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まなみのりさ新曲レビュー④「できるなら…」

8/7、8のライブの、そしてミニアルバムの表題曲。MVも公開されていて水中撮影をスタントなしで本人たちがガチでやった、というのでも話題になっている。

MV撮影後のSHOWROOM配信で3人が語ったのがこれ↓

「合成かな?と思う人もいるかもしれないけど合成じゃない。ガチ!ガチ!」
「3人とも体を張って撮影」
「スタントなし」
「レスキューの人が何かあった時のために待機」
「撮影前に安全講習」

いったいどんなおもしろビデオを撮ってるんだ!?と思ったらとんでもなかった。逆の意味でガチだった(笑)。

歌詞にも現れている「息苦しさ」であったり「もがき苦しむ姿」を表現した、というこのMV。それもそのはずで何よりこの曲は「歌詞」に泣かされる曲。歌詞の内容が沁みる、というよりは、普通ならもっとオブラートに包んで表現するようなところもかなりありのままの言葉を使って裸の表現をしている。それだけに言葉の刃がグサグサと刺さってくる感じ。聴けば聴くほどかなり重い(笑)。

作詞作曲が「涙活のカリスマ」藤田麻衣子と聞いてなるほど納得。歌詞とメロディでの「泣かせ」は流石、と言わざるを得ないが、実はそれだけではない。この曲ができるに先立って、まみりの3人は藤田さんと打ち合わせをし、思いを直接伝えたという。そのあたりの話は、藤田さんのブログでも触れられているが、30歳という節目が見えてきた頃の等身大の女性の姿に共感すること、思い出すことも多かったという。

越えられないハードルを
簡単に 越える人もいる

たとえばこの歌詞。長年やってきて、大きいステージにヒョイっと立てるライバルたちを何十組と見てきた彼女たちだからこその、悔しかったり羨望であったり妬みであったりの気持ちを割とストレートに表現している言葉。

できるなら
もっと自分に自信を持ちたい
人を見るたび 焦って ため息で
できるなら
もっと自分に胸を張りたい
「君でいい」じゃなく「君がいい」と
言われる人になりたい

もう十分そう言われる人になっていると思うんだけど、彼女たちはまだ自分に自信を持ちきれないんだろうな、と思うと、ファンの一人としても力不足なところを実感せざるを得ない。そんなことは僭越だ、というのはわかっているんだけれども。

時に誰かの「がんばれ」が苦しくて
時に自分の「がんばる」に潰されそうで
あぁ また心が捻じれてく

「がんばれ」ってたしかに難しいし辛い言葉ではある。そういうことを「心が捻れてく」とストレートに表現してる。これ、結構しんどい歌詞だよね。気楽に「がんばれ」って言えなくなる。

思えば新生まみり復活のときも「宿題」の「この街が僕らを置いてく」という歌詞になんとも言えない気持ちになった。東京で頑張ってきてファンも増えて充実してると思いきや「置いてく」という気持ちになっていたのか、と。そんな気持ちを思い出させてくれる。そういう意味では「できるなら…」は、新生まみりから3年かけて進化したまみりの新たなる「宿題」なんじゃないか、という気もする。

ここが私の居場所だって
思える場所 見つけたい

そして、まだ居場所を探してる。落ちサビでも「見つけた」ではなく「見つけたい」で終わる歌詞。これだけ東京でも広島でも、そして全国でもファンを広げているのでもう「あなたたちの居場所はここにあるじゃない」と言ってあげたい気持ちでいっぱいなのだけど…。

MVのラストでりっちゃんが水面に上がっていくようなエンディングになっているのがせめてもの救いか、って感じがする。

そんな水中でもがいている姿は、実は今の状況に置かれているまみりの叫びのようにも聞こえる。8/7~8の13回ライブは無観客配信を余儀なくされたが「♪超えられないハードルを簡単に超える人もいる」周りがリリイベや有人ライブを初めてる中、自分たちはまだできない葛藤。「♪殻を破りたいだけど破りかたがわからないよ」ってね。「♪ここが私の居場所だって思える場所見つけたい」自分たちの居場所であったはずのライブハウスがどんどんなくなっていく現状。

笑顔で水面に上がってこれる、そんな時が早く来ますように、と願わずにはいられない。


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