中国の女性政治家の割合

 2017年10月24日。第19回党大会が閉会し、第19期の中央委員会委員が発表された。

 今までは気にしていなかったのだが、全部で202人いる委員をアナウンサーが読み上げていくうち、人名の後に「にゅーう」が続くのが気になった。

 人名の後に書かれている(女)表記を読んでいるだけなのだが、中国の政治家にはなぜかこの表記が付きまとう。

 重慶市の組織部長だった曾慶紅(女)みたいに、ある一定の世代はまっかっかな名付けをされているので男女の判別がしづらい。そのための注釈なのかと考えていたのだが、他に付記されるのは漢族以外の民族名か部署名なので、女性も少数側なのだ。

 同姓同名が多い国なので、どこの人間なのかをはっきりとさせるため所属を付け加えることもある。性別や民族名を付けるよりは、よっぽど健全だろう。

 16期から19期までの中央委員は552人でその内、女性は21人。思っていたより少ない。ちなみに少数民族は40人。2015年の統計によると、少数民族は全人口の9.54%なので、女性は全人口の5%以下であることがわかる。1人っ子政策の弊害である。

 もちろんそんな訳はなく、政界に女性が少ないのだ。2019年時点での中国共産党員は約9191万人。女性は約2559万人で、全体に占める割合は約27%となる。党員の割合を考えると、中央委員の割合はいかにも少ない。

 19期の候補委員は172人いるが、女性は19人。中央委員に比べれば割合は倍以上なので、地方の省委や省政府クラスはもっと女性の割合が大きくなるのかもしれないが、そんなのを調べる余裕は今のところないので割愛。

スクリーンショット 2020-08-29 23.46.00

 21人のうち、呉儀は別格として、国務委員、副総理を務めた劉延東の担当は教育、科学技術、文化、スポーツ。そのうち科学技術は劉鶴が引き継ぎ、孫春蘭は衛生をプラスされるなど、一部の担当に変化はあるものの女性副総理の役割が固定されつつある。

 16期から19期までの21人の女性中央委員を見回しても、経済や公安方面などに携わった人物はおらず、閣僚経験者も馬馼が監察部部長、呉愛英が司法部部長、王侠と李斌が国家人口・計画生育委(李は国家衛生計画生育委)主任の4人だ。

 また、彼女たちの地方での経験も省長止まりで、女にトップの書記を任せないという強い意志が感じられる。現在現役の中央委員も省長、主席止まりだ。

 女子供は文教と政協だけやっとればいいみたいな、マッチョイズムでもあるのだろうか。


==参考消息==
http://www.stats.gov.cn/tjsj/zxfb/201604/t20160420_1346151.html
http://tv.cctv.com/2017/10/24/VIDEqZQnplTxjKCK51QanFAm171024.shtml
http://tv.cctv.com/2017/10/24/VIDE6RMRfHhUDid71b86dKjU171024.shtml
http://www.gov.cn/guoqing/2017-10/24/content_5432329.htm
http://www.gov.cn/guoqing/2017-10/24/content_5432328.htm
http://www.gov.cn/xinwen/2020-06/30/content_5522999.htm

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?