ピークで終える
自分も50年近くアイドルを観てきている身なので、好きだったアイドルやグループの終焉ってのは何度か経験ある。でも改めて考えれば「自分の中で絶頂期」と思ってる時期に、っていうのはまなみのりさが初めてかもしれないね。
思い起こせば30年以上前、人生で初めてファンクラブに入ってコンサートに行くほどハマっていた島田奈美。ラストコンサートにも行っているし、引退の時でも心が離れてた訳じゃない。ただ、個人的に彼女のベストはアルバム「+α」の頃だと思っているので、やはりその後は気持ちが減速していたことは否めない。個人的な気持ちもそうだが、実際シングルリリースの間隔もだんだん長くなり、実際に引退が発表された時も何となく予感はあっただけに諦めもついた、というのが正直な感想。
好きだったアーティストで言えば、ZONEもTAKAYOちゃん脱退のあたりから気持ちが離れてたし、RYTHEMも「ホウキ雲」から「蛍火」あたりが自分のピークだったから終焉時は自分は割と落ち着いていた。そもそもこの2組はリアルにライブ行ったことない「完全在宅」だったしね(その後RYTHEMのYUKAちゃんとyucatさんとして巡り合ったのはある意味運命的な出会いだったな)。
いずれにしてもピーク時に比べるとライブの本数や音源リリース頻度が減ったりと、どことなく翳りが見えたりした。あるいは自分自身がピーク時と比べると離れてしまっていたりするのでなんとなく諦めもつくというもの、というのがこれまでだった。
まなみのりさは違う。ハマりだした当初から比べても歌のレベル、ダンスのレベル、楽曲のレベル、そしてそれを総合的に魅せてくるライブのレベルは年々右肩上がりだ。ここ1年を見たって「Escape」で今までにないあんなパフォーマンス魅せられて、さらに14周年の360度ライブでは、内容的には評価の高いヒューリックホールのワンマンと比較しても引けを取らないどころかそれ以上とも思えるような高度で見ごたえのあるものだった。つい最近も23曲95分ノンストップなど見せつけて一体この先どこまで進化するんだろう、って思っていた矢先だ。
だからこそそのダメージは計り知れなかった。今までのように、なんとなく予感してたとかそういうのもなかったし、そういう意味では簡単に「はいそうですか」と諦められるようなものではなかったのは事実。
ただ、それならばピークを過ぎて下り坂になったところで解散、と言われた方が納得ができたんだろうか。たしかにその方が諦めがついたかもしれないが、その方が今よりも満足できたか、となるとそれは疑問だ。
これまた前回書いたことと似たような議論になるのかもしれないけど、ピークを更新し続けて右肩上がりのまま終わるのと、ピークを過ぎて下り坂になって終わるのとではどっちが良いのだろうか?これも確率論で言えば後者の方がより高いレベルのステージを観ることができる可能性は高いということになる。でも、満足度でいうとどっちが高いだろうか?と考えてしまう。
考えてみれば、自分の気持ちも、そしてグループ自体も最後まで右肩上がりでピークを更新して惜しまれつつ終焉を迎えられる、ということはとても「有り難い」ことだ。普通に考えたら「終わらせる」タイミングはピークを過ぎて勢いに翳りが見えてからだろう。ピークを更新しているのであれば終わらせる理由がないのだから。
でもまなみのりさは違う。今回、彼女たちが考えて出した結論は、続けていくことによって高くなる「不可抗力で突然続けられなくなる」リスクを避けるために、敢えて「まなみのりさを終わらせる」という選択をしたのだ。決して思うようなパフォーマンスができなくなったとかそういうことではないから、インタビュー記事でもライブのMCでも今の自分たちのライブに自信を持っていると言っている。そして一年で100本のライブをやって、まなみのりさ史上最大のハコである中野サンプラザで終焉する、と。最後まで自分たちのピークを更新するつもり満々だからだ。
ピーク時の解散、というと我々の世代だとキャンディーズが思い出される。人気絶頂期の解散発表はその人気をさらに後押しし、解散前のラストシングル「微笑がえし」は彼女たち史上初のチャート1位曲となった。
そういう意味では3人組のDNAが45年の時を経て引き継がれているのかもしれないなぁ、などと言ってしまうと、後楽園球場(現在の東京ドーム)でラストコンサートが行われたグループと比べるのはおこがましいかもしれないけどね(笑)。
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