特別な存在 ~ファーストキス~
いつのまにかに辺りは暗くなり、18時を過ぎていた。
海沿いの道を走っていると、海空先生がUターンするように曲がって、1本奥に入ったとこの橋の上で車を停めた。
私が不思議そうな表情をしていたら、私を抱き寄せ
「ここからの夜景、キレイだろ?
俺のお気に入りの場所なんだ。」
突然のことでドキドキしながら、小声で
「ホントにキレイだね。」
と答えながら海空先生の方を見ると、私の顎に手を添えて優しいキス。
私にとってのファーストキス。
唇が離れると同時に抱きしめられた。
「稀琳は、俺にとって特別な存在なんだ。
キス、嫌だったらゴメン。」
私は無言で、首を横に振った。
ビックリしたけど、もの凄く嬉しくて幸せだった。
海空先生は、何度も優しいとろける様なキスをしてくれた。
キスしながらシートを少し倒して、私の上に重なってきた。
気が付けば私の服の中に手を入れて、優しく触れてくる。
そして私の手を握り、自分の下半身に誘う。
【大人になりたいか確認してきたのは、こういう事だったのか】
私は、心の中で先ほどの質問のことに気が付いた。
こんなことになるんだったら、【先生との赤ちゃんが欲しい】と言ってしまえば良かったかなぁとも思った。
カーラジオからは、FMが流れていた。
海空先生も私も、このFM局がお気に入りでよく聴いていた。
ちょうど久保田利伸さんがゲストの放送だったらしく『Missing』と『雨音』が続いて流れていたため、この2曲を聴くと、今でも海空先生とのキスを思い出す。
この日は、さすがに車の中だったので、これ以上は無かった。
この後の駅まで送ってくれる間、恥ずかしくてあまり会話が出来ず。
「私は、海空先生のことが大好きで、愛している」
と伝えただけ。
海空先生は
「稀琳は、特別な存在」
としか答えてくれなかった。
単純な私は、これから海空先生の彼女になれると思っていたのだった。
これで1992年10月25日のエピソードは最後。
現在(2023年)だったら、合意の上とはいえ、海空先生は逮捕されていた可能性もあるのかな。
ちなみにその橋からは、同じ夜景が見れなくなりました。
手前にマンションがたくさん建ってしまったから。
今は車通りも多く、ジョギングしている人もかなり見掛けます。
私も愛車(ミニバン)を運転して通りますが、同じ夜景が見られないのは残念です。
たまに、わざと夕暮れ時を狙って、愛車を走らせますが、後部座席には3人の子どもたちの誰かが同乗しているので、私が思い出に浸っていることはヒミツ。
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