『うたの日』16年11月編
反対のホームに君がいないのは優しさだって気がついて、冬『反対』
永遠と呼べば納得できそうな夜ばっかりを回想している『回』
何に慣れ大人になれというのだろう 東西南北どこも徒然『北』
後ろから抱きしめ「俺じゃだめか?」って顔がキムタクならば言いたい『死ぬまでに一度は言ってみたいセリフ』
アイドルの姉妹がほしい それなりにチヤホヤされて楽しそうだし『楽』
ありがとう そんな言葉で片付けて 長い歴史を終わらせないで『片』
包丁を持ったら人が変わるって聞いていたけど(そっち側かよ)『包』
背負ってるものなんて何もないくせに重たい顔が上手にできる『背』
東京に行ってしまった大阪の友達の使う「じゃん」が気まずい『大阪』
運命の糸を手繰ってみたけれど手元で絡まっちゃって絶望『自由詠』
ポーカーでいえばフルハウスくらいのうれしさ指数でほほえんでいて『トランプ』
親友に会う時はいつも髭を剃る 疲れてるってばれたくなくて『親』
アンニュイな髪型ですね (どの雑誌参考にしたか教えてくれます?)『?』
またケンカ別れのように飛び出せば いちょう並木はまばゆい黄色『別』
建て付けの悪い机に気になっていたらどうにも夏が終わった『悪』
白菜はないとさびしい 今晩の鍋はあなたもいなくてさびしい『白菜』
選ばれることのなかった運命を噛みしめ今日も生きていきます『運命』
夜を食べ生きているので溜息で映すプラネタリウムがきれい『しま・しましまさんの絵』
複雑に編まれてるのがわかってかヨークシャテリアはその上で寝る『編』
夕方の風が涼しい 家よりも綺麗にたたむコインランドリー『風』
不覚にもちょっと泣きそうになったのは上司が歌ったやしきたかじん『「ん」で終わる歌』
よくわからん天国よりも側にいる君を大事に思うとするよ『天国』
業務でもないのに会いたくなるなんて 風邪ひいてるしそのせいたぶん『「恋」の字を使わない恋の歌』
さようなら、さようならってあいしてるみたいにゆえばよかったのかな『平仮名だけの歌』
きれいごとばっかでできた真実の愛っぽいので口説いてくるな『真実』
天空へ伸びるケーキのようなビルディング 吸い込まれゆく思い出『けいとさんの写真』
見送って見送られてを繰り返す 冗談みたいな雨が降る夜『冗談』
引き際の魔術師だからいつだって空気みたいにいなくなります『引』
ちらちらと確認し合う ペアルックみたいなスタンスミスのふたり『スニーカー』
もし短歌税があったら全国で闇歌会が流行りそうだね『税』
11月は初めてのうたの日皆勤賞の月でした。毎日出すというのはやっぱり大変で、推敲もちゃんとしたし、自分でもけっこう頑張った月だなあなんて思っています。(まあ僕の推敲なんて大したことはないんですが笑)
『またケンカ別れのように飛び出せば いちょう並木はまばゆい黄色』
11月の歌で印象深い歌の一つなんですが、ちょうど御堂筋の銀杏並木の紅葉が全盛期の時で、なんだかこの銀杏並木を見てると嫌なことも忘れるなあなんて思いながら作った歌です。鼻歌でいちょう並木のセレナーデを口ずさみながら、ずっとふらふらしていたかった季節でした。
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