町の模型屋さん(兵庫県西宮市)

 ガンプラが好きで幼少期は自転車で行ける模型店で買っていた。社会人になってからはそういう店も減り、購入先はジョーシンやヨドバシになった。
 結婚して西宮市に引っ越してきてしばらく経ち、妻が「そういえば今日、模型屋さんを見かけたよ」と教えてくれた。妻は西宮市で生まれ育ち、その模型屋がある付近を何度も通ったことがあるのに今日初めて模型屋に気付いたそうだ。模型に興味はないが、私の趣味がガンプラなので目に留まったらしい。GoogleMAPで確認すると昼から夕方までの営業だったので行ってみることにした。
 営業開始5分前に店の前に着いた。シャッターは15cm程上がっていて、ショーウインドウにSDのアレックスがビームサーベルを構えて立っているのが見えた。おそらく開店準備中だろうと思い、付近を1周して戻ってくるがシャッターはそのまま。小人向けの店なのかな?と冗談めいた感想を抱きつつ、もう一度周辺を探索して戻ってくると、シャッターは完全に上がり店主らしき人が店の前を整えていた。会釈しつつ店の中に入る。
 店内は狭く、カバンを背負っての入店は遠慮すべきだろう。入口に新製品が置いてあり、左側にガンプラとミニ四駆、右側に航空機と戦車、プラモには店主お手製の製品説明がクリップで箱に止められており驚いた。新製品棚の奥に展示スペースがあった。おそらく製作者の名札とともに、所狭しとプラモデルが飾られていた。そうそう、こういうのが見たかったのだ。カウンター付近には塗料やパーツが少量。そしてトイガンの展示が充実している。久しぶりに1丁買って帰りそうになるが、ガンプラのラインナップを見に戻る。
 やはり掘り出し物はなかった。ここにも1/144 ガンダムヴァサーゴチェストブレイクはないようだ。とりあえず、まだ所持していないゴッグと、新製品の棚から30MSのビヨンドザブルースカイを手に取る。これで真乃、めぐる、灯織が揃う。品物を物色しているとき、倉庫にある物もあるのでお声がけください、という趣旨の張り紙があったので少し話してみることにして会計に向かった。
 カウンターを挟んで店主が座っていたので「すいません」と話しだし、ゴッグを指さしながら「もっと昔のガンプラって残ってたりしますか」と聞いてみると『ガンプラは全部出してるんですよね』とのこと。おそらく何度も聞かれたのだろうに嫌な顔はされなかった。それどころか『再生産なら教えられますよ』と言ってくれたので直近3ヵ月の情報を教えてくれた。※買いもせずに話だけ聞きに行っても同じ反応かはわかりませんのであしからず。
 ガンプラに詳しい諸氏には言うまでもないが、バンダイは小売りからの要請を聞かない。10個発注して0個なんてことはザラにある。だから予約を受け付けたくても小売りにはどうしようもないのだ。店主に「私も模型屋をやろうと考えていた時期があって、事情は知っているつもりです」と話すとそこからかなり話が弾んだ。
 店主の机にはジュアッグとリック・ディアス(とあともう一機、なんだったかな?)が置いてあった。「ジュアッグいいですよね、私も好きで即買いましたよ」と言うと『敵も味方もガンダム顔では面白くないよね』と。
 やはり小売りは苦労しているのだ。バンダイが嫌いなわけではない。ただこっちの意見も聞いてほしいだけなのだ。消費者が欲しいのはガンダム顔のシュッとした機体だけではない。同じ物ばかり再生産しても売れませんよ。あと、昔のプラモは価格改定した方がいいですよ。価格改定しないなら何のために箱から定価を消したのか、これがわからない。
 30分ほど話して「またお邪魔します」と店を後にする。今日買ったゴッグをしっかり作りこんでまた行こう。

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