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母が老人ホームに入る日①

母が「老人ホームに入る」と言う。

太陽生命』の営業の人が介護施設の紹介サービスのパンフレットを持ってきたのだそう。

なるほど今は保険会社が介護施設の斡旋もしてくれるのか。知らなかった。

ちなみに母は昭和21年生まれの78歳。まだ元気で農業の収穫のアルバイトをしているし、車の運転もする。熟年離婚をして今はのびのび一人暮らしの自由を謳歌しているように見えた。

背筋もピンとしていて年の割に若く見えるが、最近では農業の手伝いもキツくなって、仕事が終わると家でぐったりしてしまうそうだ。


地元茨城でひとり暮らす年老いた母を、120キロ離れた埼玉にて私も日頃より心配していた。

昼に送ったLINEが夜になっても既読がつかなかったりすると、アパートでぶっ倒れてるんじゃないかとめちゃめちゃ心配になるわけで。

だから母が施設に入ることによって、なんらかの見守り体制のもと老後を暮らせるのであれば安心である。


でもウチのママちょっと元気すぎやしないか…?


老人ホームと言われるような介護施設には、家族が自宅で介護できる状態ではなくやむおえず…といった「最終手段」として施設を利用するイメージがあった。

「元気なうちから利用できるみたいよ〜」と入る気まんまんの母は、太陽生命のパンフレットを私にポンと手渡した。「そんじゃ、あとヨロシクゥ」とばかりに。


元気なのに施設にとじこもっていたら、老化が進んでしまうのではないだろうか…?

母が年の割に若々しいのは、遺伝子の作用もあるだろうけど(娘の私も若くみられるので)、昔からせっせと仕事したり趣味にスポーツに忙しく動き回っていたからだと思う。

母が彼女らしく残りの人生を暮らしていける施設はあるのだろうか?

母に渡されたパンフレットはいわゆるシニア向け商品の総合案内のようなもので、中に一枚「介護施設への入居を検討されている方、ぜひご相談ください」という紙が挟まっていただけだった。

私は「もしも」のために『母が認知症になった時やることリスト』などをメモして備えていたが、『元気一杯の母が入れる施設リスト』は準備していなかった。

情報不足だ。


そもそも太陽生命さんの施設紹介サービスはどんなもんなのだろうか?

Googleで「太陽生命 介護施設紹介」で検索するものの、リリース情報など公式の文書しかでてこない。口コミはないのか。

そのかわり『老人ホーム紹介センター』や『老人ホーム検索サイト』という存在を紹介している『みんなの介護』というサイトを見つけた。

https://www.minnanokaigo.com/guide/how-to-choose/consultation/


ケアハウスは社会福祉法人や医療法人などが事業主体となっている施設です。
最大の特徴は、低所得の方でも入居しやすいという点。一人暮らしをしていて、経済的にも余裕がない方にとって有力な入居先候補となるでしょう。
ケアハウスには自立型と介護型があり、自立~軽度の方は自立型、すでに要介護状態となっている方は介護型に入居します。
また全室個室なので、プライベートを確保して生活を送りたい方にもおすすめです。
ただ入居希望者が多く、全国的に入居待ちが発生しています。

みんなの介護

どうやら今の母は、自立型のケアハウスというものを利用するのがいいらしい。


先日母からLINE通話があった。

母「あの件どお?」

私「今わたしがお世話になってるFPに相談してるところだよ」

母「もう仕事もきついしね、10月ごろには仕事も辞めて施設に引っ越したいな」

私「(意外とはやいな)そうなんだ…」

母「免許ももう次の更新には返納しちゃうしね。アパートの荷物も整理してるよ」

私「ねえ、ちなみに月の予算はいくらなの?」

母「そうだね、10万くらいかなー」

正直「10万」がケアハウスの利用費用として高いのか安いのかもわからなかった。他のひとのブログには「親の介護施設利用は親の費用で捻出するのが前提」と書いてあった。それは確かにそうだと思う。私にも私の人生がある。

それにしても勉強不足だった。

母は残りの人生を自分の思うように生きようとしていると思う。「老人ホームに入りたい」は彼女の終活なのだろう。母は常々「家族には迷惑かけずに死ぬからね」と強く言っていた。

私は母にすごく愛してもらったから、娘としてできることは全力で協力したいと思っている。

とはいえ思いがけず母の想いを実行するときがきて、このnote書きながら少し泣けてきてしまった。


つづく


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ara
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