#いけぽぐ #いけぽぐ12th 勝ち上がり馬ザックリ血統レビュー Pt.3.5
本投稿はいけぽんさん主催による「いけぽぐ」の全参加者の新馬戦・未勝利戦を勝ち上がった馬の簡単な血統レビューとなります。
詳しいルールはこちらから
全参加者の指名馬及び現在順位はこちらから
今回はPt.1~3まで掲載した6~8月分の新馬・未勝利勝ち馬の中で執筆上抜け・漏れを起こしてしまった馬の血統レビューとなります。
(指名者におかれましてはリアルガチで申し訳ございません!)
原則血統のみを鑑みた今後の展望がベースとなりますが、新馬・未勝利戦のレース内容を多少含む場合があります。
また、時節柄勝ち上がり後続戦した馬に関しては当分の間に限りレース内容に触れる可能性があります。
よろしければどうぞお付き合いください。
1.アトロルーベンス(キングスローズの2021)
父:リアルスティール 母:キングスローズ
栗東 高野 友和厩舎
安平町 ノーザンファーム生産(2/5生)
6/6 第3回阪神競馬2日目 5R メイクデビュー阪神 1着
8/6 第2回新潟競馬4日目 8R ダリア賞 OP 2着
指名者:みすぴー氏(4巡目)
母キングスローズはニュージーランド産馬で2010年新GⅠ1000ギニーを制す等重賞計6勝を上げ、2010年にはニュージーランド3歳牝馬チャンピオンに輝いている。
産駒には2018年GⅢエプソムCを制するなど重賞2勝を始め好走歴を持つサトノアーサーがいる。
本馬はそのサトノアーサーの3/4同血にあたる。
ディープインパクトからリアルスティールに変わったことでNureyevの5×3が含まれるようになり、また、キングスローズの父系であるデインヒル-Danzigからの流れにより持続力型に振られている、といったところだろう。
2戦目となったダリア賞では素質馬コラソンビートは一気に話されてしまったものの本馬より速い上がりを繰り出したマスクオールウィンを凌ぎ切ったのはこの血統の現れではないだろうか。
「ディープインパクト×Storm Cat」の父にRivermanが絡むとはいえNureyevクロス・Lyphardクロス持ちと来るとどうしても持続力勝負になりやすい中山でこそ、という風になってしまうかなと言った具合である。
2.ビッグドリーム(アンナベレンナの2021)
父:ビッグアーサー 母:アンナベレンナ
栗東 西園 正都厩舎
浦河町 バンブー牧場生産(3/18生)
7/2 第2回福島競馬2日目 6R メイクデビュー福島 1着
9/3 第3回小倉競馬8日目 11R 小倉2歳S GⅢ 4着
9/23 第4回中山競馬6日目 9R カンナS OP 3着
指名者:Takke氏(6巡目)
22-23シーズンのPOGに於いて新馬戦から葵Sまで馬券圏内率100%という驚異の結果を叩き出したビックシーザーの全弟。
Northern Dancer・Mr.Prospecor主体の血統構成の中でPricely Giftの柔軟性を、サンデーサイレンスの爆発力・スピード源をそれぞれ異系の血として注入されており非常にバランスの良い血統構成に映る。
また、スプリントには不向きな血統であるサンデーサイレンスが大分奥になる4代目になる点や欧州に通づる柔軟性を持つMr.ProspectorをはじめHalo、Caro等柔らかさな血に対して全体を通してNorthern Dancerで引き締めるだけでなく、Storm Catでアクセントをつけている点も個人的には評価を高く見たいところ。
流石にあれだけの成績を残した兄と比較するのは酷な話ではあるが、ここから先グングン力を付けて後には低迷が続くスプリント界をひっくり返すくらいになって欲しい、というのは流石に高望みが過ぎるか。
3.アスクワンタイム(ディープインアスクの2021)
父:ロードカナロア 母:ディープインアスク
栗東 梅田 智之厩舎
平取町 ASKSUTD生産(4/4生)
7/1 第3回中京競馬1日目 5R メイクデビュー中京 2着
7/15 第3回中京競馬5日目 1R 2歳未勝利 1着
9/3 第3回小倉競馬8日目 11R 小倉2歳S GⅢ 1着
指名者:ryota氏(6巡目)
全兄ファンタジストは2018年GⅢ小倉2歳Sの他GⅡ京王杯2歳Sを制し、翌年にはGⅡスプリングS2着から皐月賞→NHKマイルCへと駒を進め、全姉のボンボヤージはPOG期間に関しては2019年GⅠ阪神JF出走に留まる程ながらも古馬になってから昨年のGⅢ北九州記念を制覇。
やたらと小倉1200mに縁のある血統である。
