どうしたものか、私は酒を浴びるほど飲んでいた。この無言空間が嫌で、酒に手が伸びる伸びる。気がついたら誰よりも先に自分が酔っていて、みんなが盛り上がり始めた時に私…
「ジュースを飲んだら、おうちに帰ろう」 莉子は小さな口の隙間からストローをくわえて、りんごジュースを飲んでいる。まだ帰りたくないのかいつものように勢いよく飲まな…
鳴海林檎
2024年1月4日 21:26
どうしたものか、私は酒を浴びるほど飲んでいた。この無言空間が嫌で、酒に手が伸びる伸びる。気がついたら誰よりも先に自分が酔っていて、みんなが盛り上がり始めた時に私は脱落した。痒いのにどこが痒いのか分からない。腹かと思いかいてみるとしっくり来ない。手当り次第体をかくと、最終的に耳に辿り着いた。いつもそんな感じ。夕暮れに隠れた光と紫の雲が私に天を仰がせるみんなと違うことが私には無かった。いつ
2022年1月30日 11:25
「ジュースを飲んだら、おうちに帰ろう」莉子は小さな口の隙間からストローをくわえて、りんごジュースを飲んでいる。まだ帰りたくないのかいつものように勢いよく飲まない。子どもながらの小さな反発なんだろうか。その日は天気が良く、ここ最近で一番の快晴だった。 木の多いこの公園は“みどり公園”といい、莉子が産まれる三年ほど前に出来た。ブランコにすべり台、まだ手の届かない鉄棒もあった。「パパ、おうちに