【タロットワールドの住人たち】1.魔術師
私は愚者。
愚者は、海辺の崖をあとに、街の方に歩き始めた。
海辺の崖は、私の実家の近くのあの崖だった。
あと30分も歩けば、街に出られるはず…😘
と思ったら、見えてきたのは、だだっ広い空き地に佇む門。
これって…平城宮跡じゃないの❓奈良の。
なんで私の実家から何百キロも離れたここに来たの❓
それならここには魔術師たちがいるはず❗️
私はどんどん歩を進め、足首ほどに伸びた草を掻き分け、宮跡の東家を目指した。
「おや、来たんだね🙂」
東家の側の木の陰に、魔術師はいた。
ラッパ🎺の練習をしている。
前の旅で出会い、また来るからねと約束していたのだ。
「何度吹いても、同じところで間違うんだよ…」
「公演が全部なくなったんだ…今のうちに練習して上手くならないとね😉」
宮跡の青い空に、トランペットの明るい音が溶けてゆく。
座り込んで聞き入った。
「次はどこに行くんだい❓」
演奏をやめて、魔術師が聞いた。
「次は、女教皇に会いに行くよ。
また会いにくるからね😚」
と、別れを告げて、また歩き出した。
ほかにも魔術師たちがいた。
ランニングをする子どもと大人、サッカーの模擬試合をするサッカークラブ。
建物の大きなウインドウの前で、ダンスのワンエイトのソロを練習する子たち。
魔術師はみんなスキルアップを目指し、技術を磨いている。
この世になにかを残すために、技術を磨くこと。それが魔術のはじまり。
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