ロードカナロア×ディープインパクトの組み合わせは「ディープインパクト×Storm Cat」の形が組みあがる上に更にSecretariat=Syrian Seaのクロスによってより柔軟性が増す他、ミオスタチン遺伝子の組み合わせがCCorCT型となる為スプリンターのロードカナロアにしては割と中距離質になりやすい。
全兄・全姉含めてこの血統に関してはRobertoも持つ為ここがHail to Reasonを介してサンデーサイレンスの瞬発力源・爆発力源にも繋がる為、割と距離に融通が効かせられる部分がある。
とはいったものの、ロードカナロアをスプリンターとして支えるHis Majestyを5×5でクロスするところにIn Realityが絡み、「Kingmambo×Roberto」というパワーを増幅する配合も合わせて持つ為、正直なところ距離に関してはどこまで伸ばせるかは不明瞭なところは否めない。
縁のある小倉2歳Sは後方からグングン脚を伸ばして上がり最速で着差以上の完勝である意味一旦ミッションは完了。
コースレイアウト上かなり長いこと脚を使う小倉1200の重賞でこれだけの走りが出来るのであれば、あとは3歳GⅠの軌道に載った兄に続くことが出来るかどうかだろう。
4.ロジルーラー(シェリールの2021)
父:ルーラーシップ 母:シェリール
美浦 稲垣 幸雄厩舎
安平町 ノーザンファーム生産(2/19生)
6/24 第3回東京競馬7日目 5R メイクデビュー東京 5着
7/16 第2回福島競馬6日目 2R 2歳未勝利 1着
9/2 第2回札幌競馬7日目 11R 札幌2歳S GⅢ 7着
指名者:キール氏(5巡目)
1995年愛ダービー馬Winged Loveが母母ジェドゥーザムールから出ており、本馬の兄弟には2013年GⅡ目黒記念を制したムスカテールがいる他、2021のGⅢダイヤモンドSを制したグロンディオーズは全兄にあたる。
5代アウトブリードの血統構成で母母ジェドゥーザムールは1950年の凱旋門賞を制したTantiemeを4×3でクロスしており、そこにサンデーサイレンスと重ねている為、フランス的瞬発力を内包するものの基本的にはスタミナベースとなっており、そこにトニービン・ノーザンテーストとHyperion的スタミナ・持続力の色が強いルーラーシップを配している分でよりスタミナや持続力・底力とった方向に尖らせているといったところ。
軽さを引き出してやれるポイントがかなり少ない為、近々では若駒特有のスピード勝負では部が悪いだろうが、スタミナの下地はしっかりとしている為成長曲線の具合にもよるが一気に化けて今とは比較にならない別馬になる可能性は全然ある。
5.ファーヴェント(トータルヒートの2021)
父:ハーツクライ 母:トータルヒート
栗東 藤原 英昭厩舎
白老町 社台コーポレーション白老ファーム生産(2/21生)
8/5 第2回新潟競馬3日目 5R メイクデビュー新潟 1着
指名者:Takke氏(2巡目)
母母リーサルヒートは2008年米GⅡハリウッドオークス等重賞2勝を含む6勝、GⅠには届かなかったものの2・3着入線が3度ある他GⅡGⅢでも多数好走歴がある。
また、母トータルヒートの2020年産ドゥラメンテ産駒サーマルソアリングはダートのバケモノでないのかと騒ぎになっている半姉にあたる。
Machiavellianが入ることでトニービン・Lyphardの影響のあるハーツクライに対して軽さを引き出している様に見えるが、Street Cryを介してである為、Troyの持つHyperionやGainsboroughといったところが一層トニービンを刺激し、スタミナ・持続力を引き上げている。
またNureyevがLyphardに間接的に作用することで持続力・底力に磨きをかけ、トドメと言わんばかりにスピードの持続力に富むSeattle Slewが再度ハーツクライの長所を伸ばす配合系となっている。
スタミナの下地がある上に軽さも見いだせる為、スピードの持続力がかなり良さそうで後々には本年の札幌記念を制したプログノーシスよろしく後半を爆速で駆け抜ける姿を期待したくなる。
あとはそこに辿り着くタイミングがどこになるか、である。
6.レーヴジーニアル(レッドリヴェールの2021)
父:モーリス 母:レッドリヴェール
栗東 松永 幹夫厩舎
千歳市 社台ファーム生産(2/23生)
7/16 第2回函館競馬6日目 5R メイクデビュー函館 9着
8/6 第1回札幌競馬6日目 1R 2歳未勝利 1着
10/7 第4回東京競馬1日目 11R サウジアラビアRC GⅢ 4着
指名者:はな氏(2巡目)
母レッドリヴェールは2013年新馬戦を制した後GⅢ札幌2歳Sを勝利、翌年の桜花賞馬でこの年の牝馬の1番馬と目されていたハープスターを連勝の勢いそのままにGⅠ阪神JFでハナ差下してGⅠ馬に。
