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ペンの記憶

個別レッスン後から、ずっと気になる存在になってしまった海空先生。
いつもの授業も、ボーっとしてしまうことが多くなり、2か月ごとのレベル選考試験も成績がガタ落ちとなってしまった。
中学2年の冬期講習は、補習付きのコースに入れられてしまった。
残念なことに、補習コースはバイトの講師ではなく、ベテランの常勤講師の授業だった。
でも隣の部屋からは、嬉しいことに海空先生のハイトーンボイスが聞こえてくることが救いだった。
冬期講習最終日のレベル選考試験では、冬休み前の成績以上となってしまい、幸か不幸か、最下位クラスからその上のクラスへ変更となり、また海空先生のクラスには戻れなくなってしまった。
3月の“新中学3年クラス”になるまで、我慢するしかなかった。
でも授業が終わってから、海空先生のいる教室へ行き、
「ここがわからないから、先生教えて~」
と声をかけるのが精一杯だった。
本来なら、自分の担当するクラス以外の生徒の質問は受け付けず、担当講師のところへ行くように促されるのだが、海空先生はいつも『仕方ないなぁ』と言って教えてくれた。
ある日、海空先生が使っているペンをいたずらしながら
「先生のペンを持ってたら、勉強ができる気がするんだよね~、ちょうだい!」
と冗談で言ったつもりが、『稀琳が、ちゃんと勉強するならいいよ!』と。
ものすごく嬉しかったとともに、ビックリした。

これは1992年1月末のエピソード。
このくらいの頃から、私の名前を呼び捨てで呼んでくれるようになったんだっけ。
まだまだ“恋に恋する少女の私”だったと思い出し、甘酸っぱい気持ちになった。

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