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Ado 国立競技場ライブ「心臓」の音響問題について

自分の体験

4月27日、Ado 国立競技場ライブ「心臓」に行ってきた。席はアリーナD25ブロック。低音がビシバシ腹に響くぜ・・・などということはなかったが、音声は聞き取りやすく、音響面でのストレスは感じずに楽しめた。

難点を上げるとすれば、開演までの間、係員が体感30秒おきぐらいに「撮影したら即退場」と拡声器で連呼していたのがライブが始まるまでのワクワク感をそいでしまって興ざめだったということぐらいである。

音響問題に関する推察

スタンド席で鑑賞した一定数の人が、音響がよくなかったといっている要因として、スピーカーを小分けにしてそれぞれの出力を抑えた結果、どのスピーカーからも音が十分に届かないエリアが結構な面積になったからではないかと思っている(詳しくは後述)

機材の知識がありそうな人の投稿

このほか、スタンド席の天井にもスピーカーが設置されていたという投稿もある。

今回のライブでのスタンド席向け音響装置

赤丸で囲ったところがスタンド席に向けたスピーカー、緑はステージ上からまっすぐバックスタンド方向を向いているスピーカー、黄色は外側を向いているスピーカー

一般的なスタジアムライブでの後方席向け音響装置

2023年B’z味の素スタジアム
2022年乃木坂46日産スタジアム


大規模なライブでは、鉄塔(タワー)を立てて、メインステージと同規模のスピーカーシステム(ラインアレイ)を配置している。

YAZAWAならどうしたのかな?

2022年に国立競技場で開催された矢沢永吉のライブ写真をみると、ラインアレイを括り付けた鉄塔はない。もしかしたら施設の都合で建てられないのかもしれない。Adoのライブであったようなスタンド向けスピーカーシステムもない。

スタンド席の天井にもスピーカーを設置しているかもしれないが、ここから考えられることとしては

A:矢沢永吉のライブでも音がほぼ聞こえない人たちはたくさんいたが、SNSに投稿したりはしなかった
B:メインステージのスピーカーの出力で全エリアカバーした

のどちらかかなと思うが、Bの可能性が高いと思う。出力を上げれば音質はともかく、とりあえず音は聞こえる。近い席と遠い席のタイムラグは大きくなるが。
当時のライブレポをみてもスタンド席の観客もメインステージ上のスピーカーからの音を聞いていたことがうかがえる

つまり今回は・・・?

音響の感じ方には個人差も大きいと思うが、SNS検索してみた感じ、3層でもちゃんと聞こえたという人、ステージサイドでも聞こえたという人がいる一方、1層でも音が聞きづらかったと言っている人もいて、低層・ステージ正面なら良好というわけでもなさそうである。

あくまで推測だが、メインステージ上のスピーカーはアリーナまでをカバーする出力、外周のスピーカーは細かく区分けされたエリアをカバーする出力に抑えた結果、空白地帯が多く生まれた・・・ということなのではないか。例えば90%の座席をカバーできたとしても、音がまともに聞こえない人は7000人にもなる。

スピーカーの音が十分に届く範囲のイメージ図

上記の図では水平方向のみを表現した図となっているが、スタンド席には傾斜があり、スピーカーの上下方向の指向性と席から見下ろす角度によっては聞こえづらかったケースもあるかもしれない。

そもそもなんでこんな構成にしたのか

推測の上に推測を重ねるが、考えられることとしては、音漏れをなるべく少なくするため、スピーカーをこまめに配置することでスピーカーの出力の合計値を小さくしても会場全体にまんべんなく音を届ける、ということを目指したのではないか、ということである。私は専門家ではないので、それがどれぐらいの難易度のことなのかはわからない。

明治神宮外苑の施設比較~国立競技場と神宮球場~

私は、神宮球場で行われた乃木坂46のライブに10回以上行っている。アリーナ前方もあればスタンド上段の時もあった。いずれの場合も決して音質がいいわけではないが、アイドル楽曲を楽しむには十分な音量が出ていた。そして乃木坂のオタクはAdoの客の2倍以上コールの声がでかい。神宮球場はバックネット裏上段を除いて屋根がなく、音が漏れやすいので、騒音レベルとしては神宮球場のほうが大きいのではないかと思う。行政や施設管理者の定めた音量上限が国立競技場と神宮球場で違うのかどうかはわからないが、もし違うとしたら最寄りの住宅地の状況なのかなと思う。