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散文詩

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#夏

重い空気に押し潰される
静かな耳鳴りは
自分だけ

重い感情に押し潰される
他人からも自分からも
感情で圧死する

重いものは姿をかえ
誰かを襲う

静かな化け物

臥待月
6年前
1

虫の音が聞こえる
熱帯夜
ふと蚊帳から
夜空を見上げた

大きな雲が月を呑み込んだ

虫たちが静寂になり
空気がひやりと熱を奪う

空は夜の色を失い
禍々しい色になる

あぁ、一夜の終焉だ

臥待月
6年前
1

湿度の高い部屋のなか
まぶたをあけると
光が溢れている
雨ではない
まだ静かな夏空
新たな門出になればいい

臥待月
6年前