メタバース選民思想?

どうも、今回初めて本気で人様の批判記事を書くアリエスです。

いつもならこんな事絶対しないんですが、該当の記事が些か暴論と感じたこと、そして何より該当の記事を書いた方が恐らく伝えたいであろうことと実際に書かれていることが乖離していると感じたため、この違和感の解決や言語化をする意味で筆を取る事にしました。そのため以下の本文は全て独自解釈に基づく物であることをご了承ください。

該当の記事を読んで読み取れる事を箇条書きすると
・スタンミ氏の影響で初心者が増えた
・既存のメタバース有名人ではスタンミ氏ほどの功績はあげられなかった
・それなのに既存のメタバース有名人が「今までの活動は無駄じゃない」と考えるのは傲慢であり、その傲慢さは後述のメタバース選民思想から来ている。

メタバース選民思想とは
どうやら複数のパターンがあるようなので、下記の元記事の「メタバース選民思想の定義」を参照されたい。
https://note.com/ample_chimp1712/n/nc124a70ec4fb?sub_rt=share_pb

まとめると「メタバースで自分自身の現実状況と仮想現実状況の勘違いをし、自分が他とは違う選民であるかのように振る舞うこと」らしい。

確かにそういう思想を持った人間は私も観測しているし、この選民思想という考えは言葉こそ強いが一定的を得ていると感じる。
では、この強烈な違和感が何なのか。
それを紐解くために、客観的事実として起きている事をまとめる。

・スタンミ氏の影響で初心者が増えた
・既存のメタバース有名人はスタンミ氏ほどの影響力やメタバースの地位向上を実現する起爆剤を作っていなかった
・「メタバース選民思想」の定義に当てはまる者が一定数存在している

恐らくだが、違和感の正体は「これらの事実が全て別個の事象であり繋がってはいない」からだと推測する。

まず、スタンミ氏の影響で初心者が増えたのは紛れもない事実である。
次に、既存のメタバース有名人がスタンミ氏ほどの起爆剤を作っていなかったのも事実である。
最後に、「メタバース選民思想」の定義に当てはまる人間が存在するのも、具体的な数は分からないが存在しているのは事実である。

しかし、これらの事実は本当に繋がっているのだろうか。私には違うように見える。

実際はこうなのではないか。

メタバースに元々いた有名人の中に、スタンミ氏をはじめとする外の世界の有名人に匹敵する影響力を持つ方がたまたま誰もいなかった。
身も蓋もないが、これである。ただ、スタンミ氏に匹敵する影響力を持てなかった理由が選民思想によるものなのかは些か疑問を感じる。

たとえば以下の事例が考えられる。
・活動者や有名人になるつもりなど毛頭なく、気付いたらVRchat等の狭い範囲で有名人になっていた一般人だった。
・活動者または有名人ではあるが、スタンミ氏ほど精力的に活動するつもりがなく、趣味の範疇でやっていた。
・メタバースの社会的地位の向上は願っているが、新規参入の起爆剤を作る目的はなく、あくまで自発的に入ってくる初心者に向けて活動していた。

選民思想以外にもパッと考えつくだけでこれだけある。そもそもの話として「スタンミ氏に匹敵する影響力を持っていないこと」をよしとせず、あまつさえその理由を「傲慢な選民思想によるもの」と断定することは、人としてあまりにも失礼な態度と言えないだろうか。
別に活動者は有名人になることや強い影響力を持つことだけが絶対的な目的ではないし、なんなら活動自体がごっこ遊びだとしても、ごっこ遊びをすることを非難される謂れはないのだ。

これは推測だが、恐らく既存のメタバースのインフルエンサー達は外に向けての啓蒙活動ではなく、自発的に参入してくる人々に向けた啓蒙活動を重点的にしていたのではないだろうか。
ゆえに外に影響するための強い影響力を持ったり、外に向けた強烈な起爆剤を作る者がいなかっただけなのではないかと考えている。
スタンミ氏に匹敵するほどの強い影響力を持つことを誰も目指していなかったなら、スタンミ氏のような影響力を持った人間がいなかったのも道理である。というか、目指したとしてスタンミ氏レベルの影響力を持つのは困難を極める。
したがって、他者に対して安易にスタンミ氏と同レベルの影響力を求めることもまた、傲慢な態度と言える。

選民思想を持つ人間が許せない、気に入らないという話であれば、選民思想その物に対しての批判をした方が話が伝わりやすい。該当の記事には「既存のユーザーがスタンミ氏に影響力で負けた悔しさ」「選民思想を持つ一部ユーザーへの嫌悪」「「成果を出せない物は誇ってはいけない」という筆者個人の選民意識」が発露しているように見えてならないのだ。
そしてそれらが混ざり合った結果、本人の意図しない方向にまで流れ弾が当たり、意図しない形で批判を呼んでいるのではないか。



スタンミ氏が来る前に活動していたのは何もメタバース内の有名人やインフルエンサーだけではない。 VRC内のギミックの作成・配布や、初心者に向けた記事の執筆、ワールドやアバターの制作、
あるいはイベントの開催など個人に出来る範囲でメタバースの魅力を伝えようとしていた人は私が知る限りでも相当数存在している。

該当記事の書き方から察するにおそらく、該当記事の筆者は外から来たスタンミ氏という強烈な影響力を持った存在によって簡単にVRchatへの新規参入者が増加した事実に対して悔しさなのかやるせなさなのかはわからないが、思うところがあったのだろう。

しかし、今日のメタバースが存在するのはワールドやアバターを制作する方、初心者が迷わないように記事を書いたり、メタバース内で初心者を案内する方、イベントを開催、継続する方、活動者や配信者として魅力を伝える方など数えきれないほどのメタバース内に生きる人間の尽力によって作られているからでもある。

ゆえに彼らが「俺達の活動も無駄じゃなかった!」という主張もまた事実であり、それは決して選民思想から来るものではなく、一言で言えば「自分のしてきた事への誇り」である。もちろん傲慢なのは問題だが、微力ながらでも自分のしてきた事に自信を持てているのならそれはむしろいい事ではないか。それとも、スタンミ氏をはじめとする外の世界の有名人に及ばない人間の行動は全て無意味で、影響力を持てなかった事実を反省し、スタンミ氏のようなインフルエンサーに対抗出来るよう努力すべきだとでも言いたいのだろうか。もしそうだと言うなら、それこそ選民思想ではないか。

大前提として、我々は強烈な影響力を持つ人間に勝つ必要はないし、なんなら無意味なごっこ遊びでも構わない。スタンミ氏含め、外の世界の人間は文化や歴史を破壊する侵略者や簒奪者でもなければ、影響力や成果を競い合う戦争の相手でもないからだ。

もしメタバースが少年漫画で、外界の人間に負けるとメタバース世界が滅亡するとかなら分かるが、そんなことはない。別に負けたところで何もないのだから、影響力で負けていても、成果が上げられなくてもインフルエンサーでいていいし、センスいいとか思っててもいい。何かに属する事が偉いと思っていてもそれはそれでいい。
そうやって自分を肯定する事が選民思想なのではなく、自らの行動を肯定するためには成果が伴わなければならないという思い込みこそが選民思想の正体と考える。


最後に、これが批判記事として成り立っているかはわからないが、この記事を考え方のひとつとして頭の片隅に置いて頂ければ幸いである。























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