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中国は正確に伏字をする

 3日午前9時、CCTVは「(浙江省)杭州市国家安全局は、境外反中敵対勢力と共謀し、国家分裂や政権転覆など国家安全に危害を及ぼす活動に従事していた馬某に対し、法律に基づき刑事強制措置を取った」と報じた。

 杭州市、馬と言えば連想するのはあの人、ということなのか、香港株式市場では同日午前にアリババの株価は一時9%以上下落。京東、小米らも一律に株価を下げた。理屈はわからないが、テンセントはちょっと上がったらしい。

 中国は被害者や容疑者など実名報道を避ける場合、姓はそのまま、名を某にして報じる。姓一文字+名一文字であれば「李某」となる。

 姓一文字+名二文字であれば「習某平」もしくは「習某某」という具合だ。「習某平」の場合は匂わせにも使う。わかる人にはわかる仕様だ。

 しかし、今回の容疑者は本当は馬某某なので、みんなが知っているあの人ではない。あの人なら馬某となる。

 この事態を重くみたのか、環球時報前編集長の胡錫進は「権威部門に確認したところ、拘束されたのは馬某某であり、馬某ではない。馬某と書いている報道は正確ではない」と微博に投稿している。実際は胡ではなくもっとエラい人が胡に言わせているのだろうが。

 いやいや。そもそも馬某と書いたのはCCTVなのだ。しかも、本文にはない「ネットワークを利用して」という一文を見出しに使い、誤認させる意図すら感じる。CCTVの報道をそのまま引用したフェニックスや搜狐が馬某と報じても仕方ないと言えば仕方が無い。

 胡錫進に指摘されたCCTVは、訂正なしにシレッと「馬某某」で再投稿している。他のメディアだったら「教訓を吸収します」とかなんとか土下座ツイートさせられて、担当記者と上司は処分されているところだろう。

==参考消息==
http://www.news.cn/local/2022-05/03/c_1128617479.htm
https://news.sina.com.cn/c/2022-05-03/doc-imcwiwst5331742.shtml

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