見出し画像

「ケーキの切れない非行少年たち」を読んで、無知を知る。

学校に勤めるつもりで免許取得中なので、中には非行少年たち(になり得そうな子どもたち)と出会うこともあるだろうと思って、ちょっと前に話題になっていたので勉強の箸休め的に読んだのですが、衝撃。(勉強不足でごめんなさいね。)この本では、著者の児童精神科医の方が医療少年院での勤務経験から得た知見をまとめてくださっています。本を読んで得た学びをnote。

努力云々ではなく、"できない"子がいるということ
「境界知能」の人々の存在

IQ70~84は、現在では「境界知能」と言われているそうで、この本では、非行少年の中に境界知能の子どもたちが多い、という旨が書かれていました。(現在は「知的障害はIQが70未満」という定義が流通しているらしいですが、1950年代の一時期は「IQ85未満」が知的障害という定義だったらしい。)

その子どもたちは、先のことを見通す力が弱かったり、見る力や聞く力が弱かったりする可能性もあるわけで、不真面目だったり、やる気がなかったりするわけではないこともある。本人の努力が足りなかったのもあるかもしれませんが、学校教育でその子どもたちを拾えていないのも純然たる事実。もちろんだからといって学校だけの責任ではないのですが、なんとかならないのかなぁと思いました。

この本では実践的なメソッドも提案されているので、勉強になりましたし、実際に学校現場の職についたときには、「境界知能」の子どもたちの存在を頭の片隅に置いておいて、必要な教育的支援ができるようになりたいです。
学校現場で体系的に教育が進められるようになるといいなぁと思います。

当然、専門的な処置は専門家につなぎたいものです。

とはいえ、専門家ってどこにいて、どうやって繋ぐのでしょうか。

病院は世間では最後の砦のように思われていますが、実は発達障害や知的障害をもち様々な問題行動を繰り返す少年に対しては、結局は投薬治療といった対症療法しかなく、根本的に治すことは困難なのです。(中略)そういった少年たちー発達障害や知的障害をもち非行を行った少年たちーが集められる矯正施設(医療少年院)が、三重県にあることを知ったのです。

「ケーキの切れない少年たち」p.6~7

非行を行う前に、教育の現場で早期発見と支援

支援の一つが、「コグトレ」
とりあえず、学びを進めたかったらこちらを購入してやってみるのが良いかと思いました。


そもそもIQってどうやって測るの?

早期発見ってどうするんだろう?
今、学校現場で知能検査とかやってるのかなぁ。
知能検査やってIQ低かったら、保護者に「子どものIQ低いから、いじめられたり、非行を行う可能性があります!」なんて直接言えるわけないし。

この本の中だと、「IQはWISCやWAISといった知能検査を行って測るのですが、それらのIQ検査では彼らの真の賢さを適切に評価できていないことに気づいた」(p.69)と書かれておりました。
※WAIS…最も代表的な知能検査で知的障害の認定には欠かせないもの(p.116)
※「WISCなど現在主流の知能検査は、大雑把に知能の傾向を把握するにはとても役立ちます。しかし、そこで拾えなかった躓きを併せて調べてみないと、”知的には問題ない”で終わってしまい、検査を受けたばかりに逆に支援が受けられなくなる子どもたちをたくさんつくってしまうのです。」(p.136)

BADS(遂行機能障害症候群の行動検査)も紹介されていました。

ちなみに、自分ってIQどのくらいあるんだろうと思って適当に調べて測ってみたら113だったのですが、IQの測定ってそこまでアテになるのかなぁと疑問に思いました。私が受けたものは正式なやつじゃないからかもしれないけど。テスト後に結果を知るのに7.5ユーロを支払う必要がありました。。

ついでにWISEも調べてみました。

あと、本の中でも紹介されている、Reyの図の模写。

高次脳機能障害におけるレイ複雑図形検査

模写ができない人がいることも、私には全く想像つきませんでした。

ちょっと人生を振り返ると

私は小中学生の頃公立の学校に通っていたので、いろんな生徒がいました。ちょっとヤンチャな子、なかよし学級に通う子、勉強はできるのにちょっとコミュニケーションが取りづらい子、全然勉強ができない子。

私自身は、自分で言うのもアレですが、真面目な優等生で誰とでも仲良く学校生活を謳歌しており、日々平和に過ごしていました。

特別学級に通う子や勉強ができない子、ちょっとコミュニケーションが取りづらい子を馬鹿にしたりからかったりすることは決してしなかった一方で、積極的に話したり遊んだりすることもありませんでした。

そこに他意はなく、ただ「〇〇さんはどこか人と違う」という雰囲気を幼いながらも感じとって、「どうしてなんだろう?」と疑問に思っていました。まぁ特に深く考えることはしていませんでしたので、普通に一緒に登校したり、一緒に活動することもあったと思います。よくいえば自然な関わり方をしていました。

感情をコントロールするのが下手だったり、融通が利かなかったり、コミュニケーションが不得意だったり、なんか大変そうだな、くらいしか思っていませんでしたが、私が気づいていなかっただけでいじめも行われていたかもしれません。

また大人になってからルームシェアしていた方も、今思えばASD(自閉症スペクトラム症)のきらいがあったような気がします。

ASDは精神疾患、発達障害としてDSM-5で診断されるようです。

その方は生きづらさを抱えていて大変そうだなぁと思っていました。
なんでこんな感じなんだろうと不思議でしたが、ASDのことを知ったときにちょっと腑に落ちた感じがあります。

終わりに

いずれにせよ、私自身に知識がなかったし、今まで出会ってきた人たちに、そこまで強い関心を持って接してきていなかったけれども、今後学校教育の現場で多くの子どもたちと触れ合っていく中で、境界知能の人たち(と私が勝手に決めつけてはいけないけれども)がいたら、うまいこと導けたらいいなぁと思いました。少なくとも境界知能の人たちの実態の一部と、トレーニング方法を知れたのは大きな学びでした。どうやって学校で早期発見し、どこと連携して、適切な支援を開始するのかが疑問に残りましたが、学校現場の実情を知ってからまた考えようと思います。

かしこ



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?