菅前総理の「携帯料金引き下げ」は結局どうだったのかを振り返る
更新日:2022/10/18
この記事では、菅前総理が拘った「携帯料金引き下げ」の結果(工程)を振り返ります。
菅前総理が携帯料金を引き下げにあたり行ったこと
まず手段として、政府が民間企業に直接「値下げしろ」と口出しするのは様々な問題があるので、電気通信事業法等を改正し順守させることで携帯料金を引き下げました。
通信事業者(携帯会社)は政府(総務省)の認可を受けて免許を交付された上で事業をしています。
政府は法律を守らない通信事業者(携帯会社)に対しては免許を剝奪し、事業継続させないという厳しい処置を行うため通信事業者(携帯会社)は法に従うしかなくその結果携帯料金が下がったという仕組みです。
電気通信事業法等の改正の具体的な内容は「2年縛りの禁止」「解約違約金は1000円(税別)を上限とする」「端末料金と通信費の完全分離化」「回線契約を伴う割引の上限は20000円(税別)まで」「端末単体購入の客を拒んではならない」「MNP転出や解約を希望する客の引き留めの禁止」「SIMロックの禁止」です。
また、法律で定めたわけではありませんがキャリアメールを持ち運べる(他の通信会社に乗り換えてもそのまま使える)ようなシステムを構築するように指示したりMNPを1回の手続きで完了できるシステムを構築する、MVNOへの接続料を見直すよう(これは以前からですが)に指示しました。
携帯料金引き下げに直接繋がるような指示/法改正はしていない
改めて振り返ってみると「現行料金より○割下げろ」「○GB○円のプランを提供せよ」といった料金引き下げに直接つながるような具体的な指示や法改正はしていないことがわかります。
価格の決定権はサービス提供者にあり、政府が決めてしまうのはいろいろと不当だからでしょう。
菅前総理の指示や法改正の意図はユーザーが乗り換えしやすい環境を整えることで、通信事業者が「他社に乗り換えられまい」と自主的に料金を下げることを狙ったものと考えられます。
しかし、いくら他社に乗り換えしやすい環境を整えたところで他社が安くなければユーザーは乗り換えません。
携帯会社は自社が値下げすれば他社も追随してくる、その結果他社から大量にユーザー数を奪うことは出来ず単にARPUが下がるだけであることは分かっているはずなので携帯料金を下げる理由・メリットがありません。
それでも廉価なプランが登場したのは指示や法改正の結果というより菅前首相の「圧」によるものでしょう。
よくよく考えると「値下げしていない」
菅前首相が行動を起こしてから「毎月携帯会社に払う料金減った」という人もいるでしょう。
しかし、それは「プラン変更した」「格安SIMに乗り換えた」からではないでしょうか。
特に何もしていないけど勝手に安くなった、という人はいないと思います。
よくよく考えると大手キャリアの従来プラン(店頭で契約/相談できるプラン)は値下げしていません。
例えばdocomoのギガライトはわずか1GBで3465円(各種割引適用前の価格)と高額です。
世間一般的に値下げというと、サービスを受けたり商品を購入する側が何もしなくても支払う料金が安くなることなので、菅前首相の値下げ施策は少し中途半端な結果に終わった気がします。
結果的には「良かった」と思う
携帯料金引き下げが発表されたとき、通信界隈では大手キャリアが値段を下げる→MVNO(格安SIM)から大手キャリアにユーザーが流れる→格安SIMが潰れる→再び大手キャリアの寡占状態になる→大手キャリアが料金プランの値上げを行う、その結果大手キャリアに大金を払う時代に逆戻りするのではないかと危惧されていました。否定的な意見も多かったです。
しかし、今のところそういった動きはないですし、既にMVNOを使っていたユーザー(筆者)もさらに安価で使えるようになったため結果的には「良かった」と思います。
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