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「媚びる」ことは自らの価値を下げる

私はモテる。
なぜか、モテる。女性から。
恋愛的なモテではなく人としてモテる、あるいは一目置かれる。

今でこそ社交的な人と思われている私ですが、元々は極度の人見知り。
なかなか人の輪に入っていけないタイプです。
今風に言うと、コミュ障?

あれは、20代前半の頃。
会社の同僚に誘われて、某ツーリングクラブのイベントに参加しました。
30人くらいのメンバーの中に、スーパースポーツを乗り回す27歳のサヤカさんという女性が1人。
あとは、私と似たような年頃の女の子が2人と、ご主人と一緒に参加の30代前半の女性が1人。
そんな中、小さな体で男の人たちに混じってバイクをかっ飛ばすサヤカさんは、誰もが認める女王でした。

ツーリングが終わり、みんなで食事をしていた時のこと。
たまたま近くの席に座っていたサヤカさんと少し話をしたのですが、サヤカさんは不意に黙り込み、私の顔をジーッと見た後、こう言いました。

「朝霧さんだったら、アタシの地位を譲ってもいい」

その後、一度だけサヤカさんから遊びのお誘いがありましたがスケジュールが合わずにお断りし、やがて私もサヤカさんも遠方へ引っ越してしまったため、以降お会いしていません。
私の何が、彼女に「地位を譲ってもいい」と言わせたのでしょうか。

さかのぼると、少女時代から同じようなことがありました。
あれは中学1年の頃。
同じ部活のエリという女の子が孤立したことがありました。
気の強さが災いして、ある時から女子全員を敵に回してしまったのです。
だけど私は、エリが孤立してからも普通に話したり、遊びに行ったりしていました。
他の女子に隠れて、コッソリ仲良くしていたわけではありません。実に堂々と。
当然ながら、他の女子はいい気がしない…かと思いきや、

「朝霧なら仕方ないか。そう言えば、エリも朝霧の悪口だけは言わなかったもんね」

と、みんな意外とケロッとしているではありませんか。
その後もエリ外しは続きましたが、私は相変わらずコウモリ状態。
別にそれで悩んでいたわけでもなく、普通にグループともエリとも友達として付き合っていましたね。

さらに、もっと大人になってからも同じことは続きます。
30代半ばで転職した会社には、私より4つ年上のアカネさんという営業の女性がいました。
私も同業でしたが、別の営業所勤務で扱う商品も違っていたため、年に数回程度しか会うことはありませんでした。
コミュ障な私とは対照的に、明るく社交的で太陽のような存在。
ただ、ものすごく気が強く、プライドが高く、自己顕示欲の塊のような女性でもありました。
同年代から下の男性はみんなタジタジ、上司の中には彼女をやたらチヤホヤするおじさんと、内心嫌っているけど何も言えないおじさんの2タイプに分かれていました。
女性は内心誰もアカネさんを好いていないにも関わらず、なんとなく仲の良いふりをしているという感じ。
彼女と仲良くすることがステータスという雰囲気すらありました。
営業トップで、社内的にも影響力のあるT君という男の子が彼女と仲が良かったことも、そんな雰囲気をつくった一因だったでしょう。

しかし、私が入社して1年も経つと風向きが変わり始めました。
アカネさんと仲が良かったはずのT君が、いつからか「アカネさんは、口だけの営業しかできないから」「アカネさんって、基本人の悪口しか言わないから」と、私の前でアカネさん批判をするようになったのです。
T君の影響がどれだけあったのかはわかりませんが、それからアカネさんは少しずつおとなしくなっていったそうです。
最初は私に対しても居丈高な態度を取っていたアカネさんですが、3年も経つ頃には、私の勤務する営業所で私が出したお茶を飲みながら、

「あ~美味しい。とくに朝霧さんの入れてくれたお茶は…」

と言いながら、私の方を盗み見るという醜態までさらすように。
もし、他の女性がアカネさんの入れたお茶を飲みながら同じことをすれば、彼女はきっとこう吐き捨てたでしょう。

「そういう媚びた態度はいらないからっ!」

実際、そう怒鳴られた子がいたのです。

プライベートでも同じ。
ママ友をまわりに集めて偉そうにしている、いわゆるボスママといわれるような人たちでさえ、私の前ではなぜかご機嫌を取るような控えめな態度に変わります。

一方で、
「朝霧さんとはずっと仲良くしていきたい」
と、同性から好意を打ち明けられた(?)ことも一度や二度ではありません。
同窓会での、
「私、朝霧のことすっごい好きだったんだよ」
「へぇ、知らなかった。言ってくれたら良かったのに」
「そんなこと言えるわけないでしょ(笑)」
という、女同士でのまさかの展開。
「私、○○さんとは仲良くなれそうな気がしてた」
とママ友に何気なく言った瞬間、
「え、すごい嬉しい…」
と泣かれそうになったこともありました。

私が同性から一目置かれる理由。
その答えは、アカネさんが他の人に実際放った一言にあります。

「そういう媚びた態度はいらないからっ!」

そう、媚びたら負け。毅然としていればいいんです。
人付き合いが苦手でも、背筋を伸ばして毅然としていれば、まわりは勝手に一目置いてくれますよ。

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