「入党前の重大な誤り」とは

 9月16日、広東省恵州市紀律検査委監察委は、市公共資源公益センターの仲愷ブランチセンター党組書記・主任だった陳育霞の党籍を剥奪したと発表した。

 陳が犯した党紀違反には理想や信念を失い、初心の使命に背いた、などのおなじみフレーズに紛れ、「入党前に犯した重大な誤りを隠した」というものがある。

 澎湃が「『入党前に犯した重大な誤りを隠した』とは何か」と取り上げるくらいだから、珍しいのだろう。澎湃は「党に忠実であり、誠実であり、言行一致であることは党章が規定する、党が必ず実行する義務である」と説明する。

 党章には確かにそのように書かれているが、党章を守らなくてはいけないのは党員になってからである。「入党前の重大な誤りを隠す」行為は、入党前の行為を当時の党規や党紀に照らし合わせて、一般的には党内除名処分となる一方で、入党後の表現(笑)が良ければ考慮されることもあるという。党内除名という党籍剥奪とは違った表現が出てきたが、違いはよくわからない。

 「错误程度应当给予开除党籍处分的,可以开除党籍;若该行为尚不够给予开除党籍处分的,可以予以党内除名」(誤りの程度が党籍剥奪にふさわしければ党籍剥奪ができる。党籍剥奪が不十分であれば、党内除名ができる)という記述があり、余計に意味がわからない。

 処分に至る例がいくつか挙げられている。Aは学歴詐称が発覚して除名、Bは窃盗罪の前科を隠したとして1年間の留党察看(党内観察)処分、酔った勢いで他人を殴り15日間の行政拘留を隠していたCは厳重な警告処分となっている。Cが入党後の働きを考慮されたのに対し、Aはその手の記述がないので、大した党員ではなかったのだろう。

 しかし、入党取り消しにはならないのは不思議だ。「入党前の重大な誤りを隠していた」ことが入党時に見抜けなかったことが、よほどまずいのだろうか。

 そもそも、最初に紹介した陳育霞は、党内除名ではなく双開(党籍剥奪と公職追放)なので、党章の定めるところよりも重い処分となっているので、記事で補足している例を挙げている意味が全くなくなっている。

 仲愷という名前を冠した職場の名を汚したので、強めの処分を食らったということなのだろうか。廖仲愷は恵州市生まれの大物政治家で、廖承志のパパンである。
 

==参考消息==
https://www.thepaper.cn/newsDetail_forward_28767402
https://www.12371.cn/special/zggcdzc/zggcdzcqw/
https://www.ccdi.gov.cn/specialn/mryk/202405/t20240508_346427.html
https://www.12371.cn/2019/12/12/ARTI1576144599551926.shtml

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