2023 有馬記念今更回顧 ''ドウデュースって何?''

超絶今更ですが、有馬記念の回顧をしようと思います。
死ぬ程遅いけど冬コミがあったりしたから許してヒヤシンス。

問.以下について自由記述で答えよ。尚文字数に制限は設けない。(配点:100)

これに対してあなたは何と答えますか?
私の場合「知らない。分からない。」で提出すると思います。いやホントに。
とりあえずなんで分からんのよというのを血統を中心にザカザカっと触れられたらなと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。


1.ドウデュースの血統概要

ハーツクライを始めとするトニービン持ちにSeattle Slewを注入する配合は大飛びでスピードを持続させるタイプに振る配合系でスワーヴリチャードに典型される配合パターン。
またVindicationの母父Strawberry RoadはHyperionを5×5でクロスしており、これによりトニービンの持つHyperionを更に刺激しよりスピードの持続力を持続させる方向に振っている。
同時にLyphardを4×4でクロス。
これは1番分かりやすいところで言うとキタサンブラックに代表される様にFair TrialとNorthern Dancerによるパワー的機動力と持続力、渋とさといったところに一役担っている血になる。
同じハーツクライ産駒ではリスグラシューもLyphardの多重クロスから発生する機動力や持続力を武器に2019年に春秋グランプリ制覇を果たしたのは割と記憶に新しいだろう。
もっと細かいところを搔い摘むとVindicationの母Strawberry ReasonはEight ThirtyをクロスしておりこれがNorthern Dancerと絡んでパワー源となり同時に底力源となり等々あるが、ひとまずはこんなところにしておきたい。

サンデーサイレンスから続く瞬発力について軽く触れておくと、5代血統表内でHail to Reasonを4×5でクロス。
Bold Reasoningの母父がHail to Reasonである為、合わせて4×6・5のクロスとなる。
また、母方でNasrullahを取りまとめておりこれがHaloやNorthern Dancerの牝祖であるAlmahmoudとMumtaz Mahalで迎合、スピード源・瞬発力源となっている。
この辺はちゃんと書こうと思うと色々と作業がめんどいので各自Targetなりなんなりを活用してください( )
あとそもそものサンデーサイレンスの血統的な瞬発力・爆発力に関しては弊著「サンデーサイレンスって何?」を読んでください。(隙自宣)

2.府中の中長距離と中山内回りの中長距離で求められる適性の違い

さてドウデュースの血統的な特徴を触れたところで府中と中山内回りコースとでどんな要素が求められるかを考えていきたい。

まずは府中から。
主場4場の中でもっとも長い525.9mの長さの直線を誇る東京競馬場。
大きく回るコーナーがあり、この長い直線でフルに末脚を発揮する為に瞬発力からのスピードの持続力比べになりやすい。
その為、上記で挙げたトニービンやSeattle Slew、その他で言うとクロフネ辺りを内包する馬が好走したり穴を空ける例が多い。

続いて中山競馬場。
こちらは府中と打って変わって直線の長さは310mと所謂小回りコース。
ジャパンカップから僅か100m伸びるにも関わらずコーナリング回数が2回増えて6回回るというだけでももう違いは既に伝わるだろう。
器用に立ち回れる部分も必要ではあるが、競馬の能力の指標となるラスト3F地点は3コーナーから始まる為「コーナリングをしながら加速していく能力」、言い換えると「加速しながらコーナリングすることによって発生する遠心力から来るロスに耐えられる力」が求められる。
NureyevやSadler's Wells=Fairy KingといったSpecialの持つ底力が有効的と良く言われるが、これは正に先述の部分に該当する為だ。

