見出し画像

【特別編】OCG's Cool DECK #03 クリバース

ちなみに今回が特別編なのはデッキ作成者の黒瓜様(@unrealillness)にコンタクトを取り取材をさせていただいたからなのですが、質問-回答を通して自身の理解のズレというものを痛感しました。どういう書き出しだ。ご快諾ありがとうございました。

画像12

このシリーズでは自分が遊戯王データベースで発見したカッコイイデッキを紹介します。前回の記事はこちら。

今、クリボー界に激震が走っています。6月12日発売予定の「ANIMATION CHRONICLE 2021」で、クリボーの新規カードが多数登場するのです。
気になるのは今回の新規が《クリバンデット》や《クリバビロン》といったカテゴリ外のテーマカードをサポートしている点です。
現在主流の【クリボー】は《クリボーン》を中心にまとまっていますが、これを期に新たな路線が開拓されるかもしれませんね。

《ハネクリボー LV10》もそんな注目されるべき古の1枚です。

画像2

レリーフがかっこいいねん。

神々しいイラストと豪快な効果、進化したハネクリボーというフレーバー。そこには今でも人を惹きつけるものがあります。
しかし活躍させるまでには多くのハードルがあり、まずは専用カードである《進化する翼》の発動。

画像3

そして相手バトルフェイズまで《ハネクリボー LV10》を生存させ、なおかつできるだけ多くのモンスターを破壊すること。
普通、相手はこのカードが見えた時点で展開を抑えたり、バトルフェイズをパスしたりと対策が容易であるため、出し方を工夫しなければ見せただけで終わってしまいます。

今回紹介する【クリバース】はその独特のアプローチと、そこからのデッキの広がりが深みのあるデッキです。

画像20

引用元:遊戯王OCGデータベース/デッキ一覧

要するに、《ハネクリボー LV10》をうまく使うには

(1)なんとかして《進化する翼》をこっそり引き込む
(2)相手バトルフェイズに《ハネクリボー》を特殊召喚する

というプロセスが必要なわけです。

(2)に関して、「発動までタイムラグがある効果をどうするか」という問題をよくまとめていると感じた記事があったので置いておきます。

このデッキでは(2)を《金華猫》のリバースという手段で解決しています。

画像4

スピリットはリバース時にも効果が使えるという着眼点が面白いですね。ちなみに攻撃を受けてリバースしても無論効果は発動しますが、戦闘破壊されると蘇生したモンスターも除外されるのでコンボは必須です。

終盤にはそうして《ハネクリボー》を釣り上げるのですが、繰り返し使ってなんぼのスピリット

Q.主な攻め手は金華猫→ヘルゲルorパラサイト・フュージョナーという設定か?
A.(前略)その組み合わせやネフィリムなどが主戦力という事になります。

ネフィリムに関しては後で説明します。

《変容王 ヘル・ゲル》

画像8

ちょっとよくわからないですね。要するに高次シンクロ出すマンです。このデッキではレベル4に当てて8シンクロをします。

じゃあ誰とつながるのか? 想定解は《和魂》です。これは黒瓜さんのブログに書いてあったので間違いなくそうです。

画像9

和魂召喚→金華猫召喚→ヘル・ゲル蘇生→8シンクロ→和魂で1ドロー。なるほど。

この《和魂》の採用が渋く、まず《金華猫》はエンドフェイズに手札に戻る面白モンスターではなくスピリットであったことを思い出させてくれます。《荒魂》で両方ともサーチができます。

画像25

俺もいるぞ!

それにドロー効果がついています。《進化する翼》を探せるということです。これは他の採用カードにも見えてくる要素なので理解しておきましょう。ネフィリムの素材にしたり進化する翼で切れたらウハ体験ですね。


画像21

画像22

Q.バウンドリンクの役割は
A.(前略)進化する翼は素引きを前提としているのでデッキの回転率向上+エクストラの再利用+引きたくないカードを戻せるという点で採用しています。

《パラサイト・フュージョナー》

画像7

こっちは基本的に有名だと思います。黒瓜さんのブログによると《金華猫》で蘇生、効果発動にチェーンして《金華猫》をリリースし《リンクリボー》を自己蘇生することで選べる2体の融合モンスターが出せます。

画像10

画像11

これは強いぞ。

Q.金華猫を伏せた方がいい場面はLV10を出すときのみ?
A.基本はそうです。ただ以前は相手ターンに召喚獣カリギュラを出すなどの戦法をとったりもしていたのでエクストラの選定によってかなり変わります。

でもこいつら(猫とか王とか寄生虫とか)をどうやって調達するのか。
そろそろ皆さんデッキを忘れてきたと思うので再度貼ります。

画像20

メインデッキ下段に注目すると…

画像5

ハイいました。そう、このデッキのメインエンジンは《サブテラーの継承》です。そして捨てるのはシャドールモンスターです。継承シャドールというやつです。

画像7

このデッキのシャドールはまじでハイパーウルトラ噛み合っております。
《影光の聖選士》《シャドール・ハウンド》で《金華猫》をリバースさせたり
《シャドール・ビースト》で《進化する翼》を探せたり
《影依融合》で《ハネクリボー》や《パラサイト・フュージョナー》を落とせたりと、単なるサーチの中継にはとどまりません。

