世界一速い二十大予想(1)

 そろそろやってもいいんじゃないでしょうか。

 何のことかわからない方に簡単に説明すると、二十大とは2022年秋に開催が予定されている中国共産党の第20回党大会のこと。

 5年に1度開催される党大会で、党のトップ200である中央委員が選出され、その中から中央委員を指導する25人の政治局委員、さらにその上位である政治局常務委員と、共産党トップの総書記などが選出される仕組みとなっている。

 5年に一度のビッグイベントで、当たっても当たらなくても特に誰も得しないし困らない常務委員のメンツを当てようとしているのだが、これがなかなか難しい。

 ただ、こちらにもそれなりの理由や考えはあるので、共産党と一致するのはなかなか感慨深いものがある。

 とりあえず、十九大の反省点を書き出してみた。

(1)王滬寧の常務委員入りが信じられず名前を挙げられなかった
 
 名前を挙げた6人まではしっかり常務委員入りしたのだけど、理由らしい理由も特に無いのに、王滬寧は常務委員昇格を固持すると思い込んでいた。劉雲山の後任になりそうな人物が王滬寧くらいしかいなかったのに、意図的にスルーしてしまった。

(2)常務委員の担当職掌が滅茶苦茶
 
 習、李の続投コンビ以外の担当は全くかすりもしなかった。  

 党大会の前年あたりから、栗戦書が王岐山のサポート役として会議に出席していたので、中紀委書記は栗で決まりだと理解していた。最後の半年くらいは趙が中紀委書記になる気配も無くは無かったが、謎の初志貫徹を貫いてしまった。

 栗を中紀委書記にハメ込んだので、残りの3人を正しいポジションにつけられるはずがない。私の予想はこうだった。

習近平 総書記
李克強 国務院総理
韓正 全国人大委員長
趙楽際 中央精神文明建設委主任
栗戦書 中紀委書記・中央書記処書記
汪洋 常務副総理

 全国政協会議主席を、常務委員ではない誰かにさせようとしていたみたいだが忘れてしまった。孫春蘭あたりだろうか。

(3)劉奇葆、張春賢が中央委員を外れると考えていた

 前例かつ根拠としていた李鉄映たちは、政治局委員の引退年齢に達していた。彼らは政治局委員を退いて、ヒラ党員+政協副主席(or 人大副委員長)になったのだが、60代前半の劉、張は中央委員に残る目もあった。

 今になってしまえば言えることなのだが、前例原理主義なのでそんなの思いつかない。

 そういった反省点を書き出しつつ、予想に入る。

 2022年11月に党大会が開催されると仮定して、その年齢を書きだした。前期は67歳の李源潮をクビにしたわけで、いわゆる68歳定年制度は無くなってしまったとも言えるが、取っ払ってしまうとこっちが困るのでそのままで。党大会以前に68歳以上となった党員は退任するものとする。★は68歳以上だ。

--常務委員--
★習近平(69)総書記
李克強(67)国務院総理
★栗戦書(72)全国人大常務委員会委員長
汪洋(67) 全国政治協商会議主席
王滬寧(67) 中央精神文明建設指導委員会書記
趙楽際(65) 中央紀律検査委員会書記
★韓正(68)国務院常務副総理

--政治局委員--
丁薛祥(60) 中央辦公庁主任
★王晨(72)  全国人大常務委員会副委員長
★劉鶴(70)国務院副総理
★許其亮(72)中央軍事委員会副主席
★孫春蘭(72)国務院副総理
李希(66) 広東省委書記
李強(63) 上海市委書記
李鴻忠(66) 天津市委書記
★楊潔篪(72) 中央外事工作委員会辦公室主任
★楊曉渡(73) 国家監察委員会主任
★張又俠(72) 中央軍事委員会副主席
★陳希(69) 中央組織部長
陳全國(67) 新疆自治区委書記
陳敏爾(62) 重慶市委書記
★郭声琨(68) 中央政法委員会書記
胡春華(59) 国務院副総理
黃坤明(66) 中央宣伝部長
蔡奇(67) 北京市委書記

--中央書記処書記--
★尤權(68) 中央統一戦線部長

--国務委員--
★魏鳳和(68)国防部部長
王勇(67)国務委員
★王毅(69)外交部部長
肖捷(65)国務院秘書長
★趙克志(69)公安部部長

 常務委員は栗、韓の2人、政治局委員は王晨、劉鶴、許其亮、孫春蘭、楊潔篪、楊曉渡、張又俠、陳希、郭声琨の9人、常務委員、政治局委員を兼任しない中央書記処書記は尤權、国務委員は魏鳳和、王毅、趙克志の3人が引退予定だ。

 今回は地方自治体トップの政治局委員を整理したい。

 北京、上海、天津、重慶、広東、新疆のトップである党委員会書記は政治局委員が兼任するのが慣例になってきている。1990年以降に退任した書記が、退任後どうなっていたかをまとめた。

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 左から、常務委員に昇格、政治局委員に昇格か留任、全国人代常務委副委員長、引退(引退前に上がりポスト経験を含む)、失脚、病死となっている。

 見ての通り、上海が圧倒的に強い。陳良宇を除いた全員が最終的に常務委員に登りつめている。政治局委員を一期挟んだ呉邦国以外は直接常務委員に昇格。なんやこれは。

 なお、韓正は陳良宇の失脚後に代理を務めているが、習近平が上海入りすると市長に戻っているのでこちらはカウントしていない。

 北京は2人の常務委員を輩出しているが、尉健行は失脚した陳希同の代理で、本職は中紀委書記。賈慶林はその後任とイレギュラー。直近の二期はいずれも上がりポスト感がある。

 現職の蔡奇は、任期1年目で失策を重ねた後は大人しいが、統戦部長に左遷され孫春蘭が後任になるかもみたいな噂が出ること自体、前途は明るくない。

 1980年代こそ天津は胡啓立、李瑞環と2人の常務委員を送り出したが、1990年代に入ると任期中に1人、さらに2000年代には退任後すぐに1人死んでいる。

 張高麗が顔面麻痺ったのは天津にくる以前のことらしいが、病弱のイメージが離れない。都市の重要性も落ちている中、出世コースともいいがたい。

 重慶は2期連続で任期中に書記が失脚というロックな都市。公安局長も連続で3人失脚しているし、どうも都市としておかしい。四川省の一部だった頃はどうだったのだろうか。

 張徳江は国務院副総理と兼任となったが、中紀委書記だった尉健行も北京の書記としてカウントしているので、便宜上重慶市委書記にカウントすることにした。

 なお、重慶市は四川省から独立して直轄市となってからの書記のみを扱っている。

 広東省は上海に比べれば落ちるが、一期政治局委員を挟んで張徳江、汪洋の2人が常務委員入りしている。胡春華が総理後継の唯一の有資格者なので、3人連続は堅い。

 新疆は王楽泉、張春賢と途中で解任されているが、王は2009年に起きた騒乱の責を取らされたもの。張は後任が思い切り真逆の政策を取っており、今期は中央委員に格下げ。とにかく難しい地域だ。

 傾向みたいなのが掴めるかと思ったが、そうでもなかったので具体的な考察は次回。

==参考消息==
http://aquarelliste269g.seesaa.net/article/435381784.html
http://aquarelliste269g.seesaa.net/article/435382128.html
http://aqurelliste.seesaa.net/article/444803322.html
http://aqurelliste.seesaa.net/article/442279688.html
http://aqurelliste.seesaa.net/article/453690352.html
http://aqurelliste.seesaa.net/article/453712676.html
http://aqurelliste.seesaa.net/article/471313388.html
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/10/post-8646.php

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