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地元の和紙工房に寄ったら驚いた件。

 私の地元(佐賀県)には名尾和紙という和紙の工房がある。存在は知っていたけど工房に足を運んだのは初めて。

 300年の歴史を持つ名尾和紙は、和紙の原料のひとつ、梶の木の栽培から一枚の紙ができるまでの全ての工程を佐賀県の名尾で行う手すき紙の工房。かつて100軒もの紙すき工房があったらしいけど、現在、この工房を残すのみとなっているとな!最後の工房なんです。

 ここの工房、知ってはいたけど今回行くきっかけになったのは、娘の国語の教科書で和紙の話が出ていたこと。工房見学に連れて行って実際に昔ながらの手すき和紙の実物に触れさせたいなぁと思った事。

 山間の静かな集落にひっそりとある名尾手すき和紙工房。祝日だったせいで工房はお休みだったけど、隣接するお店の方は開いていたので行ってみた。

 「ごめんください、お邪魔します」

 と言いたくなるようなお家っぽい店構え。古民家をリノベーションした様なそのお店も、とても素敵な癒しの空間。

 ゆったりした入り口は和紙を思わせる漆喰の土間で、100年超えの家屋的な低い天井、むき出しのがっしりした梁。年季の入ったピカピカに水拭きされた床は歩く度にミシミシと軋む。
 ほのかにお茶を煎ったような香りが漂っていて、癒し空間そのもの。(ほっとするなぁ〜)と惚けて和紙の作品を愉しむ。

 一点一点大切に壁にかけてあるパネルの展示。「ファブリックパネルならぬ和紙!これもインテリアとしてアリだなぁ」と見て回る。
透かしや模様のある大判の和紙は縁側にかけて、日の光で柔らかな和紙の風合いが更に楽しめるような展示。「和紙のイメージ、これこれ〜。」

 驚いたのは、シルバーやラメのような柄、パステルカラーの和紙。え!?こんな色味が和紙で出せるなんて!と、私のイメージする渋い色味の和紙とは明らかに違うテイストの和紙作品達に驚き。

 原材料の草や木を裏山で育て、刈り取り、紙を漉く、作品にする。ずっと前からずっと同じ様な作業で作り続けられていた和紙。かつては書き出す紙としての要素だけでよかったのかも知れないけど、今ではインテリアにも雑貨にも!和紙の魅力や可能性って広がりがあったのね〜と感心もしつつ。

 長く続く伝統工芸というものも常に新しくnowにアップデートされ続けているんだなぁ、同じでいるだけじゃなくて、やっぱり長く愛される為には常に新しい在り方の模索も必要なんだな、としみじみ長く続いていく文化への敬意の念が湧いてきます。

 娘はハギレの和紙を使ったパネル作りワークショップに参加して、マイ和紙パネルを制作。存分に和紙と遊び、最高なお土産ができたと喜んでいました。

 触った手で直に感じる和紙の温かみ。和紙の丈夫さや繊維の解けた切り口の柔らかな風合い。出来上がりは優しく温かい円やかな一品になりました。


 大切にしたいなぁ、
 和紙文化も今日の一日も。
 長い時間軸の中の一瞬の今。

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