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音の無い世界(5の4)

穴田魔絵は、深剃りジョンソンが操縦している超ハイテクのオフィスビル型飛行船内で、超ハイテクの映写機で空間に映し出されたアリさんの様子を見て言った。
「大阪に向かう電車が来たので、アリさんはちゃんと、乗客が降り終わるのを待ってから、乗り込みます。
アリさんは常識的なマナーを遵守する人です。」

クルー(乗組員)の智子@は、アリさんは乗客が降り終わるのを待って乗り込むのを見て言った。
「物事の道理は『出すほうが先』ですからね。
スピリチュアリストの須藤元気さんも以前、そのようなことを著書でおっしゃっておられました。」

穴田さんは、お気に入りの鯖江製(純国産)のお洒落な黒縁メガネをスッと外して言った。
「しかも、アリさんはよほど体調が悪い時以外は、優先席(シルバーシート)には座りません。
ただ、アリさんは電車内の密閉された、どんよりとした空間が苦手で、それは電磁波の量のせいなのか、大気の問題なのか、よく分かりませんが急に気分が悪くなることが多くて注意が必要です。」


アリさんは、乗車後、すぐに直射日光が直接当たらない窓際の席を見つけて、長い手足を折り畳んで、ちょこんっと座った。
アリさんは、ショルダーバッグからSONY製(国産)のワイヤレス・イヤホンをおもむろに取り出し、両耳に装着した。
(※アリさんは以前は、TSUTAYAとかで、いそいそと音楽CDを借りて、マイクロSDにコピーし、それをスマホに入れて聞いていたのだが、今はもう、Spotify(すぽってぃー)とYouTubeだけでも、無限に視聴出来てしまうので、コピー作業はやめてしまった。
でも、いわゆるカップリングB面曲は、今もCD音源でしか聴けないのが多いのは残念である。)


アリさんは何気に、電車内の電光掲示板を見ると、警察庁による『不審物を発見したら通報をお願いします。』と書かれたテロップが延々と表示されている。
アリさんにはしょっちゅう、よくある日常の光景である。

智子@は憤慨して言った。
「また、警察庁がアリさんに防犯テロップを見せつけていますね。なんて執拗なことでしょう。」


アリさんは何気に窓から景色を見ていると、停車する駅、停車する駅、、、【清掃おばさん3.0】がゴミ箱からゴミ袋を回収する作業をしているのが見えた。
アリさんが乗車している電車が停車するタイミングに合わせて、【清掃おばさん4.0】がゴミ箱の前に出現しているように思われた。


智子@はなんとなく言った。
「なんか知らないけど、たえず、アリさんの視界の中には清掃おばさんが居る状態で、清掃おばさんは全員、映画マトリックスの『エージェント』みたいな存在に思えてきてしまいそうですね。」

穴田さんは言った。
「そうです。清貧な清掃おばさんに全く罪はありませんが、アリさんは無意識に注意を削がれ、よほどの聖人ではないかぎり、何気に鬱陶しい存在であるということが分かるでしょう。」


電車は海岸沿いを走行し始めた。
アリさんは窓際で、大海原が一面に広がっているのを見ている。
この地域一帯は、大昔、源平の合戦で有名な地である。

遠い海面に、かなり大型だと思われるタンカーのような船(タンカーだと全長約330メートル)が何隻も見える。
アリさんは以前から気付いているのである。
その船は、おそらく、警備船のような任務をしていて、地域全体を監視しているのである。

アリさんは、そのタンカーのような船をじっと見ていると、電車は走行しているにも関わらず、その船は遠ざかることはなく、ずっと、電車と同じ距離に居るように見えた。
その船は、アリさんが乗車している電車とほぼ同じスピードで、電車を追いかけるように航走(こうそう)しているのである。
その船は、電車に乗車しているアリさんを監視するためだけに、電車を追いかけるように航走していたのである。

(※アリさんのいつかの追憶)
『電車の座席にてふと、窓に目をやると、線路沿いには海岸が延々と続いている。巨大なタンカーのような船が遠方にあるのが見えるのだが、何駅にも渡り、その船は遠ざかることなく、同じ大きさで目線に収まっているのに気付いた。その船はアリさんの乗っている電車とほぼ同じスピードでアリさんを追いかけるように海上を走行(航走)していたのである。こちらから肉眼で船の姿がはっきり見えるということは、船に乗っている海上監視員なんかは業務用のバカでかいバズーカ砲のような望遠カメラでアリさんを見ているに違いなく、アリさんの姿は毛穴が見えるくらい、はっきり見えていることだろうなぁとアリさんは身震いした。』

望遠カメラ

智子@は身震いして言った。
「アリさんったらもう、航空機だけではなく、タンカーにも追いかけられて監視されるのですね。」
(※実物はもしかして、タンカーではないかもしれませんが、視覚的には、大型のタンカーのような船舶です。)

穴田さんは神妙な面持ちとなって言った。
「カメラが好きなアマチュア・カメラマンの人だとフツウに分かると思いますが、最近のカメラの性能はものすごく良いのです。スマホですら、月のクレーターまで撮れてしまう時代です。

たとえば、肉眼では、こちらからは点のようにしか見えなくても、向こうも同じように、こちらを点のようにしか見えていないとは全く限りません。
向こうが望遠カメラだと、こちらを毛穴まで見えるぐらいに鮮明に見えている可能性があります。
(※表現がむつかしいのですが、ニュアンスとしては意味は伝わりますでしょうか。書き手の語彙力の問題です。)

だから、自宅で屋内に居ても、若いピチピチの女性なんかは特に、解放的な気分になって、窓のカーテンを閉めずに、裸でうろうろしたりなどしてはいけません。
たとえば、上空を低空飛行している航空機からは物理的に、その姿がありありと見えている可能性が高いです。
ちなみに、防犯パトロールをしているようなパイロット・乗組員はみんな、鍛え上げられている、ガタイの良い健康体の、平均以上にムラムラと性欲がある男性です。

ある覗きマニアな人が居たとして、特大のバズーカ砲のような望遠カメラが1台あれば、相当、遠方にある家でも、窓のカーテンを閉められずにいたら(すりガラスだと見えませんが)、屋内の様子をありありと覗けてしまう、ということを、頭の片隅に置いておきましょう。」

京都大学総合獣人間学部のアマチュア・カメラマンのイメージ


※重要:このシリーズの記事は、ほぼ全ての記事が現在進行形の【書きかけの状態の記事】であり、大幅な書き足しや文章の削除修正は大いにあります。
(幾つもの記事を並行して書いています。公開してありますが、ほとんど、メモ状態の記事さえもあり得ます。)


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