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「しょせん、お金を払った関係だから…」

自分の呟きを遡っていて、以前フォローしていたキャストさんが「『しょせん、私がお金を払っているからこういうことしてくれるんだよね』と、お客様にいわれ、とても悲しい気持ちになった」と仰っているのを見て、そのぶつけてきた言葉のとんでもない暴力性というか非礼さについてぶつぶつ呟いていたのが出てきた。

(ちなみにそのキャストさんは続けて、どういう姿勢でやっていて、何故こういうことを言われると哀しい気持ちになるのか、キャストの仕事は、むろん対価が発生するからやっていることだが、誠意を以てこの仕事をしており、全て心にもないうわっつらだけの会話をしているというようなものではない、というようなことをきちんと自分の言葉でお話されていて、あぁ、すごいなぁと思った。退店されると、そういうのも全て消えてしまうのも残念よね)

前提として、こういうことを言ってしまう客は、実際に疑問を持っていて相手に問いたい、というわけではなく、自分の虚しさや悲しさをキャストさんにぶつけたくて言っているだけなので、多分今も、これを呟いた時の言葉も届かない。

もしくは、「そうじゃないよ、本当にそう思っているから言うんだよ」とか言われたくて言っている言葉なんだろうと思う。(いい大人が他人様に自分の機嫌をとらせようとするなって)

でももし誰かが、それを誰かにぶつける前に、ふともやもやと心に兆した段階で「いやいやいや…」と思うことが出来たならという気持ちを込めて、ここにも残します。


レストランで「しょせんお金払ってるから美味しい料理を出してくれるんでしょ」とか、舞台観て「しょせんお芝居でしょ」とか、言わんよね?
意味不明だもんね。

キャストさんに「しょせん、お金払ってるから甘い事言ってくれる/してくれるんでしょ」って言うのは、お店や劇場でそういうこと言い出すようなもんです。

普通に「美味しかった!ありがとう!」だし「面白くて感動して泣いちゃった!最高!」でしょ?

ふと何か別の関係と錯覚してしまいそうな自分の自戒の為に、自身に言い聞かせるのと、それをサービス提供者にぶつけるのは全然話が別です。

後者は、無粋を超えて、ただただ失礼だし、非常識。

同時に、「自分だから特別に美味しい料理を出してくれるんだ」とか、「この世界は実は現実にあって…」とか思うのも、おかしな話なわけで…。

飲食店でもさ、常連になるとおまけつけてくれたり、裏メニュー出してくれるようになったり、ファンクラブ入ると、よりいい席が取りやすくなるとかはあるよね。
そういう、客としてのランクが上がる的な事はあるのだけども。

心も体も気持ちよくしてくれる、とても難易度が高いサービスと相応に高価な対価を、等価交換している、という普通のことをきちんと認識しておきたいですね。

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