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【技術読み物】石の飾り留(星形)

彫留のうち、石を連留せずに単独で留める場合、石の周りに装飾をすることができます。いわゆる「飾り留」と呼ばれるものです。
今回は主に星形、尖った光条が伸びるタイプを紹介します。

八条


「星の飾り留」「星留」等として最も一般的かと思います。通常は4カ所に爪を起こします。光条の全てを均等にするか、或いは縦横を長く、斜めを短くするか、等のアレンジで雰囲気が変わります。

六条

光条全てに爪を作ることもできますが、3か所でもしっかり留められます。

五条

いわゆる「星型」です。これも三条同様に偏りが出ますので、石の中心、上下の中心、どちらを優先するのか、実はデザインに組み込むのが難しい形状です。爪は中飛ばしにできない数なので、5つとなります。

ところで…
一つ左に、もう一つ五条の星を作ってありますが、これは失敗したものです。 今回のサンプルに使っているベース枠は真鍮製なのですけれども、圧延で作られたものでめちゃくちゃ硬い。硬いだけなら良いのですが、「脆い」のです。なので爪を丸めたり玉を作ったりするのには、実は全く向いていません。曲げようとすると折れるのです。失敗した留めも、右側の爪を起こした際に、根元からパッキリと割れて落ちました。
真鍮枠、試し加工用として安価に購入できますが、実はかなり要注意です。

四条

前の三つの様に光条に爪を作ることもできますが、この様に光条の間にタガネで起こさない爪を作って留めることも可能です。もちろん全体を傾けて×型にすることもできます。

三条

こうなるとちょっと星形の雰囲気はなくなりますね。又、三角形は「図形の中心」と「上下の中心」が大きくずれている為、上手く使わないとこの様にずれて留まって見えます(石は中央に配置してあります)。

二条

上手く留めないと外れ易くなりますが、この様に2つの爪で留めることも可能です。しっかりとさせる為、光条が多い場合より爪を大きくした方が安心です。但し、一つの爪が外れたら石が外れると言うことなので、リスクは高めです。

今回は、15年位前に購入した「ノーブランドのバルクCZ 1.0mm」を使っていますので、石のカットは酷いです。又、規格寸法は1.0mmなのですが、実寸で1.15-1.20位はあります。
「現物をチェックできない、ノーブランド品の通販まとめ買い」はお薦めしません。

飾り留は「石の周りに装飾をする」ということなので、その分枠の寸法が必要になります。たとえば一連の写真は、石は実寸で1.2mm弱ですが、ベースにしている真鍮枠は幅3mmあります。この位の寸法差がないと綺麗な装飾は作れません。

具体的に、2mm幅に同様の加工をしようとすると、
2-1.2=0.8
0.8/2=0.4
となり、片側に0.4mmの余裕しかありませんので、延びた光条は殆ど表現できません。
逆に、幅の狭い枠に飾り留するには、石は相当小さくなる、ということです。

光条は石留時にタガネで切って作るので、長さも幅も自由にできます。太めに短くすればギザギザした星に見えますし、全体を細く長くし、かつ縦横を長くすれば、見覚えのある飾りガラスの装飾の様にもできます。

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