見出し画像

読書レポート『君は、何のために「働く」のか』

会社の先輩に勧められたのをきっかけに、今年の大河ドラマの主人公である「渋沢栄一」の名があったこと、日々「働く」に向き合う仕事をしていることから、「幸せになる働き方」に絶対的なマニュアルはないと少々反抗心をもちつつ、自分の「働く」と向き合うヒントが何か得られるかもしれないと思い、提題の本を読むことにした。

どんな本なのか?

この本は『渋沢栄一全集』を原著として、5つの章にわたって渋沢栄一が遺した仕事哲学のエッセンスを紹介している。

第一章 何のために、どう働くのか
第二章 どんな仕事でも成功できる「七つの心得」
第三章 どんどん仕事が面白くなる「人間関係の育て方」
第四章 一流の仕事をする人の、創造的「日常生活」
第五章 自分をランクアップさせるための「修養」

渋沢栄一とは

1840年生まれ。
日本初の近代的銀行である第一国立銀行(現 みずほ銀行)を創り、東京海上保険会社(現 東京海上日動)、東京ホテル(現 帝国ホテル)など、株式会社の設立に協力した。
幕末から昭和にかけて活躍し、現代日本の基礎を創った偉人である。

どう生きるか

「自分の性格を発揮し、高尚な趣味を満足させることがそのまま自分の利益にもなり、同時に社会の福利ともなるような生活」が、人間としての自然な生き方、円満で完全な生き方だろうと思う。

「社会の福利ともなる生活」というのは、
マズローの欲求5段階説の、5段階を超えた「自己超越の欲求」に通ずるものがある。
なお、「自己超越の欲求」に達するには、「生理的欲求」「安全の欲求」「社会的欲求(所属と愛の欲求)」「承認欲求」「自己実現の欲求」を満たす必要があると言われている。

仕事を成功させる7つの心得

一、実直であること。
二、勤勉精励であること。
三、着実であること。
四、スピーディーであること。
五、温厚であること。
六、規律を重んじること。
七、忍耐力があること。

「忍耐力」とは、「やり抜く力」「GRIT」などと呼ばれているものに近しいと考える。
「やり抜く力」を伸ばすには、対象に興味を持ち、日々練習し、目的を意識し、希望を抱き続けるという4つのステップが重要と言われている。
※参照『GRIT』アンジェラ・ダックワース=著

修養とは

行動や人格を磨き、心が乱れないよう「身を修める」という一事に尽きる。
「箸の上げ下ろし」のような小さなことにも注意を怠るな

「箸の上げ下ろし」の注意ができれば、次に心がけるべきなのは自分を知ることである。
分を守ることを知らないと、とんだ間違いを引き起こしてしまう。

次に注意しなければいけないのは、喜怒哀楽の節度を守ることである。およそ人間が処世の道を誤るのは、主として感情のバランスを崩すためだ。

日頃から努めるとともに、一時期を画して、特に精神を集中して修養に励むことが非常に大切なのである。

「一時期を画して、特に精神を集中して修養に励む」という意味では、会社の中長期研修や、一定期間が区切られた業務外活動などを修養の期間に充てるとよさそうだ。

健康であるために

この世の中で適材が適所を得、その力を十分に発揮できるかどうかは、体力の強健さいかんにかかっていることが多い。

精神面で自分なりに日頃から心がけていることがある。
第一は、くよくよしないことである。
第二には、気持ちを切り替えることである。

WHO 憲章では、「健康」を以下のように定義している。
「健康とは、肉体的、精神的及び社会的に完全に良好な状態であり、単に疾病又は病弱の存在しないことではない。」
“Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.”

運動(外出)を促す、ストレス解消の手段が増える、生き甲斐を見つけやすいという意味で、人との「つながり」が最高の健康法とも言われている。
※参照『友だちの数で寿命は決まる』石川善樹

転機をプラスに捉える

徳川慶喜の将軍職就任、留学、大政奉還、民部省への入省、対省後の民間ビジネスへの着手など、渋沢栄一はさまざまな転機をプラスに捉えてきた。

シュロスバーグのキャリア理論によると、転機(トランジション)をプラスに作用させるには、4S点検が必要と言われている。
4Sとは、Situation(状況)、Self(自己)、Support(支援)、Strategy(戦略)のこと。
状況や自分の感情、周囲の支援などを把握し、戦略を考えて実行することで、転機を乗り越えることができる

「仕事を成功させる心得」を胸に、日々「修養」に励み、「健康」を意識した生活を送りつつ、「転機をプラスに捉えていく」ことで、「自分の性格を発揮し、高尚な趣味を満足させることがそのまま自分の利益にもなり、同時に社会の福利ともなるような生活」ができるようになりたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?