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8/28 トラウマとアウトプット

僕は子供の頃、父の会社の人たちと焼肉屋で食事をしていた際、豚足が出てきたことで強い衝撃を受けました。それまでは肉を曖昧に「肉」として認識していたものの、その時初めて食べているものが「豚さんの体」だと認識しました。周りの人たちが楽しそうに豚足を食べる姿にさらにショックを受け、その体験がトラウマとなり、以来肉や魚といった動物の死体に対する強い抵抗感を抱くようになりました。物心ついてからは、肉や魚を食べることは自然の摂理だと理解しつつも、調理過程を目にしたり想像したりすると激しい抵抗を覚え、結果的に食べることができなくなりました。ただし、料理として完全に認識できる形のものは、中学生の頃からは食べられるようになりました。

この抵抗感が、僕のアート制作にも影響を与えていると考えています。具体的には、グロテスクなものに対する苦手意識が、逆にアートで生々しい題材を取り扱う方向に繋がっているのです。これは「反動形成」という心理的メカニズムによるものです。反動形成とは、内面的に抑圧された感情や欲望が、対照的な行動や表現として現れる現象を指します。つまり、自分が抵抗を覚えるテーマや感情を、逆に積極的に表現することで、内面的な葛藤を処理しようとしているのです。

アートを通じてグロテスクな表現を扱うことで、自分の内面的な葛藤や抵抗感を外部化し、処理しているのです。このプロセスは、アートが内面的な感情を表現する手段として機能する一方で、心理的なバランスを保つための反応でもあります。抵抗を覚えることをアウトプットとして表現することで、僕の心理的な矛盾や葛藤が解消されるのです。

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