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JAあいち豊田の農業川柳にみる「食と農」~荒玉note改訂

  この記事は2021年9月にnoteに提稿した記事です。マガジン「農政ジャーナル~長靴をはいた記者」にも収録されています。2023年も続くイベントです。

 愛知県豊田市といえば、世界のトヨタの本拠地です。一方で農業が盛んな地域でもあり。お米の産出額は県内市町村のなかでトップです。

農業川柳の募集チラシ

 豊田市と隣接のみよし市をエリアとする「あいち豊田農業協同組合」(JAあいち豊田)は、「食や農への想い」をテーマに9月21日から農業川柳を募集します。今年で4回目になります。
 JAあいち豊田は、「地元の農山村の風景や目にする農作業の様子、食卓にのぼる農作物など、食や農で感じる気持ちを川柳で表現してもらいます」と呼びかけます。
 2018年の1回目は396句、2回目が730句、3回目が835句と年々投稿が増えています。選者が地元で活躍する重徳光州さんということで、年々レベルも上がっているようです。
 昨年の最優秀賞は「農に生き 老いても農の 生き字引」(豊田市・柴田隆一さん)でした。年配の農業者ですが、柴田さんのような生き字引は、農業に限らず、会社でも隠れた財産です。
 優秀賞のひとつに「開拓の アルバムめくる ジイと孫」(豊田市・伊與田廣隆さん)の句もジーンときました。1959年に豊田市に市名が変わるまでは、挙母(ころも)市でした。
 発足間もないトヨタ自動車工業(当時)が、原野が残る挙母町(当時)に挙母工場を完成させたのは、1938年11月3日のこと。以来、竣工日がトヨタの創立記念日となっています。 国産自動車製造に乗り出す開拓者精神の源流に、荒れ地を開拓した「ジイ」たちのような先達がいたわけです。
 川柳で思い出すことがあります。中部地域の経済団体のひとつ、中部経済同友会が名古屋市の魅力を発信するために会員や大学生に呼びかけた川柳大会です。
 2018年に317作品、2019年には924作品の応募がありました。
 「来たくない 去りがたい街 名古屋かな」(会社役員)などが入賞に選ばれていました。転勤族には、あまり赴任したくない偉大なる田舎・名古屋です。ただ、そこで2年、3年勤務して生活していると、すっかり身内感覚で大事にしてくれる田舎のような土地柄です。うまく表現できているなと感心したものです。
 JAあいち豊田の応募対象者は、管内在住・在勤・在学の人に限っています。ただ、農業川柳という切り口で、馬肥ゆる秋を味わってみるのもおつなものです。「ジイ」のような想いが伝わる川柳ができるといいのですが。
(2021年9月20日)

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