【タロットワールドの住人たち】0.愚者

タロットカード。起源には諸説ありすぎて、それを探ることにあまり意味はないと思う。

今わたしたち日本人が、タロットに親しむことができるのは、アーサー・エドワード・ウエイトのおかげ。

ウエイトは、画家のパメラ・ゴールドマン・スミスとともに、誰にでもわかる明解なイラストレーションで、タロットカードの世界を表現した。
それが1909年。日本では明治時代。

ユダヤ教などの古来の神秘思想などを源流とする、社会で培われた、さまざまな叡智や思想がつまっている。

大アルカナと呼ばれる22枚は、人間の魂の成長を描いている。

愚者の旅は、こんなふうにはじまったのかもしれない。

気がつくと、海辺の崖に立っていた。
自分の周りには、深い霧🌁
細かいミストの粒子が顔に当たり、頬を冷たく撫でていく。

ここ、どこ❓
よく周りを確かめようと、崖の方に進んだら、足元に捕まってくるものを感じた。

見下ろすと、白い小さな犬🐕。
そっちへ行くな❣️と押し留めているように、脚に絡まってきた。

そこで止まって崖の向こう側を眺めると、崖はとても高く、見下ろすと、ゴツゴツした岩🪨。

よかったあ…落ちたら命はなかったわ…

我に帰ると、少し自分のことを思い出した。

私は、相当疲れていた。
若い頃は、無謀な挑戦や行動、世の中を、人を全て知り尽くしたいという思い、縁あった人々を受け入れそっと側にいること…そんなことをしているうちに日々は忙しくすぎていったのに…

気がつくと、私の周りにはなにもない…

着ている服は、昔のイキイキした気持ちを表すような華やかな柄が、すっかり色褪せてくたびれている。最小限の、風呂敷に包んだ荷物を🧳抱えている。
靴は踝まで覆うしっかりしたもの。

旅の装備は充分。私はどこにでも行けるんだ。
魔術師に会いに行こう。



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