絵は、開口一番、絶叫した。


【日本は、美しい、万華鏡の国ですっ!】


穴田さんは、マイクを口元に寄せながら、ときおり、右手の人差し指をピンっと立たせて熱弁した。
「会場にお越しの皆さんっ!
日本は美しい国、美しい万華鏡の国、万華(和心)※の国ですっ。万華の国なのですっ!

日本の庶民(一般大衆)は、ここ30年以上、いいえ、半世紀近くと言ってもいいでしょう、平均賃金(給料)が全く上がっておりません。
日本民族ほど勤勉な民族は、地球上、どこを探してもいないはずなのに関わらずです。

ですが、消費税なるものができ、さらにそれが10%まで増大し、そして、物価だけが1.3倍ぐらいは上がっています。
そのせいで、日本人口の4割は年収200万円程度で、貯金ゼロのワーキングプアとなっています。
そして、男性の3割が結婚も子作りも出来ないという、生きる意味を見出だせない孤独化・孤立化が進んでいます。

さらに、大量の外国人移民が、日本人の『境界知能』※の労働者の『単純肉体労働』※の仕事をも、根こそぎ奪うようになりました。

(※知的障害とまではいえない程度の知能の持ち主の、境界知能の人は7人に1人の割合で居る。)
(※ホームレスの生計手段の缶拾いすらも、最近は中国人に車で根こそぎ、取られてしまうそうです。)


開発途上国(後進国)から来た大量の外国人労働者が、日本国内で、低賃金の長時間労働に勤しんで(いそしんで)いるということは、必然的に、日本人労働者も、日本に居ながら、同じ労働条件で働かなくてはいけなくなるということを意味しています。実際、その通りとなっています。
雇う側からすれば、高賃金で、さらにクビに出来ないような日本人労働者を雇うメリットはゼロだというのが自明の理です。

日本文明は、明らかに衰退の一途を突き進んでおり、日本民族は、滅亡への一途を辿っているのです。

かつての世界一、水が綺麗で、四季豊かな日本列島は、あと100年もしないうちに、日本民族だけの所有物ではなくなり、中国人、ベトナム人、クルド人、、、その他、有象無象の異民族が蠢く(うごめく)、多民族の共和国となるのです。

日本列島は、海の向こうの『グローバル悪魔達』に工業製品を供給させるための、有象無象の奴隷が働く工業地帯となり、異民族がぐっじゃぐじゃに蠢く(うごめく)、ただの僻地(へきち)となるのです。

やがて、異民族同士の交配も進み、純粋な日本人はほとんど居なくなります。もう、目に見えています。

私たちは、まだ幸せな時代(西暦2000年前後)を生きることができた、純粋な【最後の日本人】となるのでしょう。」

(※この読み物では、『万華』という言葉は、日本民族の『和心の象徴』として描いています。)


アリさんは全身、汗ビチョビチョの状態で、講演会場のドアを開けた。
会場は見渡す限り、聴講客でいっぱいである。
アリさんはその大勢の講聴客におののき、若干、コソドロのように挙動不審にキョロキョロと辺りを見渡すと、いちばん最後列の、いちばん目立たない空席を見つけ、ちょこんっと座った。


智子@はなんとなく言った。
(((((アリさんったらもう、、、顔面は蒼白く、ガリガリの痩身で、不自然に大汗をかいていて、一見、警察官とかが見たら、薬物中毒症者か何かのようにも見えなくもない容貌ですね。)))))
(※穴田さんとの脳内での会話です。)

穴田さんは言った。
(((((アリさんは循環器系・甲状腺などに障害というほどでもないですが、明らかに生まれつき、問題があります。アリさんは虫のように体温調整が難しく、アリさんの手はいつも、死人のように冷たいのです。)))))
(※智子@との脳内での会話です。)

智子@はアリさんの聴講している表情を見て言った。
(((((アリさんは、穴田さんへの憧れと、プラトニックな恋で、目から『好き好き光線』を出してますね。
いつも、画面越しのYouTubeでしか見れなかった姿をこうして、ナマで見れているわけですから。)))))