画像14

画像16

先にネフィリムも主戦力と言いましたが、純粋にこの2枚のループは相手が無理顔になりがちです。《影光の聖選士》は最後には(2)でループを破綻させつられるのが何かおしゃれ。

Q.他のシャドールの不採用理由
A.以前は何種か採用していましたが、枚数が膨らみ過ぎたので見直しました。結果としてメインギミックの動きに絡むハウンド、ドロー加速の出来るビースト、相手の魔法罠に触れるドラゴンが残ったという感じです。

とにかくこの継承シャドールというギミックは拡張性が高く、闇属性は幅広く選択できます。 

《スケープ・ゴースト》

画像16

最初、ハリファイバーもあるのでコイツは準初動だろうと思いこんでいたのですが、

Q.スケープ・ゴーストからあまり展開が伸びないように思えるが、シンクロ面を強化するつもりはあまりないのか?
A.(前略)スケープゴーストはどちらかと言うと継承でサーチ出来る防御札のような意味合いが強いです。リバースモンスターなので手札にどんな闇属性があってもサーチ出来る利点があります。

とのことでした。なるほど。

《ネクロ・ガードナー》

画像17

Q.ネクロ・ガードナーはミドラーシュの素材、継承のコスト用?
A.どちらかと言えば継承で切る事が多いです。採用理由としては公開領域に防御札を見せておく事で相手に「誰にネクガを使わせるか」を考えさせて場に伏せた金華猫への注意を少しでも逸らしたい、という狙いがあります。なのでバトルフェーダーも敢えて継承でサーチしたりします。

最近ひそかに流行りつつある思考誘導です。イカしてます。

《宵星の騎士ギルス》

画像18

闇属性編ラスト。墓地肥やしはもちろん好みのリンク2になれるだけで明らかに強いです。テザーウルフの謙虚さを見習ってくれ。ハリファイバーやアナコンダ→シャドールなどアド製造機で、強いです。
このデッキで重要な《リンクリボー》を予め作れる点でも重宝します。

意外ですが、(1)で墓地に送りたいのは《星遺物-『星盾』》のみですね。

画像19

Q.ギルスで落としたいカードが星盾のみなのはなぜか?
A.元あった星杯による傀儡のサーチルートは、神子イヴの禁止や妖精伝姫ターリアが抜けてリースが継承のサイクルに使えなくなったこと、また継承でシャドールハウンドを切れば傀儡の代用が出来る事などから廃止し、傀儡はサブプランとしてのピン挿しに落ち着きました。
ギルスと星盾はモンスターの展開力を上げる為に採用したもので、実は傀儡とは無関係です。

展開札としては少し浮いている気もしますが、《ホップ・イヤー飛行隊》を当てられる数少ないカードです。『星盾』がなぜか相手スタンバイフェイズにも蘇生できるので助かります。

画像20

Q.ホップイヤーの対象が星盾とネフィリム、スプリンドに絞られるが増やすつもりはないのか?
A.ホップイヤー(と金華猫)をサーチするカードとしてメルフィーキャシィが入ってますが、このデッキでは継承のサイクルに含めていません。なので引ければ使う程度のサブプランになるのですが、そうするとホップイヤーは1枚で良いだろうという事になり、結果としてシンクロ先も絞られる事になりました。その分、なるべく鬱陶しいモンスターをチョイスしたつもりです。

このデッキを回していると、スピリットやメルフィーは手札に戻るしシャドールは継承のコストか伏せるかであて先が少ないので、自然と上級に当てることになります(そのぶん多少腐りやすい)。

メルフィーは下級サーチだけでなく、《獣王アルファ》でオラつくことも。

画像23

《金華猫》らは準備に時間がかかるのでその補助でしょう。メルフィーは使い減りしないサーチカードなのでコンボを阻害することはありません。

Q.アルファの採用は場にモンスターが残らないから?
A.そうですね、以前の構築では自分の盤面にモンスターを増やす手段がほとんどありませんでした。その対策と、相手の破壊耐性持ちなどを(一時的にでも)処理出来ること、金華猫と共にキャシィでサーチ出来ること等から採用しました。

さて、ホントに拡張性が高く色々な可能性が見られます。継承シャドール、メルフィー、星遺物、融合シンクロリンクと広がりそうな要素が非常に多く底が見えません。
味覚の話になりますが、人間は複雑に味が重なっている方が美味しいと感じるそうです。複雑な構築の方がいいというわけではありませんが、これは見ていて(試運用していて)ワクワクするデッキでした。

黒瓜様へ
繰り返しになりますが、デッキの紹介および取材を快諾してくださり本当にありがとうございました。

注:本記事で使用されたカード画像は一部を除き遊戯王OCGデータベースの個別カード記事から引用しました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?