3.コースによって求められる性能の違いを認識した上で改めて考えるドウデュースの適性

シレっと「Seattle Slewを注入する配合は大飛びでスピードを持続させるタイプに振る」と書いたが、これが中山の内回りに合致するのかというのがここでの焦点である。
全体を通して好意的に解釈すると「瞬発力と持続力を持つタイプ」と言えるが、あくまでも府中や阪神・京都外回りなどの所謂「大箱コース」での話。
逆に器用に立ち回る必要性があるところで大飛びで走ると良さが活きにくくなる。
3歳時に弥生賞・皐月賞で2・3着と好走はしたものの内容は道中で詰まり加減となったり後方一気の手に出たりとこの辺りは正に「ハーツクライ×Seattle Slew全開」という雰囲気であり、そこからダービーを制したことでより「適性」がクッキリと出たかなといった感じであった。

一方秋の凱旋門賞遠征後緒戦となった京都記念では宝塚記念と同じ舞台である阪神内回り2200mを華麗に捲りながらマテンロウレオらを抜き去り突き放す競馬、これは完全にLyphard全開で何なら「差してきたキタサンブラック」感すらあった。
因みに阪神競馬場の内回りはAコースで直線距離が360m弱、3~4コーナーが中山と比べると緩やかではあるがそれでもかなりコンパクトな部類と言って差し支えないだろう。

で、冒頭の問題に戻りたい。
直線でガツンと脚を使った皐月賞・ダービーと超絶機動力を活かして鞍上の指示通り華麗に立ち回った京都記念・有馬記念、果たしてどっちが本当の姿なのか。

…分からん。
寧ろどっちも正解なのでは?( )

4.イクイノックスを引き合いにして再検討して無理矢理結論を出してみる

特別ゲストとして3歳時に皐月賞ではドウデュースに1と1/4馬身先着・ダービーではハナ差で2着となりその後は2年に渡ってJC・有馬記念を制覇、天皇賞秋に至っては連覇を達成しましたイクイノックスさんにお越しいただきました。

イクイノックスの血統的な仕組みをザックリ

何と言ってもとにかくバランスの良さ、そして血統表のスペック通りというのがピッタリなところではないだろうか。

父キタサンブラックの持つLyphardクロスから来る機動力や粘着力を3重クロスにすることで増強しつつトニービン・Nureyevと底力やスタミナ的な側面からよりパワーアップ。
その傍らDrone・Sir Ivorでサンデーサイレンスの瞬発力を増強、Northern Dancerの母母Almahmoudの後押しもあって爆発力はマシマシに。
仕上げにAllegedから柔らかくも底力のあるところを絡めた結果がイクイノックスといった感じだろう。

とにかく近代日本競馬に於ける瞬発力・爆発力がある、中長距離を走るスタミナの下地もウインドインハーヘアがあったりするから○、パワーも持ってる、底力も文句無しと体質があまり強くなかったこと以外はケチをつけるところが無く走攻守三拍子全て揃った血で構成された馬だというのが個人的な感想。
こじつけするならトニービン由来の緩さはPOGに於いては不利になりかねないくらい。(本当にただのこじつけ)

余談ですけど、これだけ血統表のスペック通りな馬なんて早々出ないです。
最近競馬を観始めた皆さん、激レアもいいとこなのでいろんな意味で忘れないでください。いやマジで。

イクイノックス視点での府中の中長距離と中山内回りの中長距離の違い

イクイノックスからしたら違いなんて皆無に等しいと思います。
理由は前述の血統の通り。

…いや本当にそれ以外の書き様が無いんですよ( )

本題のドウデュースのスイートスポットはどこかを考える

古馬になってからのイクイノックスの成長の度合いが凄まじすぎる為、単純にに比較して考えるのもどうかという話ではある。
そうはいってもクラシックでタメを張っていたドウデュースにとって別の能力が求められる府中と中山の古馬GⅠという舞台で活躍を残したイクイノックスは比較のモノサシにするのには十二分な存在ではないだろうか。
肝心の皐月賞を制したジオグリフが迷走しているものの同レースで掲示板5着だったアスクビクターモアはダービー3着の後菊花賞を制覇、同4着だったダノンベルーガもその後は善戦を繰り広げているあたり尚更説得力はあると思う。

