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15.誘拐未遂

 夫のおばあちゃんが亡くなりました。おばあちゃんは、とても優しそうな人でした。いつもニコニコ笑っていました。「優しい人でした」ではなく「優しそうな人でした」というのには理由があって、実はあまり知らない方なのです。ある日、突然家に居たのです。急に一緒に暮らすことになったんだそうです。なので私は数回しかお会いしたことがありません。

 義母が言うには、そのおばあちゃんは義母のお母さんで、義母のお姉さんの家で暮らしていたそうなのですが、お姉さん夫婦に虐待され、年金をむしり取られていたので、必死に救出してきたと言うのです。ごはんもみんなと食べさせてもらえず、夕飯の残り物を一日一回部屋に運ばれて、冷めて干からびた食事をたった一人で食べて過ごしていたという話でした。

 その話を聞いた時には、ひどい話もあるものだなぁ。助けてもらってよかったなぁ。これからは平和に暮らせるといいなと思いました。

 でも今思うと、もしかしてこのおばあちゃんも連れ去られてきたのかなぁと思わざるを得ません。

 そのおばあちゃんのお葬式に来るようにと言われていました。もちろん本来であれば私も親族なので参列すべきだったと思うのですが、怖くて怖くてとてもじゃないけど行きたくありませんでした。「こどもたちだけでいいから参列しろ!」と鬼のようなLINEと着信がきました。断るのは本当に大変で、人の人生の最後のお見送りの場面という状況なので行かないという決断をするのは心苦しくもあり、辛かったのですが、最後まで「私も子どもたちも行けません!」と貫き通しました。 

 お通夜にも、お葬式にも参列せず、おばあちゃま本当にごめんなさい。

 でもこの日、もしお通夜、お葬式に参列していたら、私だけ追い返されて子どもたちだけ帰してもらえず、一生会えなくされていたかもしれません。このケースでは「違法な連れ去り」とはならなかったはずだから。

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