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TOP interview vol.2
10年後の大野を考える
人口減少や高齢化、空き家問題など、まちなかの景色はどんどんと老いていく。
不安に駆られて考えれば考えるほどブクブクと潜ってしまい、思考が停止しかける。
観光とは別の仕事という軸。
大野にはたくさんの企業があり大野を支えている。
遠くない未来にやってくる地域の問題を業界トップの方々はどう見ているのか?
そんなお話をお聞きする企画です。
もしかしたらまちの未来を考えることって、もう少し生々しくて、
この大野でどうやったら食ってけるかどうかみたいな話なんじゃないかと。
2回目にして、いろいろ気づきが生まれました。
10年後も大野で食ってく。そのために。
そして、今回はかなり人によった原稿になってます。
キーワードは挑戦・愛・夢。
忘れかけてた純粋でしなやかな心のあり方にハッとさせられます。
夢をもつって素敵だ。
夢をもつ人、中高生にもぜひ読んでもらいたいです。
企画・編集:荒島旅舎 桑原圭 / 横町編集部 三浦紋人
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Interview 2
亀平
平鍋克彦さん(47歳)
※2022年9月現在
>亀平というお店の始まりについて
居酒屋亀平の店主、平鍋克彦さん。
大野にある亀平寿司に生まれ、幼少のころから商売を見て育った。
高校卒業後、18歳の時に大阪へ。
大阪でも指折りの寿司屋で修行。
都会で遊ぶのは最高。でも住むのは絶対嫌。
なぜなら水が美味しくないから。
26歳の時に大野へ戻り、平成16年に亀平を創業。
なぜ、亀平寿司を継がなかったのか?
それは、寿司屋だけじゃやっていけないという当時の肌感覚。
回転寿司には勝てない。
そしてよくある親父とは一緒に仕事をしたくない。ということだった。
亀平という名前はご実家の亀平寿司からとった、と思っていたが違った。
お店を始めるにあたって、平鍋さんはまったく違う名前を考えていた。
「3案くらい考えていたんですけど、チラシに載せるって時に親父が勝手に“亀平”で出したんですよ。さすがにあん時は“おかしいやろっ”って喧嘩しましたね(笑)」
そして亀平は始まり、18年経つ。
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>飲食業界のこと
平鍋さんの同世代には大野でお店や事業をやってる人が多い。
この年代は、“後取り”“長男”だからと帰ってくるのが当たり前だという風潮があったんだと思う。親が言わなくても、親戚や周りの大人からもそんな言葉が嫌でも耳に入ってくる。
そんな声が染みついていて、いずれ大野へ戻るんだという雰囲気があったのではないかと思う。
それがある意味で、新しい形態のお店ができることになり、まちなかの飲食店に新陳代謝を促すことになったのではないだろうか。
大野飲食業組合にはスナックや魚屋も併せ、今は25軒が所属。
平鍋さんはその組合長を務める。
昔は20数軒が集まった寿司組合もあったそうで、
それも今では1桁となり平鍋さんが声をかけ飲食業組合に合併。
47歳の平鍋さんは組合の中では若手に入るらしい。
半数は高齢。レジェンドがたくさんいる。
平鍋さんは昔からのお店をレジェンドと呼ぶ。そこには敬意、愛を感じる。
今は新規にオープンするお店も少なく、コロナの影響もかなり大きい。
後継のいないお店の廃業は今後どんどん増えていくだろう。
生活形態の変化も大きな影響を与えている。
大野にはたくさんの仕出しの魚屋がある。
昔は親戚付き合いや法事などたくさんの人が集まる行事があり
そのためには魚屋は重要な役割を担っていた。
魚屋の2階で大勢が集まり宴会をする。これは立派な地域と食の文化だ。
しかし、今は親戚付き合いも少なくなり、
新築の家にはたくさんの人を呼ぶための大きな座敷もない。
家族は最小単位で暮らすようになっている。
良い悪いの話ではなく、時代、需要と供給の変化のお話。
さらに、人がいない問題も大きい。
大野には、高校生、ましてや大学生も少ないからアルバイトがいない。
それもあり亀平では早い段階でタッチパネルを導入した。
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人がいないからって休む店も多いなか、平鍋さんはそれを理由にはしたくなかった。
それをカバーできものはいくらでもある。
同業者同士の傷の舐め合いはしたくない。できることは全部やる。
これが平鍋さんのポリシーだ。