そんな三段論法的なところから無理矢理辿り着いた結論なのだが、「イクイノックスと同じく違いなんて皆無に等しい」のではないだろうか。
もっと言うと「イクイノックスが天才と言われるのならドウデュースは鬼才」ではないかと思う。
京都記念・有馬記念とあれだけ豪快な捲りをキメておきながら同レース上がり3F最速かつダービー・JC共に上がり3F2位は並大抵のことではない。
JCが4着といってもリバティアイランドの真後ろから乗り慣れない戸崎騎手があの手この手を打っての結果を踏まえると上々の内容で下げに繋げる様なものでもない。
正直これが全ての答えだと思う、というかこれ以外に思いつかない。誰か他の視点を与えてクレメンス。

ちょっと脱線すると「ここまで馬の特性を素に教え込んできたものを壊すことなく天皇賞秋・JCと代打しきった」ことに関して戸崎騎手はもっと褒められるべき。特にJCはMVPモノだと思う。

5.ドウデュースの仏遠征は馬場が原因?イクイノックスが凱旋門賞挑戦していたらどうなっていた?ドウデュースの今後の可能性もセットで考える

ここからはおまけのもしものお話。

じゃあ「府中も中山も大差無いドウデュースがロンシャンがダメだったのはおかしいやろ!」って声が上がると思う。

それはそう。

ただ、1点可能性がある。
整備された競馬場でなければダメかもしれないというところである。

JRA全競馬場は日本の土地を買収し、そこに整備する形で設けられたコース。
一方パリロンシャン競馬場はブローニュの森という公園の一角にあるコースで極端な話「公園と銘打った平原の中にスタンドを建てて柵で囲った」存在である場所である。
で、イクイノックスが海外遠征結果を残したメイダン競馬場は中東ドバイの海から気持ち離れた場所、感覚的には川崎競馬場ぐらいなイメージでこちらは「JRAと同じく整備する形で設けられたコース」である。
もし今年再度ドバイ遠征を予定しているドウデュースがここで結果を残せた場合「整備された競馬場、或いは走りやすい馬場であれば前述のコース的な得手不得手は無く後は不問」ということになるのではないだろうか。
逆説的に言うと、もしイクイノックスが凱旋門賞に挑戦していても「馬場を苦にしてポテンシャルを存分に発揮できない」可能性が高いとも考えられる。好走できるとしたらクリンチャーが参戦した2018年の様に異様に馬場が良くなった場合くらいでは。

…じゃあタイトルホルダーの敗因はどうなんだ?
それはそのうち書く気が起きたらで←

ついでに言うとこれでドウデュースがドバイで結果を出せるとなると同じ整備された競馬場であるアメリカや香港、オーストラリアが射程圏となるのではないだろうか。
BCターフや香港ヴァーズorカップ、コックスプレートと超の付くビッグタイトルのあるレースが行われる地域。これはこれで夢のある話だし凱旋門賞に拘らずにこちらを目指すのもいかがだろうか。

なんて現実的な提案をしたが、2歳戦3歳クラシック4歳古馬とこれで3つの異なるカテゴリー感のGⅠを制覇したドウデュース。
単純にGⅠのタイトルを増やしたり堅実なところで海外のビッグタイトルを手にしていくのも悪くはないがこちらはこちらでイクイノックス同様やることはやった。
オーナーであるキーファーズ松島氏は「夢は武豊が凱旋門賞を勝つこと」という夢追い人、ならばあとはひたすらに夢を追い求め続けるのを見守るのが我々のできることなのではないだろうか。
ただし、今後は種牡馬入りという責務もあるので壊してしまわない程度の範囲内でではあるが。

といったところで超絶遅くなった回顧はここで〆たいと思います。
冒頭問に対するA.「ドウデュースのスイートスポットは結局知らんし分からん。強いて言うならイクイノックスが天才ならドウデュースは鬼才でこっちもなんでも起こす可能性の塊。
以上!

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