目的意識とホームコース

荷重移動は基本的、そして物理的な理論の話に過ぎない。

ここからは実践編としての話をしよう。

「もっと上手くなりたい」、「速く走れる様になりたい」、仲間内でツーリング等にいくと、この様な声が時々聞こえてくる。
テクニックというものは一朝一夕では身につかない。
速いライダー、運転の上手い人ほど、それなりの練習をしているものだ。
何故、初めてのワインディングロードでもスイスイと走れるのか、一般的なライダーには理解不能な事が多いのであろう。
公道とサーキットでは乗り方の違いもあるのだが、バイクに乗る、という基本のライディングの仕方は変わらない。
速く走る=タイムを縮める、そのコツを知っているからこそ可能なのである。

上手い人は必ず目的意識を持って練習している。
そしてホームコースを持っている。

まずは目的意識。
どう上手くなりたいのか、どのカテゴリーにおいて練習するのか、そこが明確になっていないと練習のしようがない。
ジムカーナ、モトクロス、サーキット走行、峠の走り屋、スタントライダー。
カテゴリーでも色々あるし、それによって走る場所も違う、もちろん車種も変わってくる。
どのカテゴリーで、どうなりたいか、これが一番大切だということに普通の人は気が付かない。
だからいつまでも「普通の人」なのだ。
別に普通の人が悪いとは言っていない。
向上心が無いだけなのだと思う。
何であの人は知らない道でも速いのか、何であの人は怖くないのか、そういった疑問を持つことすらできないのである。
動機なんて何でもいい、アイツに追いつきたい、あの人には負けたくない。そういった向上心を持って取り組む事が重要な事である。

次にホームコース。
練習するには走る場所が必要だ、同じコース、同じバイク、何度もトライ&エラーを繰り返す為の場所がないと基準もなく彷徨う事になるであろう。
この「基準」が練習する上では非常に重要である。
基準は何でもいい、タイムでもいいし、速度でもいい、自分ができる様になればそれでいいのである。ただし、他人に迷惑をかけない様にしなければならないし、事故を起こしてもいけない。
私は近くの峠道、といっても片道30分はかかるが…、そこがホームコースとして頻繁に走っている。
但し、スポーツ走行する場合はいつも行くサーキットの走行会、そのサーキットがホームコースとなる。
近所の峠道、一般公道では限界走行はできないし、色々な危険も多い。常に安全マージンを持っていなければならないので成長の度合としては、どうしても公道1サーキット10くらいになってしまう。
いつもと違うタイヤに交換した、何が違うのかわからない。
新しいバックステップを買った、乗りづらくなったが速くなったのかわからない。
これでは意味がないし、もったいない。
そもそも変える意味がわからない。
ただ単に、見た目だけのファッションライダーにはなりたくない。
目的意識を持って、いつもの基準をベースに比較してみないと結果が判断できない。
例えば、サーキット走行でもっとタイムを縮めたいからハイグリップタイヤに変えた、それによって3秒縮まった。
いつもの峠でバンプするとステップが地面に擦るので、バックステップに変えたら擦らなくなった。これでより安全に走れる。
これが結果となる。
どうしてその部品が必要なのか、そこを考えて欲しい。
そしてつまり、どうして荷重移動が必要なのか、荷重を移動させると何が良いことがあるのか、そこへ辿りつく。

まとめ
目的意識とその基準を明確にすること。
その目的を果たす為に何をすべきか、どんなテクニックを習得し、どう活かすのか、そこから全ては始まる。

そして最後に、バイクの地面との接地面は「タイヤ」だ。
唯一の接地面であるタイヤの性能を使いこなす事がライディングにおいては最重要な事なのである。
その為の意図的な荷重のコントロールが荷重移動だ。



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