そして、コロナは飲食業界をさらに大きく揺さぶった。
「正直、この業界は一番いらんのかなって。家で食べれば事足りるじゃないですか。」
しかし、平鍋さんは一度も辞めたいとか、諦めたいとか考えたことがないそうだ。
信用と信頼を大切にし、そして愛される店であれば必ずまた来てくれる。
そう信じ、常にアクションを起こし、挑戦する気持ちにあふれた人だ。
>平鍋さんという人
![](https://assets.st-note.com/img/1663747582948-IWYzD5cy2L.jpg?width=1200)
常連さんに話を聞くと、平鍋さんは実はかなりの努力家らしい。
“なんやこれ?”ってメニューを見ると平鍋さんが陰で頑張って試作している姿が見えるらしい。
サービス精神、お客を気持ち良くさせる魔力を秘めた人。
「経営が下手なんですよ(笑)」
と仕入れすぎた食材を自分のSNSに投稿、それを見た常連さんに大盤振る舞いをしたこともあるようだ。
お客さんとの垣根を越えたコミュニケーション。
それが亀平の虜になる理由かもしれない。
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そして、一番印象的だったのは、取材始めにこのお店のことを聞いたとき、開口一番に
「僕自身は寿司屋やと思ってやってるんです。それが焼き鳥とか焼いてるわけで」
といったことに驚いた。
最終的には寿司屋をひらきたい。
これが平鍋さんの夢なのだ。
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周りのレジェンドの高齢化が進み、文字通り伝説になっていく。
その時が自分が寿司屋をやる出番。
その時を待ち望み、日々夢に向かって進んでいる姿はとても素敵だ。
私事ながら、先日ある中学校へ行き、1年生とお話しする機会があった。
ふと、みんなの夢ってなんだろうって何気なく聞いてみると
イラストレーター、心理カウンセラー、獣医、ダンサー、アイドル、youtuberなどなど、ほとんどの子が自分の夢を私に教えてくれた。
それは漠然としたものはなく、明確に未来を見ているようでグッときてしまった。
この子たちの夢を実現している大人は大野にはきっとたくさんいる。
そして、平鍋さんのようにずっと夢をもち続ける大人もたくさんいる。
この子たちを大人に会わせてもっともっと話したい。
もちろん場所は亀平で。
>これからの挑戦
夢をもち、常に挑戦し続けている平鍋さん。
そして、若い子にはとにかく挑戦してほしいと思っている。
次の挑戦は亀平のランチ営業。やる気のある若い子に任せてみるそうだ。
平鍋さんが若い子に伝えたいこと。
「田舎やからとか都会やからとかは関係ない。好きなことしねん、好きな場所で。大野を忘れんかったらそれでいいんや。そして、とにかくなんでもしろってこと。もし僕が借金いっぱいつくったとしても絶対死なんすね。ごめんって謝ればなんとかなる(笑)」
大野の現状が変わっていくことに対しても
「例えば、越美北線なくなるなら自転車で福井まで通ったらええやん。そしたら競輪選手にでもなれるんちゃう?」
現状を卑下するのではなく、その状況で何ができる?を常に面白がって考える。
平鍋さんの挑戦はいい意味で軽い。フワッとやってのける。
「お金なんて道具なんで」ってさらっと言ってやってしまうところも魅力的なところだ。
10年後、大野はどんどん変わっていく。
変わることはチャンスだ。
いつまでも夢をもち続け、挑戦することでいつか出番がくる。
それは自分ではなく、誰かの出番の受け皿になることもある。
“挑戦はきっかけをつくる”
常に前を見て進み続けることが10年後の大野をまた面白くするんだと思った。
10年後、時代の変化をケセラセラと笑い飛ばしながら、寿司屋のカウンターに立つ平鍋さんに早く会いたい。
その時は夢を実現したあの中学生たちも連れて行こう。
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>編集部memo
・時代が変わっていくことはチャンスでもある
・常に夢を持つことは時代の変化に強く、冷静に現状を見ることができる
・とにかくやること、それは別の新しいきっかけをつくることがある
・やはり愛は強い
・10年後も大野で食ってく。ことを考える
お付き合いいただきありがとうございました。
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次回をお楽しみに!
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