【格安SIM】 利益構造について解説！

更新日:2022/9/2
ご存じの方も多いと思いますが、格安SIM業者は大手キャリア（Au,Docomo,SoftBank）から設備(回線）の一部を借りて事業を展開しています。

格安SIM業者が大手キャリアにいくら払って設備を借りているのかという情報は一般利用者は知らなくてもいい情報ではないですが、知っておくことで役に立つことがあるかもしれません。

この記事では、格安SIMの利益構造について解説します。

データ通信

格安SIMのプランは「3GB 990円」のようにデータ容量で利用料金が決まっていることが多いですが、格安SIMは大手キャリアから「100GB○万円」等お金を払って容量を借りているのではなく帯域を「1Mbpsあたり約2万円」の原価で借りています。

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「スピードテストすると50Mbpsとか出ることあるけど、原価割れしているの？」と思う方がいるかも知れません。

結論から言うと、原価割れしているわけではありません。

これを理解するためには、通信速度の決まり方を理解する必要があります。
通信速度は、格安SIM業者が借りている帯域に対し、その時間帯にどれだけ利用者がいるかで決まります。
例えば、格安SIM業者が帯域を100Mbps借りていて、その時間に通信を行う人が50人いると、（100÷50で）2Mbpsの速度が出るといった具合です。

こういった仕組み上、スマホを使う人が多くなる通勤・通学の時間帯、多くの学校や会社がお昼休みになる12時～13時、帰宅時間帯（18時から19時）には格安SIMの通信速度は遅くなりがちです。
近年は大容量プランの登場や自宅に固定回線を引かない人も増えてきたことから19時以降も通信速度が遅いこともあります。

それ以外の時間帯は多くの人が仕事や勉強中のため通信を行う人が少なく通信速度が出ます。
50Mbpsなど速度が出るのは、その時間帯に通信を行う人が少なかった結果だけの話です。

少々話が脱線しましたが、格安SIM事業者のデータ通信における利益構造としては「ピーク時間帯（最も通信が行われる時間帯。一般的に平日の12時～13時）にデータ通信を行わなかった顧客から徴収した料金から諸経費を除いて残ったお金」が利益になります。
ピーク時間帯に通信を行う顧客からは採算をとることが出来ません。

格安SIM業者はピーク時間帯（平日昼12時～13時が多い）の通信量を見て帯域を増強します。（増強しないと、通信速度が低下し解約される。）
帯域を増強するにはキャリアに多額の金額を払う必要がありますが、その時間帯にデータ通信を行う顧客から得られる料金では到底、賄えません。

例えば、ピーク時間帯に100MBデータ通信が行われるとします。
ピーク時間帯1時間で100MBの通信を行う原価はmineoによると約220円です。（https://king.mineo.jp/staff_blogs/1828）
もし10日間ピーク時間帯1時間で100MB使われると2200円の原価をMVNOはキャリアに対して払うことになります。
3GB990円などの低価格で提供しているMVNOにとって昼に集中的に使われると赤字になってしまいます。

逆にピーク時間帯にあまり通信を行わない顧客は副産物的に余っている帯域を使っているだけで、格安SIM業者にとってはそういった顧客から得られる料金の殆どが利益になります。
そういったユーザーの存在のおかげで何とか運営が成り立っているという状況です。

音声通話

キャリアから30秒14円の卸値で借り、30秒20円で販売しているのが一般的な料金体系です。
音声通話は格安SIM業者にとって稼げる部分です。
通話されればされるほど、収入になるからです。
（ただし、かけ放題を多く使われるとマイナスになる）

プレフィックス（等）で通話料金30秒10円になる通信事業者がありますが、この場合でもしっかりと利益が出るようになっています。

格安SIM通信事業者の多くが赤字

格安SIM通信事業者の多くは、赤字となっています。
黒字の格安SIM事業者も、事業開始してから長らく赤字でここ数年でやっと黒字化達成したという業者が多いです。

格安SIM業者の多くは、大企業が関係していることが多いです。
例えばOCNモバイルONEやIIJmioはNTTの子会社が運営していたり、出資しています。mineoは関西電力グループの子会社が運営しています。

他の事業で利益を出していたり、関連グループや他の企業からサポート（援助）を受けているため黒字化達成まで何とかやっていけているといった事情があります。