Quorum Sensingの数理について

こんにちは。今回は微生物学の授業でやったquorum sensingという現象についてまとめておきたいと思います(メモ)ので、特にNeuesはありません。話を聞いたときに、いかにも力学系で扱われそうな話題だなと思ったのですが案の定でした。

まずこれはどういう現象であるかということですが、細菌がauto inducerという物質を用いて細菌の密度を探知し、それにより遺伝子発現を制御する機構です。Opportunistic infection(日和見感染)とも関連があることが知られています。
病原性を持つ細菌で、細菌がある程度増えることができる環境になったとき、例えば免疫が低下しているときに一気に特定の物質(毒素など)を産生するなどということが可能になります。そうでない時はおとなしくしていることで、免疫系が脆弱でない時も生存することができるという利点があるのでしょう。
ではこのような性質がどのような機構で実現されているか、ということなのですが、まず私の中に浮かんだのはUltrasensitivity(連続的ではあるが近似的にall-or-noneの性質を表現できる系)とBistability(非連続のall-or-noneを表現できるもの)が頭に浮かびましたが、実際どうなのかは具体的な反応スキームを見てみなければわかりません。そこで調べて出てきたのが参考文献3で、これは後者の方法で説明がつく、ということを明快に述べていましたのでそこで用いられていた系についてまとめておこうと思います。数式の打ち込みがだるいので手書きにします。

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長々と書くましたが、重要なことは、ρはある空間での細胞たちの体積の体積分率(どのくらい細胞により空間が混んでいるかの指標)なので、これが変化することで物質の発現量が急激に変わりうることを示しています。よって、細胞の集まり具合がA(auto inducer)に影響を与え、それが結果的にある物質の発現量を制御する、ということが再現されました。

参考文献1 https://www.sbj.or.jp/wp-content/uploads/file/sbj/9009/9009_yomoyama_1.pdf

参考文献2 https://www.jseb.jp/wordpress/wp-content/uploads/10-01-015.pdf

参考文献3 A Mathematical Model for Quorum Sensing in Pseudomonas aeruginosa. (2001)


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