お財布ドットコムに思い知らされた身の程


https://osaifu.com/ よりスクリーンショットを引用


お財布ドットコムって知ってるか?
知らねえかな。
つい3年くらい前までサービスは運営してたんだぜ。
それでも、みんなが個人HPをやらなくなってから、だんだん廃れていったサービスだよ。
あれはいいものだった。

なにがいいって、めちゃめちゃ手軽にアフィができたんだ。
中学生だってできた。
規約上OKだったのかは正直覚えてないけど、みんなやってたよ。
だからみんなガラケーでぽちぽちホムペ作ってよ、 そこのトップにお財布ドットコムのリンクを貼ったんだ。
PVを稼げば本当にお金になるって寸法さ。

でも肝心なのはそこじゃねえ、紹介料さ。
普通のアフィと違って、紹介リンクから登録があれば、その時点で100円もらえるっていう太っ腹なサービス仕様だった。
これが魅力だった。
俺は当時高校生で、テキストサイトに憧れてたからすぐにガラケーでポチポチとテキストサイトを立ち上げたよ。

当時はガラケー全盛期、中高生向けのサイトなんてみんな絵文字なんか使いまくったものばかり。
ギャル文字なんてのもあったかな。
まぁ、どれもこれもそんなにおもしろくないわけだ。
でも俺は2chにどっぷり浸かってたから、淡々とした平易なオタクの文章の書き方でHPを更新してたらどんどんPVが増えた

心がけたのは、
・ページを開いたらすぐにどんなページかわかるようにすること。
・コンテンツまでは1スクロール以内にすること。
基本的なことだけどみんなこれができてなかった。
他のHPはトップに「〇〇中学のみんなにマジ感謝」とか書いてた。 何考えてんだ。

だから簡単に当時の中高生向けホムペランキングで1位になれたし、PVも稼げた。
それで俺が貼ったお財布ドットコムのリンクはどんどん押されて、それなりのお小遣いをもらえるようになっていたわけよ。

それを俺は学校で自慢した。
お小遣い以外でお金を得られるなんて、Youtuberなんて言葉もなかった当時ではみんな「?????」なわけよ。
みんなが興味津々。
めちゃめちゃ盛って話すけど30人くらいが俺の話を聞いた。「どうやって?」「俺にも教えてくれ」

俺は話した。
・ホムペを作ったこと
・お財布ドットコムという神サービスについて
・周りは「ウチラまぢ最強」みたいなHPばっかりだってこと
・正直楽勝だってこと
次の日の朝には、新しいホムペが数件立ち上がってたよ。 淡々とした文章を書く、中高生らしからぬホムペが。

しかしそれらのサイトのPVはうまく回らない。
俺のHPがその界隈では強すぎたからだ。
みんな俺に相談するようになったよ。
「どうしたらもっとPVが稼げる?」
だから俺は答えた。
「俺のホムペのトップにお前らのホムペのリンクを特別に載せてやるよ」 「ただし、一番俺の言うことを聞いた奴のだけ」

そこからは俺の気分は王様さ。
みんなが俺のホムペにリンクを載せてもらいたくて忖度するようになった。
1週間ごとに違うリンクを載せる約束だったかな。
「次は俺だよね?」
「頼むぜ、りんご犬さんよぉ」
「素敵!りんご犬くんと同じロッカーに閉じ込められたいわ!」

でもある日流れが変わってきた。
俺のホムペに訪れる読者たちに、
「このリンクを押せよ~!俺が1円もらえるからな。ガハハ」
「このリンクを押さねえ奴は帰ってちんちん弄って寝てろ」
「リンクを押さないやつはガリガリのゴボウ」
などと発言しまくっていたからか、 徐々に掲示板でたたかれ始めた。

「このHPの管理人は金にがめつくてうざくて不細工」
「このHPの管理人はちんこが小さくてうざい」
「このHPの管理人こそガリガリのゴボウ」
あることないこと書かれていた。 俺は青ざめた。
その日からPVは激減し、収益もほぼ0になってしまった。

泣いたよ。 築き上げた城が崩れ去ったんだ。
短かった。半年くらいの天下だったかな。
そして、当然俺のHPにみんなのリンクを貼っても効果が薄れた。
学校での俺の発言力は地に落ち、暴言を吐かれた。
短い天下だった。俺の時代は終わったんだ。

何が言いたいかって、 「普通の労働以外でお金を得る」ことで自分を特別だと思いすぎるなってこと。 Youtubeerも、イラスト売ってる人も、みんなそうさ。 特に中高生だと勘違いしちゃうよな。 俺はみんなとは違う、俺はすごい、俺は優れてる。って。
でも、決してそんなことはなかったんだ。

お財布ドットコムは、俺にそれを教えてくれたんだ。
調べてみたら、2020年1月31日にサービスを終了している。
ありがとう、お財布ドットコム。
忘れないよ。

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