穴田さんはチャーミングな黒目の大きな両瞳を、アリさんの目線と合わせて言った。
(((((アリさんは私のことを、ただの『憂国の志士』というだけではなく、可愛くって、温かくて、柔らかそうで、
日本の守り神『アマテラス』や、革命家で聖人となった『ジャンヌ・ダルク』のようなイメージを見ているようです。 )))))

日本人の大半がジャンヌダルクが描かれていると答える絵画。(民衆を導く自由の女神)

穴田さんは、マイクを口元に寄せながら、ときおり、右手の人差し指をピンっと立たせて熱弁した。
「大東亜共栄圏(黄色人種のユートピア構想)の夢が無惨にも打ち砕かれた、大東亜戦争後の日本の時代は『自民党の時代』そのものなのです。

岸一族(安倍一族)が、日本民族の復興・甦り(よみがえり)を懸け、日本をアメリカの属国としての役割を甘んじて呑みながら『清濁併せ呑む』政策で牽引してきたのです。
安倍晋三が凶弾で暗殺された今、もう、自民党の時代は完全に終わりを告げたのです。時代の転換期です。

新時代は自民党の時代ではありません。もはや、戦後ではないのです。」

穴田さんはさらに、マイクを口元に寄せながら、ときおり、右手の人差し指をピンっと立たせて熱弁した。
「私たちの本当の敵は、じつはもう追い詰められ、『アシバン状態』なのです。
皆さんは、一瞬開けられたドアに、閉められないように鉄板に覆われた安全靴を挟む行為を御存知でしょう。敵はドアをこじ開けられる一歩手前の状態なのです。チェスだと、チェックメイトの状態です。

私たちは何も悪いことはしていません。それだけが唯一の強みなのです。私たちは何も悪いことをしてきませんでした。
グローバル悪魔達に、法を抜け穴だらけとされてしまっているといえど、まだ、最低限の人権※は保障されています。戦後、アメリカに一方的に押し付けられた憲法といえど、人権が保障されているのです。

今現在の日本国の法において、完全に無実な人間には、どのような悪魔もまだ勝てないのです。

(※日本では、人権という言葉自体、戦後に憲法で初めて取り入れられたものであるようです。)

これにて、講師:穴田魔絵『グローバル悪魔の抜け穴を見抜く知恵袋』の講演会をお開きとさせて頂きます。」


穴田さんは最後に、いつもの渾身のパワーワードで絶叫し、講演を締めくくった。
「日本は美しい国っ! 美しい万華鏡の国っ! 万華の国なのですっ!

地球上で、最も古(いにしえ)から存在する日本民族、奇跡のような日本民族の、この美しい国を決して諦めてはいけませんっ!
私たちの先人の日本人達も、先の大戦で御存知のとおり、民族の生き残りを懸けて死に物狂いで戦った結果、今、私たち子孫がこうして、日本民族として存在することが出来ているのですっ!」

満員の聴講客は、総立ちのスタンディングオベーションで穴田さんの退場を見送った。
アリさんも、ただ、立ち尽くして、魂が抜けたかのように、無心に拍手した。



智子@は感嘆して言った。
(((((今日の講演会は本当に、熱のこもった素晴らしい演説でした。
特に万華という言葉でのシメのところなんて、思わず、感涙して瞼(まぶた)がしっとりと濡れてきました。)))))

穴田さんは、チャーミングは黒目の大きな瞳を、黒ダイヤのようにキラキラさせ、まんざらでも無さげに言った。
(((((智子@さん、いくら褒めても何も出ませんよ。
今日の講演会、アリさんは満足して頂けたでしょうか。)))))


智子@は、瞼(まぶた)をうっすら濡らして言った。
(((((アリさんは、穴田さんと目が一瞬合ったと感じただけでも紅潮し、とても、とても、幸せそうでした。)))))





※重要:このシリーズの記事は、ほぼ全ての記事が現在進行形の【書きかけの状態の記事】であり、大幅な書き足しや文章の削除修正は大いにあります。
(幾つもの記事を並行して書いています。公開してありますが、ほとんど、メモ状態の記事さえもあり得ます。)

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