翌年の桜花賞は前述の通りハープスターに敗れた訳ではあるがそれでもクビ差粘り、同年のオークス馬3着ヌーヴォレコルトに対しては3/4馬身差先着と地力を示した。
本馬はそのレッドリヴェールの4番仔となる。
サンデーサイレンスの4×3にSir Gaylordを有する為、モーリス産駒ながらも瞬発力といった若駒に求められる軽さは一定担保できる反面、ステイゴールドにDixieland Bandと仏的スタミナ源やノーザンテーストに似通ったHyperion色の強い北米的スタミナ源がかなり多く、いくらサンデーサイレンスクロス+Sir Gaylord+Roberto-Hail to ReasonにNorthern Dancerを介したAlmahmoud-Mahmoudを増幅した配合になっているとはいえ、スピード・瞬発力<スタミナ・持続力という感じは拭えない。
ただし、デビューからの成長の度合いは見事で新馬戦こそ9着と敗れはしたものの、2戦目の札幌の1500m戦を前半から淀みなく流れるペースでクビ差押し切り。
本投稿執筆時の10/7に行われたGⅢサウジアラビアRCは公式ラップ前後半46.9-46.5と前走同様この時期の2歳戦としては厳しめのラップを刻み、ゴンバデカーブース・ボンドガール・シュトラウスらに遜色の無い競馬を演じて見せた。
ゲートを出ての1・2歩目が出せるタイプでこれだけハイペースに対して耐性がありとなると距離延長に対しては何とも言えないが、少なくともマイルではガンガン強くなっていけるだろう。
今後の成長に目が離せないと同時に是非とも怪我無く進んで欲しい。
7.パッシングシャワー(レインスェプトの2021)
父:Iffraaj 母:レインスェプト
栗東 安田 翔伍厩舎
英国 Godolphin産(3/18生)
8/13 第3回小倉競馬2日目 6R メイクデビュー小倉 1着
9/3 第3回小倉競馬8日目 11R 小倉2歳S GⅢ 6着
9/30 第4回阪神競馬8日目 9R ヤマボウシ賞 1勝クラス 5着
指名者:ランド氏(7巡目)
父Iffraajiは英愛の短距離戦を主戦に2005年英GⅡパークS等GⅡを3勝、2006年はGⅠジュライCで2着という結果もある。
Iffraajiの母母Park AppealはAhonoora産駒らしいスピードを武器に1984年愛GⅠモイグレアスタッドSとチェヴァリーパークSを制している他、この牝系からは名種牡馬Cape Crossらが輩出されている。
本馬の母レインスェプトに関してはデータベース上出走歴が確認できていないが、母母Dancing Rainは2011年の英・独オークス馬という良血馬。
更に3代母Rain Flowerからは日本生産馬として初の英クラシックを制したSaxon Warriorの母であるメイビーらに辿り着くことができる他、4代母Rose of Jerichoは名馬Dr Deviousやシンコウキングの母にあたりそこから続く牝系もスズカフェニックスやEven So等世界的に活躍馬を出した名牝系のファミリーであることが分かる。
血統的にはAhonooraの4×5にデインヒルを4・4で持ち、欧州的スプリンターを中心としたスピードを軸にNureyev≒Sadler's Wellsの3×4で底力を増している格好になっている為、日本に来ても「ザ・スプリンター」といった風貌をした血統ではあるがNorthern Dancerが5・4×5・6・6とこのNorthern Dancerの濃さが若干ネック。
基本的に日本でNorthern Dancerが強く出るとNearcticの影響も相まってかなりパワーに出る為ダート寄りになってしまう。
古馬になるにつれて芝にマッチしていきそうな気はするのだが、逆にそれがどこまで時間がかかってしまうのかというのが問題でる。
ただ、日本には中々ないゴテゴテのスプリント血統なのできっかけひとつで短距離路線を一気に塗り替えるというのは十分に考えられる。
8.シークレットキー(キープシークレットの2021)
父:ドレフォン 母:キープシークレット
栗東 杉山 晴紀厩舎
安平町 ノーザンファーム生産(2/20生)
8/19 第3回小倉競馬3日目 5R メイクデビュー小倉 1着
9/16 第4回阪神競馬3日目 9R ききょうS OP 3着
指名者:waiwai氏(8巡目)
言わずと知れた名牝Miesqueを4代母に持つ名牝系の出の1頭。
母母ウーマンシークレットがSadler's Wells≒Nureyevの1×3という超強烈クロスをもっており、これが底力の原点となっている。
これに父ドレフォンに内包されるSpecialの父であるForliで増強し、War Relic・Bull Dogといった米国的底力を有したRelaunchやノーザンテーストのHyperion由来のスタミナ・持続力でもって底力を更に高めている。
それに対してダイワメジャーの父であるサンデーサイレンスや牝系のスカーレットインク-Crimson Satan-Spy SongやStorm Catを始めとするNorthern Dancerを主体にスプリンターとしてのスピードを確立している。
また、緊張と緩和のバランスも良く出来ており、Northern Dancerは全体を通して6・6・7×5・4・6と全体的にあるといえど代は気持ち後ろ寄り、その上でMr.Prospectorやサンデーサイレンス、Sharpen Up、Crimson Satan-Spy Songといったところで異系の血を多く持つことで非常ににメリハリを感じられる。
陣営は距離延長による可能性の幅を模索しているように見受けられるがここまでスピードと底力に振っている血統で父がCC型のドレフォンであることを考えるとスプリントでスピードに磨きをかけてレベルが高いとは言えない古馬スプリント勢を蹴散らしにかかる1頭になって欲しいというオーダーを出したくなるところだ。
9.セブンマイスター(ハピネスダンサーの2021)
父:ドレフォン 母:ハピネスダンサー
美浦 木村 哲也厩舎
安平町 ノーザンファーム生産(4/10生)
6/25 第3回東京競馬8日目 5R メイクデビュー東京 6着
8/26 第3回新潟競馬5日目 1R 2歳未勝利 1着
指名者:エノ氏(6巡目)
シークレットキーと同じくドレフォン産駒からこちらはフサイチリシャール-フサイチエアデール、ノームコア&クロノジェネシス姉妹等でおなじみラスティックベル牝系からの1頭。
5代血統表内でDeputy Ministerを5×5でクロスしており、これを5代外まで広げるとVice Rigent=ヴァイスリーガルの6・6×5となる。
これが突進力のあるスピードの起点となり、Forliの5×7やLyphardの底力や粘着力として底支えした上でStorm Catやダンシングブレーヴ、サンデーサイレンスでもってスピードを増幅している。
こうして特徴を文字に起こすと前項のシークレットキーと同じくスプリント寄りに感じられるが、大きく異なるのはMr.Prospectorクロスの存在。
これにより米国的なスピードに対して欧州的な柔軟性を併せ持たせることで距離の融通性をもたらしていると言える。
現状は芝のマイル戦で他馬と持ち前のスピードレンジの違いを見せつけていくのが良さそうだが、フレンチデピュティ-Vice Rigent=ヴァイスリーガルの血はレースを使い込み経験を重ねるに連れて硬さが出る為次第に距離短縮ないしダート路線へ、となると思われる。
10.ドゥレイクパセージ(ソブラドラインクの2021)
父:ドゥラメンテ 母:ソブラドラインク
美浦 堀 宣行厩舎
安平町 ノーザンファーム生産(2/7生)
8/7 第2回札幌競馬6日目 5R メイクデビュー札幌 1着
9/30 第4回中山競馬8日目 9R 芙蓉S OP 3着
指名者:トリスタン氏(6巡目)
母ソブラドラインクはアルゼンチン産馬で2015年亜GⅠ銀杯-R.V.マンシリャ大賞典・エンリケアセバル大賞典を含む重賞3勝。
母父のIncludeがTurn-Toを4・4×4で持っておりこれがサンデーサイレンスの爆発力源として直接脈絡しているのが一番の特徴。
他の所はパッとした感じは余り感じられないが、5代血統表外にBold Ruler-NasurullahやPrincequillo、Brushing Groom-Red God等といった血をしっかりと内包している。
これらの血がキングカメハメハの方に作用することでHyperionの塊とも言えるエアグルーヴの血を異系の部分にすることでバランスを生み出していると言える。
だからといってトニービン・ノーザンテーストのHyperionによるスタミナ・持続力に対して完全ノータッチという訳ではなく、その辺りはTom Rolfe等によってキチンと補完されている。
ドゥラメンテ産駒故に気難しさ等といったところから脚を引き出すのが中々難しそうな1頭ではあるが、上手くゾーンにはめられれば強烈な末脚を繰り出すことが可能だろう。
あとはこれを賞金加算と並行して行えるかが課題と言えよう。
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